当たる事を期待せずに応募したら、CDプレーヤーが当たった。近未来的なデザインの小型家電で、アイポッドをつないで音をスピーカーから流す機能もついていたが、子供たちが幼すぎて、まだ誰もアイポッドを持っていなかった。それで、その最新機能も残念ながら試す機会もなかった。
CDを手に入れて色々聞いた。子供の童謡、夫のフォーク、私の洋楽などなど、たくさんの音楽を楽しませてもらった。
子供が大きくなるにつれ、いつしかあまり使われなくなった。平らなCDプレーヤーの上は、いつしか夫の小物の置き場所と化してしまった。
そのうち、様々な物の重さで押されっぱなしの操作ボタンは、一部効かなくなってしまった。外観も経年劣化が見られ、本体に黄ばみも出てきた。
久しぶりに使えるか試してみたら、入力スイッチがきかない。リモコンで操作してなんとか使えたが、CDを取り出そうとしたら、引っかかってなかなか出てこず、焦ったりした。
もう処分の時期だなあと思った。
処分の方法は色々ある。
一番簡単なのは、小型家電だから札幌市指定のゴミ袋に入れて、燃えないゴミの日に出す方法だ。
けれども、せっかく頑張って色々CDを聞かせてくれたプレーヤーだ。懸賞でただで手に入れたものではあるけれど、無碍に捨てるのもなんだかなあ。
何とか他に方法はないかと調べてみると、壊れた家電でもネットのフリーマーケットではジャンク品として、取引されていることがわかった。
しかしながら、フリーマーケットに掲載するには、大きさや重さもあり、送料が大きな金額になり、壊れているにも関わらず高めの金額設定になってしまう。そうなると多分売れないだろうし、もし売れたとしても、梱包の手間や発送のための持ち込みなども考えると、あまり得策ではない。
最近では、リサイクルショップでも、壊れた家電の買取をやっているところもあることを知ったので、それを利用しようと思った。
リサイクルショップに持ち込むからには、少しはきれいにしておかないと。そう思って本体のホコリをはらい、ざっくり全体をきれいにして、準備をした。それが数ヶ月前。そしてそのまんま、すっかり忘れていた。
今日はたまたま家に一人きりだった。一人でいると、日頃気づかないことにふと気づくものだ。それで、玄関に置いたままの袋に入ったCDプレーヤーに目が行ったのだった。
今日は曇り。少し離れたリサイクルショップに行くにはちょうどよい天気だ。思い立ったが吉日。
CDプレーヤーを大きなバッグに詰め込んで、午後から外へ出た。
久しぶりのサイクリング。
自転車はもう20年以上使っているオンボロ。息子から何度も「もう捨てたら」と言われ続けている代物だ。
自転車の後ろに取り付けたチャイルドシート。息子も娘もここに乗っかって、どこにでも行った。
今では、見る影もない“赤錆た骨組み”のみとなっているのだが、この部分が荷物を運ぶのに重宝し、見かけは悪いけど取り外すつもりもない。
CDプレーヤーを入れたカバンを積むのにも、丁度良かった。
そんなボロいママチャリで曇り空の下、緑の多い真駒内公園を走り抜け、心地良い風を受けながら、20分ほどでリサイクルショップに到着した。
もしここで引き取ってくれなかったら、そのまま区役所まで足を伸ばして、リサイクルの無料回収ボックスへ持っていく心づもりでいた。
買い取りカウンターに持ち込み、待つことしばし。呼ばれて行ってみると、査定価格は「100円」。
捨てればただのゴミ。0円。
捨てずにリサイクルされて、さらに100円いただける。ありがたいことだ。
SDGsの12番目の「つくる責任つかう責任」に貢献出来たように思う。
私が暇人だから出来た事だったとも言える。
家電一つの処分。
時間に追われる忙しい人達には、なかなか家電のリサイクル処分に時間をかけることもできないかも知れない。
でも、最近はスマートフォンのアプリなどで、近場の人たちで不用品の譲り合いをしたりするものなどが出てきたのだった。これは壊れていないものが条件かもしれないけど。
要らないものの処分。それは、リサイクルで活かすも、ゴミとして殺すも、時間のあるなしの問題ではなく、「リサイクルしよう」という意識の問題か。
今乗っているママチャリ。
壊れるまで乗ろうと心に決めている。後何年もつか知らない。息子は危険だという。私も不安がないわけではないが、突然空中分解という事態になることもあるまい。
先代の自転車は、ある日ペダルのあたりがバキッという音と共に折れた。そんなふうに壊れるなら大したこともない。しかし、遠出した先で壊れたら…。
今後はあまり遠出しないようにしよう。