「サバカン」の映画の予告をテレビで見た時から、「スタンド・バイ・ミー」とストーリー展開が同じだなと感じていた。
スタンド・バイ・ミーは1986年のロブライナー監督のアメリカ作品。原作スティーブン・キングのヒット作品だ。ベン・E・キングの歌はあまりにも有名。後に人気の絶頂で夭折したリバー・フェニックスの魅力あふれる作品でもある。
スタンド・バイ・ミーは四人の少年が死体を見に行く話だが、サバカンは二人の少年がイルカを見に行く話だ。
成長した少年が作家となり、少年の日を思い出す形で、パソコンに向かう場面も同じで、ストーリー展開も似通っている。
スタンド・バイ・ミーを見たことがある人なら、皆
誰しもそんなことを考えるのではないかと思う。
舞台は1980年代の長崎。
主役の二人の少年がとても良かった。長崎の方言もいい。
お芝居は初めてらしいけれど、二人ともいい味を出していた。
豊かな日本の長崎の風景と、現在とは違うゆったりした時間の流れ。
危うさをはらんだ少年たちの物語は、なぜこんなにキラキラと美しいのだろう。
山、海、島。自然の中で自由に動き回る少年たちが生き生きと描かれている。
語りは作家役でもある草彅君。
NHKの番組「ブラタモリ」でもナレーションを担当するなど、声のお仕事も多い方だ。
草彅君の声は、この映画において、とても効果的だった。穏やかで深みのある、不思議なほど胸にしみる声なのだ。
また、尾野真千子、竹原ピストルの夫婦もいい味を出していた。
昭和感がムンムンとした、典型的なかかあ天下。奥さんに頭の上がらないだめ亭主。とはいえ、結局夫婦円満、そんなに裕福ではないけれど、幸せいっぱいの家族。
竹原ピストルが劇中、河島英五の「酒と泪と男と女」を自転車を漕ぎながら歌うシーンがあるのだが、すごくいい。カッコいい。
スタンド・バイ・ミーと似てると、観始めたのだったが、そんなことはどうでも良く、日本独特のやや泥臭い展開に、どっぷりと浸った。長崎の大自然の中の、華奢な少年たちの行動を、ハラハラしながら見守り、長崎の夏休みを彼らとともに体験した。
エンディングの音楽は、オレンジレンジのキズナを「りりあ。」がカバーした。透明感のあるりりあ。の歌声が、とても美しく心地が良かった。
スタンド・バイ・ミー公開が1986年。
この映画の舞台は1986年の長崎。
もしかして、金沢知樹監督、十分承知の上で、スタンド・バイ・ミーをパクったんですね?
失礼。スタンド・バイ・ミーへのオマージュなんですね。
スタンド・バイ・ミーとサバカン、舞台はアメリカと日本とかけ離れているけれど、少年たちは世界中どこでも、時をも超えて、皆似たような体験をして、そして大人になっていくんだなあと感じる。
今度は、スタンド・バイ・ミーがまた観たくなってきた。