朝風呂は完全に私一人の貸し切り状態で、朝からリッチな気分だった。
アポイ山荘の朝食は、早朝から出発する登山者の為にテイクアウトのサンドイッチになっている。
フロントでサンドを受け取る際、サービスなのかドリンクもいただけた。
ホテルの説明によると
「えりも産螺(ツブ)とツブ玉サンド・ハム
「えりも産螺(ツブ)とツブ玉サンド・ハム
様似特産の昆布を練り込んだフワフワやわらかなソフトタイプパン」とある。
部屋に持ち帰り、早速食べた。
左上のアルミカップのはツブのグラタンなのかな。ウインナー、フルーツも付いてボリューム満点。昆布を練り込んだというパンは旨味があり美味しかった。
チェックアウトの時に、館内で目についたお土産「木菓(もっか)バターサンド」を購入した。
そのお菓子の写真がない。全て食べてしまってから、ああ、画像を残すべきだったと後悔する。
かろうじてあったお菓子のしおり。
バターサンドといえば六花亭のマルセイバターサンドが北海道では有名だが、様似町で作られたこの「木菓バターサンド」は、マルセイバターサンドよりもビスケットが薄く繊細な感じ。味はイチゴ、コーヒー、あずき、こんぶ、まつも、かぼちゃと6種類もある。
こんぶ味とまつも味は如何なるものかと不安だったが、何れも文句なく美味しい。「まつも」は聞き慣れないが、海藻の一種。海の町様似町ならではの地元食材をうまく洋菓子に活かしている。
バタークリームの間に、粒状に加工されたそれぞれの味が挟まっているのだが、この粒の食感が好きだ。今流行の粒ジャムなのだろうか。
お値段は一個250円。ちょっと高めにも感じるが、クオリティーが高いのでお土産に買うのには妥当なお値段かなと思う。
フロントで1個から買える。
ロビーで海を見ながら味わえるコーヒーとのセット(確か450円)もあった。
また、様似町のふるさと納税返礼品にもなっている。
オンラインショップもあったのだが、先月閉じてしまった様だ。
バターがふんだんに使われているようなので、常温ではクッキーがとてももろく崩れやすい。冷蔵庫に保管しておいて、食べる時にその都度冷蔵庫から出すのがホテルおすすめの食べ方。
お菓子愛が強すぎたかな…。
今回の旅で一泊した様似町。海あり山ありお菓子ありで、様似町がとても好きになってしまった。
アポイ山荘を出ると、道路を挟んだ眼下にアポイ岳ジオパークビジターセンターがある。様似町の地形・地質・自然・歴史等を知ることができる。
ちょっと立ち寄った。
アポイ岳は地殻の下にあるマントルが突き上げられる形でできた山で、かんらん岩で出来ている。かんらん岩は地球の深部の情報を持った新鮮な岩で、この地域のかんらん岩は幌満(ほろまん)かんらん岩と呼ばれ、地下のマントルが変質しないまま地表に表れていることで、世界的にも珍しく2015年にユネスコの世界ジオパークに認定されている。
ジオパークのマスコットは「カンランくんとアポイちゃん」。カンランくんは、かんらん岩から取ったものなのだ。
地学は苦手な教科だったけど、カンランくんのお陰でかんらん岩については良く分かった。かんらん岩に“新鮮な”という形容詞がつくことが意外で面白かった。岩にも鮮度があることを知った。
様似町は沿岸の町ということで、3.11東日本大震災の際の被害はどの程度だったのだろうかと思っていたが、館内のパネルでその件にふれていた。船や漁具の被害と床上浸水等もあったそうだ。やはり、ここまで影響があったのだ。
館内には小さなおみやげコーナーがあるのだが、息子と私で盛り上がったのは、本物のダニをアクリル樹脂で固めたキーホルダーだ。
更に、コロナ感染症の流行でグッズの中にマスクもあったが、白地にドットマークのデザインのマスクかと思いきや、よく見たらドットの一つ一つのデザインがダニ。「ダニ模様のマスク」だった。身に付けることを考えるだけで、ザワッとした。
いよいよ、今日は襟裳岬だ。
海岸線のえりもへと続く道、国道336号線を行く。
数キロごとに神社があり鳥居と高台へ続く階段を多数見かけた。
それと同じくらい、「津波避難場所」の青い標識も立っていた。やはり海岸沿いの町は津波が心配だ。
それにしてもお天気が素晴らしく良い。思わず「みんな、日頃の行いがいいからね」なんて私が言うと、息子が「僕は晴れ男だからね」と言った。
旅に出るたび晴れだという。
しかし、そう言う彼が以前襟裳岬へ行った時の写真は曇りだった。夫も以前襟裳岬へ行った時はやはり晴れていなかったと言う。じゃあ、私が「晴れ女」じゃないかなあ。
右手に太平洋を見ながらのドライブは、打ち返す波が白く泡立ち、陽光を受けた海面がキラキラと美しかった。水平線が遠くどこまでも広がる景色は、なかなかお目にかかれない。
♪海は広いな大きいな…♬小学生の時に習った唱歌が、自然と頭に流れだす。
続く