Taga_castillo

アマ無線、電子工作、歴史(古代)、ゴルフ、スペイン語、他

2-tone-oscillator

2017-10-09 07:53:34 | 電子工作
0.はじめに
 シングル・トーン発振器としては以前トラ技の増刊の「ディジタル周波数シンセサイザ
基板[DDS搭載]」を使って作ったことがありましたが、SSB等の送信機を調整するに
は"2-tone-oscillator"(2-t-OSC)を利用すべきだと聞いていました。
 友人から借用した"2-t-OSC"の波形をオシロで見たらちょっと歪みがあるようなので、
もう少しサイン波に近づけないかな等と考え製作を試みました。

1.発振回路の選定
 どんな回路を使おうかと考えて色々と探したところ、ツインT回路で発振させられるこ
とが分かりましたが、意外と資料が少ないような感じがしました。どうも(当然ながら?)
発振回路としてではなくフィルタ回路としての方が有名なようです。
 ちょうど"トラ技SPECIALの2017年夏号"の「実践式!トランジスタ回路の読み解き方
&組合せ方入門」の中に「(ツインT形フィルタとトランジスタ1個で作れる)1kHzテス
ト用正弦波発振器」が紹介されているのを見つけました。
 さっそく、これを参考にして製作することにしました。
 いつもの事ですが、手持ちのパーツを利活用することにしているので、C・R等の値は
適当に決めています。

 作成した回路は以下の通りです。


 なお、発振周波数はLPFとHPFのCとRをある一定の条件で設定すれば、f=1/(2πRC)に
なると言われていますが、"トラ技SPECIAL"の記事ではその条件に増幅率が入っています。

2.回路の説明
 それでは簡単に回路の説明をしたいと思います。
 まず"2-t-OSC"の場合、低い方の発振周波数(fL)の整数倍にならないように高い方の
発振周波数(fH)を設定しなければならないので、抵抗(8.2kΩ)は固定としコンデンサ
(発振回路はフィルムコンデンサを使用)を整数倍にならない値としています。

 つまり、fHの発振回路で説明すると、"8.2kΩ、0.022μF、8.2kΩ"がLPFであり、"0.01μF、
10kΩ-VR、0.01μF"がHPFとなります。HPFのRをボリューム(VR)としていますが、当初
設定した固定抵抗では発振しなかったので、発振を確実にするためRをVRとしています。
 結果として、後で歪が少ない波形を得るために役立ちました。
 また、Tr1(2SC1815)のベースには直列に2.2kΩが入っており、歪低減用のRとしています
が、当初"トラ技SPECIAL"の記事の通りに12KΩとしたところ発振しなかったのでこの値と
なっています。
 このTr1で発振させ、Tr2(2SA1015)をエミッタフォロワのバッファとして使っています。

 また同様に、fLの発振回路も"8.2kΩ、0.066μF、8.2kΩ"のLPF、"0.033μF、10kΩ-VR、
0.033μF"のHPFで構成しています。

 この後、2信号(fHとfL)を一緒にし、さらにTr5(2SC1815)のバッファを通して出力し
ています。

3.出力波の歪の低減
 当初、エミッタフォロワのTr2とTr4(2SA1015)のエミッタ抵抗を470Ω、Tr5のエミッタ
抵抗を500Ω(VR)としていたのですが、Tr5の出力に接続する負荷のインピーダンスが低い
(32Ω、あるいは16Ω)と歪が多くなることから、330Ωをパラに入れて約200ΩとしTr5のエ
ミッタ電流(≒コレクタ電流)を多くして、負荷インピーダンスが低い場合でも歪を極力少な
くしています。
 逆にTr2とTr4の負荷は数kΩと高いため、エミッタ抵抗は1.1kΩで十分のようです。

 また、HPFの所に入れた10kΩ-VRですが、このVRを調整することによって発振周波数を変
化させることが可能です。ただ、抵抗値を下げ発振周波数を上げて行くと歪が大きくなりま
す。そのため、VRは発振を維持する最低周波数よりほんの少しだけ上のところにセットし、
歪を最小(オシロで見て歪が分からない程度)としています。この時のVRの値は、fLで約
2.1kΩ、fHで約1.9kΩとなりました。

