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X-tal (8MHz)の発振周波数チェッカー

2018-06-18 00:21:03 | 電子工作
0.はじめに
 2018年3月11日に仙台において復興アマ無線フェスティバルが開催され、その時に8MHz
の水晶振動子(X-tal)を100個、550円(安い!)で購入しました。用途としてはフィル
タ作成を考えましたが、まだ作成に至っておりません。
 さて、100個もあることから個々のX-talの実際の発振周波数を確認してみようと考えま
した。これはフィルタを作成するうえでX-talの周波数が近い方が良好な性能が得られるの
ではないかと思ったからです。

1.発振周波数の確認方法
 精度の高い周波数カウンタがあればそれに越したことはありませんが、残念ながら持ち合
わせておりません。しかし、以前作成したDDSがあり、50Hzから20MHzまで1Hz単位で
発振周波数を設定できるので、このDDSとX-tal発振器との間でビートをとって周波数を確
認しようと考えました。
 互いの周波数(8MHz前後)間でビートをとっても耳に聞こえない程の低いビート音になると
お手上げです。それゆえX-tal発振器の方に軽く変調をかけてダブルビートが得られるよう
しようと考えました。ちょうど2トーンオシレータ(2T-OSC)もあることから、これを利用す
ることにします。

2.発振回路
 手持ちの2SK168を利用して発振回路を作り、ソースから音声を入れて軽くAM変調をかけ
ることにしましたが、この2SK168からの8MHzとDDSからの8MHzをどのように混合したら
良いか悩みました。ダブル・バランスド・ミキサ(DBM)等を使わずにもっと簡単な構成にで
きるのではないかと考え、いろいろと試してみました。
 その結果、回路図のように双方の信号を直接接続し検波することでダブル・ビートを聞く
ことができることが分かりました。
 



 周波数チェッカー回路の概要を説明します。
 まず発振回路ですが、2SK168による一般的な回路です。ただ、ソースに10μFを介して音
声が入るようにしてあります。ドレインからはキャパシティ分割で後段に出力しています。
390pFの8MHzにおけるリアクタンス(Xc)は約51Ωとなります。また、47pFと390pFの
直列接続なので約42pFとなり、この42pFと50pFのトリマー及び4.7μHのコイルで約8MHzの
同調回路を構成しています。
 DDSからの信号は50Ω程で終端させたかったので、手持ちの200ΩのVRと並列に100Ωと330
Ωを入れ約55Ωとしています。
 X-talとDDSからの約8MHzの高周波(RF)は、それぞれ680Ωを介して直接接続し、ダイオー
ド(1N60)で"検波"をしてビート音を音声(AF)として取り出しています。互いに相手発振器に
対する影響を少なくするため680Ωを入れてあり、計算上は相互に-22dB程度の減衰となってい
ます。


3.発振器(周波数チェッカー)、及び全体構成

 A.周波数チェッカー
  以下のように組んであります。



  基板上の右よりにX-talソケットがあり、この写真ではX-talが挿入されています。コネ
 クタは、左上がAF出力、左下が電源(DC+5V)、右上がDDSよりのRF入力、右下が2T-OSCか
 らのAF入力となります。

 B.全体構成
  以下のような接続となります。



  左が周波数チェッカー、右上がDDS、そして右下が2T-OSCです。
  実際の測定は、周波数チェッカーにX-talを挿入し、ビート音を聴きながらDDSの周波数を
 可変し、ダブルビートの揺れがなくなるDDSの周波数読むことになります。

4.X-talの周波数チェック結果
 100個のX-talのうち1個が不良品で発振しませんでした。他の99個について測定したところ、
発振周波数の平均は7,998.90kHzで、平均偏差は約30Hzでした。ただ、平均値より100Hz以上
異なったX-talが3個あり、約250Hz低いもの、約120Hz低いもの、そして約100Hz高いものが
あり、これらを除いた96個での平均偏差は約24Hzまで下がるようです。
 8,000kHzのX-talなのに約1.10kHzの差が出ていますが、発振回路による影響なのか、ある
いは次に述べる精度に起因するものなのかの原因追求は行なっておりません。

 なお、測定は常温の部屋で3日間にわたって実施し、X-talの抜き差しも指で持って行ないまし
たので、発振周波数の精度はあまり良くなく、おそらく±15Hz程度はあるのではないかと思われ
ます。またDDSの発振周波数は1Hz単位で設定できますが、このDDSの発振精度も何ppmか正確に
分からないため測定した周波数にも誤差があるはずです。
 ただ、各X-talの相対的な周波数精度は(独断と偏見で)上記の±15Hz程度に収まっているので
はないかと思われます。

 これで、良好なX-talフィルタを作る準備はできたことになりますが、ちょっと時間がかかりそ
うです。