翌日、朝は曇っていたが、次第に晴れて午後にはすっかり晴れ上がった。
結局、マ○キヨへ行くことになった。
昨日、墓地の前で結果的に実体のない女性をマ○キヨへ誘ってしまった格好となった夫。「楽しみだね」という声を私の声と勘違いして「うん、うん」と答えてしまったのだから、二人プラスアルファ(霊?)との道行になるのだろうかと少しだけ不安だった。
(この話の詳細はブログ「私じゃないよ」に書かれています)
それにしても、声ほど特徴のあるものはないと私は思っている。ほぼ40年連れ添った“糟糠の妻”の声を聞き間違える夫も夫だ。
今更ながらその点を突いてみると、完全に私の声だと思い込んでいたのでそう聞こえたの一点張りだ。
そして、新たなる事実。「でも、随分ゆっくりと『楽しみだね』と言うなあと後で思った」ということだった。
確かにあの時、私の背後から聞こえた声は、おっとりとした年配者の笑いを含んだ声ではあった。
午後1時間半頃家を出た。気温27℃ほど。ミュンヘン大橋を渡る川風が涼しかった。
目に見えない何かが、ついてきているのやらいないのやら、行きはやや緊張気味だった。
結局、歩道を暴走してくる若者の自転車に気を取られ、歩道の段差に気づかずに軽くコケた事を除いては、何事もなかった。
マ○キヨで買い物を終え、帰り道も何ということは無かった。
何事も起こらなかった事にすっかり安心した私は、「あの人(霊)楽しんだろうか?聞いてみたら」なんて軽口も叩いた。
すると夫が神妙な顔で、「もし聞いたら、返事が帰ってきそうだから聞かない」と言った。
行きも帰りも同じ道を通ったが、一箇所やたらに木が生い茂り、陰鬱な雰囲気を醸している場所があった。
陽光が木々に遮られ、どんなカンカン照りの日でも、地面は湿ったままの薄暗い小さな空間。木の間から見通せる一番奥に古びた祠がある。そのそばに数体のお地蔵様もあった。こんな天気の良い日中でも、薄暗い奥の祠に行くのは勇気がいる様な所だ。
正面から見ると、ちょうど茂った木々が終わる辺の右手に手水がある。手水の奥に恐らく井戸だったのではないかと思われるところがあるが、その井戸らしき筒状の上には四角く分厚いコンクリートが井戸を塞ぐように固めてある。
次第に私の悪い癖、妄想が頭をよぎる。
誰か過去に井戸に落ちて亡くなった方がいるのでは…。
更にその横にはナーシングホームが隣接している。
ここでも、誰かお亡くなりになっているのでは…。
大変失礼ながら、何か出そうな雰囲気いっぱいの場所なのだ。その場所で会話する時は、言葉を選んで話さないと、昨日のような事になると思い、そそくさと通り過ぎたのだった。
何事もなく終わって良かった。
遠出だったので、疲れた。
気温27℃で炎天下とは言えないけれど、太陽光は人の体力を奪う。
帰宅して麦茶とボンボローニというおやつを食べた後、そのままグッスリ2時間も眠り込んでしまった。
また、今夜も眠れない。
眠れない日は、午前3時を過ぎるとつい耳をそばだててしまう。相変わらず午前3時10分前後のノックの音は上から聞こえる。
今夜も…いや明日の午前3時もノックの音を聞くことになりそうだ。
あれは一体何なのか、気になるなあ。
(この話の詳細はブログ「午前3時すぎのノック」です)