 なお、発振周波数(fL、fH)を前述の「ディジタル周波数シンセサイザ基板[DDS搭載]」
を使った発信器とビートをとって比較したところ、fL=792Hz、fH=2,264Hzとなりました。
ただ、792Hzx3=2376Hz となりfHと112Hzしか離れていないので、もう少し離れた周波
数関係にした方が良いかも知れません。

 なお、"2-t-OSC"は以下(写真)のように組んであります。


 手前左から「電源SW」「パイロットランプ」「出力ボリューム」、そして奥の左から「fL
レベル調整ボリューム」「fHレベル調整ボリューム」「出力ジャック」となっています。
 fLとfHの出力をオシロで見てみると、最大出力レベルは、560Ωの負荷で約340mV(p-p)、
56Ωの負荷で約250mV(p-p)となりましたが、どちらの場合もfLの出力レベルが若干低いよう
です。これはカップリング・コンデンサが影響していると思われます。

FM補完放送用クリコン(Crystal Converter)の試作(追記)

2017-03-28 22:31:12 | 電子工作
3.(追記)
 一応、FM補完放送(93.5MHz)が受信できることが分かったので、ケースに入れることにしました。
 電源はUSB(DC5V)を利用することにしたのですが、電池3本(4.5V)もケースに入れて、USBと電池の両方で使える
ようにしました。

 以下の写真がケース(12x6x2.4cm)に入れた状況です。


 左側がクリコン部で、右の電池ケースにはまだ電池を入れていません。クリコンの下部がアンテナ端子で、上部の左がFM受信機へ
のフィーダー、上部の右がUSB(B)のコネクタです。
 USBはDC5Vなので、プラス側はシリコンダイオードを経由し電池に接続し、そこからクリコンへ電源を供給するようにしまし
た。ダイオードを入れることで電圧が0.6V程下がるので、電池を入れたままUSBからの電源を供給しても大丈夫かな等と考えま
した。ただ一般的に、マンガン電池やアルカリ電池は充電しない方が良いので、USB電源を使うときは電池を外しておいた方がよさ
そうです。

 また、実際に使ってみたところ、クリコンの電源を入れたまま、あるいは電源を切った場合でも、NHK-FMやFM仙台が聞こえ
ることが分かりました。そして、クリコンの電源を入れることでFM補完放送の93.5MHzが83.5MHzのところで聞こえる
ようになります。これは、FM放送局から近く強電界エリアにいるからかな等と考えています。

FM補完放送用クリコン(Crystal Converter)の試作

2017-03-25 23:52:28 | 電子工作
0.はじめに
 仙台でも中波放送(TBC:東北放送)のFM補完局放送(93.5MHz)が開始されることになり、既に予備免許が下りており
実際には放送を開始しています。
 私が持っている半世紀前のFM受信機は、当然ながら76~90MHzしか受信できないので、簡易なクリコン(X-tal Conv)を
作ってFM補完放送を聞いてみようと考えました。

1.試作回路
 以下の項目を考慮して回路を考えることにしました。
 (1)回路は極力簡単にする。
 (2)スポット(93.5MHz)ではなく、FM補完放送帯域をカバーする。
 (3)極力手持ち部品を利用する。
 (4)(USBの電源利用を考えて)電源電圧はDC5Vとする。

 以上を考慮し、作成したのが以下の回路です。


 局発部はJ-FETの2SK168を使いシンプルな回路としていますが、"FCZ10.7"を使ったところやや周波数が高いようなので、トリマ
(20pF)を追加しています。
 混合部はMOS-FETの3SK63を使い、入力側と出力側は非同調としています。ただ、局発周波数が10MHzなので、93.5MHzと73.5MHz
の両方が83.5MHzに変換されることになります。入力と出力側のコイル(T)は、昔VHF用としてジャンクで手に入れたものです。
 この中で私が購入したのは10MHzのX-talのみ(100円以下)で、他は手持ちの部品を利用しました。
 プリント基板は汎用の4.5cm x 4.5cmのもので、今は裸にしていますが何らかのケースに入れようと考えています。
 また、局発周波数を10MHzにしたのは、FM受信機の周波数目盛に10MHzを加えるだけで受信しているFM補完局の周波数が読める
と言う理由からです。ただ、83.5MHz付近に既存のFM放送がある場合は局発周波数を変える必要があると思います。

