撮影日は3月24日木曜日。豊平川の西側から、河川敷に向かって写したものだ。写真上部に見える雪の更なる先を見下ろすと、豊平川が流れている。
葉っぱのついた木の種類は知らないが、枝にトゲトゲのついた植物はハマナスだ。
まだまだ河川敷の積雪が溶ける気配も見せていないが、私が立っている道路沿いの歩道は、雪が溶けて地面のブロックがむき出しとなっている。
この写真は風景として写そうと思ったわけではない。
私が取ろうとした被写体は、写真の中央に一点ゴミのようにポツンと写っている小さな蜘蛛だ。
暦の上では春だが、その日、札幌では最高気温7.2度、最低気温がマイナス1.9度とまだまだ肌寒い日であった。
ウォーキングに出たのは午後4時近く。気温もグッと下がって来る時刻。
歩きやすくなった歩道上を家へと引き返しながら、歩道沿いの雪解けの合間から顔を出した、植物群を眺めていた。
実をつけたままのハマナス。赤い実、腐りかけたどす黒く変色した実。そんなものを眺め、写真にとって見たりしていた。
最もその写真は見返してみると、美しさのかけらもなかったので削除したが。
そんな風にしていて、この寒空の下、一生懸命蜘蛛の巣をせっせと張っている蜘蛛を見つけたのだ。
私はダウンコートに身を包み、ぬくぬくと気楽なものだが、蜘蛛は獲物を捕らえる下準備のため働いていた。何だか気がひけた。
よく見ると、辺りにあと2匹同じように巣を張る小さな蜘蛛がいた。
最初に見つけた蜘蛛の子供たちではないかと何となく感じた。
働く蜘蛛に引け目を感じ、尊敬の念を持ってフォーカスして取った写真。それが、意図せず雰囲気のある風景写真になった(と思っている)。
それでちょっと、本当は蜘蛛さんが主役だったと言いたくて、書いた次第。