息子の誘いで日高地方を旅することになった。
平取は私が二風谷(ニブタニ)のアイヌの施設に興味を持っていると知っての提案。最終目的地は襟裳岬。以前から野生のアザラシが見られる場所として、いつか行ってみたいと思っていた場所だ。
やっと見ることができた。画像は見づらいと思うが、これがカササギ。
河井大輔著 「さっぽろ野鳥観察手帖」より
4月1日午後3時、旅の起点となる息子の住む苫小牧へ向かった。枕と毛布等持参で息子のアパートに一泊して、翌朝旅のスタートをきるのだ。
札幌から支笏湖畔へ通じるルートで、のんびりと夫の車で走る。
観光シーズンにはまだ早い北海道。雪は消えたけれど、常緑樹を除いてはほとんど緑のない枯れ草色の景色。春なのに、ほぼ冬枯れの景色だ。
道路沿いには、「動物注意」と書かれたシカやキツネのデザインの黄色い標識が立っている。少し心配になり、
「シカ、出て来たりしないかなあ」と言うと、夫は
「早朝とか、そんな時間じゃないから大丈夫」と言う。しかし、私の経験上、午後3時半頃という時間帯は、札幌市内でもキツネやシカに遭遇していたので、出てきそうな気もしていた。
ちょうど支笏湖畔の道路に差し掛かった時だ。道路の左手に冬毛の仔鹿。生まれてから2ヶ月かそこらと思われる小さなエゾシカがいた。親とはぐれたのだろうか。飛び出して来て我が家の車に当たりでもしたら大変と思い、夫に注意を促す。
「シカ!シカ!」
言葉というより、もはやアラーム。
枯れ草と同じ色の上に、小さいので夫は全く気付いていなかった。
仔鹿は道路脇に佇んだまま、道路に出て来ることもなく良かった。それにしても、何と愛くるしい。野生の仔鹿は初めて見た。あっという間に遠ざかってしまったが、もっと見ていたかった。
その直後にも、若いエゾシカが道路脇で何やら食べ物をあさっている様な場面にも遭遇した。
シカが増え過ぎだー。
40年前には考えられなかったことだ。その頃は道東を旅行しても、おいそれとは会えなかったシカ。会えただけで大喜びだったのだが、今では「また出た!」みたいな迷惑感すらある。
かつては北海道にも狼がいたので、捕食されてバランスも取れていたのだと思うが、エゾオオカミが絶滅した今、天敵が居ないから、増え放題だ。再び狼を利用して鹿を減らす方法も浮上したこともあったのだが、実現はなかなか難しいようだ。
そんなこともありながら、無事に苫小牧に到着。仕事終わりの息子と合流し、夕食をとるべく近くの焼肉屋さんへ向かった。
息子と肩を並べて歩いている時、話す事に夢中で気づかなかったのだが、突如息子が
「あっ、今声がしたから、カササギがいるよ」と言った。
以前苫小牧に来た時に、カササギを見たことのない私のために、いつもカササギが沢山いる場所を案内してくれたのだが、その日に限って居なかったということがあった。今日はついている。
息子の指摘通り、頭上で再び「ギャッ」という大きな声が聞こえ、見上げると電線の上に白と黒のツートンカラーのカササギがいた。
やっと見ることができた。画像は見づらいと思うが、これがカササギ。
河井大輔著 「さっぽろ野鳥観察手帖」より
観察手帖によると、札幌市内にもいることは居るらしい。
「いつもギャーギャーうるさい」と息子が言っていたが、確かにその姿に似つかわしくないほど声が大きい鳥だった。
カササギを私に見せたかった息子も、見たかった私も満足して、上機嫌で焼肉金剛園に到着した。
今回は息子の「おもてなし旅行」ということで、おもてなしの第一弾、焼肉をご馳走になった。夫は胃の調子が悪くあまり食べられなかったが、私は思う存分夫の分まで食べたのだった。安くて、旨い!
その後息子のアパートで若干くつろいでから、明日からの旅の期待を胸に床に就いた。
続く