2.利用感
 夜間のAM放送は混信やノイズが入り聞きにくいものですが、このクリコンを使えばFM放送としてクリアに受信できます。
 また、心配した73.5MHzは仙台では問題ないようです。

電子メトロノーム(簡易版)

2016-11-09 23:03:39 | 電子工作
◎ 電子メトロノーム(簡易版)の製作

0.始めに
 機械式のメトロノームは、持ち運びが大変であり、机等の上に置いて利用す
る必要があります。
 それなら、電子式のメトロノームを作ってみようと言うことで、以前モール
ス発信器として利用したことがある梅澤無線電機の"ICブザー"キットを利用
することにしました。

1.製作
 キットのICブザーはCMOSの4001Bを使っており、トーン発振器とそれを断
続させるための発振器の2つ回路があって、消費電力はごく僅かです。
 キットの回路は、トーン周波数と断続周期は固定となっていますが、今回は
トーン周波数を変更できることとし、メトロノームとして使う範囲は手持ちの
部品(VR)を利用して上限を200[拍/分]程度としました。
 簡単な回路ですが、以下の通りです。


 イアホンで聞くことをメインとしVRで音量調整もできるようにしましたが、
キットに付属している圧電サウンダでも発振の確認ができるようにしたいと思
ったものの、VR(20Ω)を経由して接続するとインピーダンスが低すぎて全く聞
こえません。
 やむなく、ステレオ(2ch)用ジャックを使い、イアホン用のモノプラグを挿入
していないときはVRを経由しないで圧電サウンダに接続する回路としました。

 また、ケース等の制約から、トーン調整と音量調整は半固定VRとしてメトロ
ノームとして使用する断続周期を外から調整できるようにしてあります。
 実測したところ、約100~220拍/分を刻んでくれていますが、VRをも
う少し高抵抗のものにして50拍/分位から聞けるようにした方が良さそうで
す。
 製作したものは以下のようなものです。

SSB-Generator の製作(その2)

2016-03-18 22:30:53 | Ham(RX,TX,Ant)
1.製作

 まず基板ですが、片面アース基板の ICB-88SEG (47x72mm)に入るかどうか部品類を並べ
てみましたが、かなり厳しそうです。それではと言うことで、FCZ9 を"10S"から"07S"に
変更するとともに AF-Amp の回路を簡略化することにしました。
 最終的に配置を決め、組み立てに取りかかりましたが、結構厳しくケミコンも小型のも
のに変えることで、三端子レギュレータ(7808)をなんとか基板上に収めることができまし
た。

 以下が組み上げた回路図とその写真になります。






 そして、電源を接続しましたが、どうもX-tal発振部が発振していないようです。回路
図的には問題がないと思うものの、何か勘違いがあるかも知れないなということで、あれ
これと調べましたが最初は原因が分からず数日を費やしてしまいました。

 基本に戻ろうと思い、FETのドレイン(D)とゲート(G)間に10pFを追加したりしてもうま
くいきません。そして、なにげなくFCZ9の"07S"のデータを見たら、"10S"のデータ(3.13
μH)と異なっているではありませんか。FCZ9 の"07S"はインダクタンスが3.82μHとなって
おり、同調周波数が11,272kHz(11,275kHz)より低い周波数となってしまっていたようです。
 同調点を見つけようとコイルのコアをかなり回してしまったので、コアが割れたりしな
いように固定C(39pF)とトリマ(20pF)をパラにして取り付け、トリマを回してで同調点を
探したところ発振を確認することができ、ほっとしたしだいです。

 まだ最終的な調整等を行なっていませんが、800Hzのシングルトーンを入れるとなんとか
SSB波らしきものは出力されるようです。
 なお、最終的な調整と動作確認はトランスバーターを製作するときに合わせて実施しよ
うと考えています。