ザックリと書きたいことを書き、読み返す。我ながらひどい文章と思うことが多い。
それから第三者の目になって、自分だけが分かっていて、読んでいる人には分かりづらい所を修正したり、効果的な表現を考えたりと、文章をこねくり回す。
この時間が結構楽しい。
そんなこんなで、気づくと日付が変わっている事もいつもの事だ。
文章が何となく完成に近付いた頃、見出し画像にとりかかる。
直ぐに絵が頭に浮かぶ時もあるが、なかなか思い浮かばない時もある。
絵に取りかかり始めると、また時を忘れてしまう。先日も、気が付けば夜中の2時を回っていた。
そんな時、突然窓から「コンコン」とノックの音が聞こえ、一瞬、背筋に悪寒が走った。
絵を描いていたローテーブルから、右手の出窓まで、1メートルほどの距離。
窓にはレースのカーテンしか、かかってていない。
まさか、あり得ない。
緊張しながら耳を澄ますと、再び「コンコン」。
いやいやいやいや、絶対あり得ない。
そう、絶対アレ。アレに違いない。
そうは思ったものの、今日のところは、電気を消して、直ぐに布団に潜り込んだ。
翌日、やはり夜ふかしをして、深夜1時半。またしても、出窓から「コンコン」とノックの音が…。
今夜は確かめよう。
勇気を出して、レースのカーテンをザッと、一気に開ける。
窓ガラスと対峙。誰もいない。当たり前だが…。
そしてやはり想像通り…。
羽を広げた大きさが5センチ程の、大きな蛾が、窓から漏れる電気の光に誘われて、体当たりを繰り返していた。
暑い夏に、一瞬背中がヒヤッとしたお話。