Taga_castillo

アマ無線、電子工作、歴史(古代)、ゴルフ、スペイン語、他

TS-440S の再利用のために

2020-06-19 14:44:34 | Ham(RX,TX,Ant)


0.はじめに
 友人から長い期間使っていないTS-440Sを預かり、動作が可能かどうか確認してみることにしました。
 友人が言うには、電源を入れても周波数等の表示がなされず使えないので、時間があれば見て欲しい、と言
うことでした。
 さっそく電源を入れてみると、ビビッと鳴った後、パネルの周波数表示は点滅して全く読み取れません。
 そこで、TS-440Sの取扱説明書をWeb上で探したところ日本語版が見つかったので、さっそくダウンロードし
ました。「保守と調整」の所を見ると、(A)部品配置図[上面]と[底面]、(B)リチウム電池について、(C)マイコンの
初期設定のしかた、の3項目は参考になりそうです(項番の(A)~(C)は取説には記述なし)。

 ところで、メーカー製無線機器のメンテナンスを手掛けたのは、昔FT-101Eの終段を6JS6パラからシングル
にし、そしてバンド切換えで「10MHzのJJY受信」を10MHz帯の送受ができるように改造したことだけで、
TRIO(KENWOOD)の無線機を扱うのは初めてです。

1.再利用するために実施したこと
1.1 「(C)マイコンの初期設定のしかた」には以下の記述があります。
  (注) なお、取説等の引用時には、これ以降先頭に"⇒"を付すこととします。
 ⇒ [A=B] (ボタン)を押しながら、POWERスイッチを入れると初期設定(リセット)されます。
 さっそく実施してみると、周波数表示等が"14,000.00kHz, USB"と表示されました。
 これは、「(B)リチウム電池について」に記述されている以下に該当するようです。
 ⇒ パワースイッチをON-OFFして周波数の表示が常にリセットされる(14,000.00MHz, USB)場合は、リチウム
  電池の寿命を示していますので、お早目に交換してください。

1.2 ビス類の取り外し
 取説にはビス類の記述がなく、とりあえず分かる範囲で外して行くことにしました。同じビスであれば戻す場
合でも場所を問いませんが、異なるビスの場合はどこに使われているか分かるようにしておく必要があります。
 進めていく中で、メインダイアル(VFOダイアル)を取り外そうとして、立ち往生しました。
ダイアルの側面に通常のツマミに使われるような穴があるのですが、ドライバの+、-、そして手持ちの六角
レンチでも引っかかりがありません。結果として、六角レンチの1.3 という細いもので外すことができました。
 ただ、後で調べたのですが、「サービスマニュアル(英文)」や「アマ無線機メインテナンス・ブック3」
にも記述はありませんでした。

1.3 リチウム電池の設置場所
 取説の「(B)リチウムイオン電池について」には以下の記述があります。
 ⇒ このセットには、メモリーのバックアップ電池としてリチウム電池が内蔵されています。リチウム電池の
  寿命は約5年です。
 ⇒ ご注意 マイコンバックアップ用リチウム電池を交換する場合は、お買い求めいただいた販売店、又は最
  寄りのサービスステーションにご相談ください。
 これを読むと2ヵ所にリチウム電池があるようにも読めますが1ヵ所のようで、マイコンの近くと言うことは
 コントロールユニットの所にあると思われます。

1.4 サービスマニュアルを探す
 取説だけでは詳細が分からないので、さらに詳しく記述されているものがないか探したところ「サービスマニ
ュアル」が存在することが分かりました。Webで探したところ2ヵ所でみつかり、さっそくダウンロードしまし
た。ただし、サービスマニュアルは英文で記述されています。
 サービスマニュアルで確認したところ、やはりコントロールユニットに電池があることが確認できました。
ただ、サービスマニュアルでもリチウム電池については型番等の詳細の記述がありません。
 また、サービスマニュアルの"DISASSEMBLY"のところにビス類の留め方の記述があるので、最初からここを
参考にすべきだったと思います。ただ、項番1.2で述べた、メインダイアル(VFOダイアル)の六角レンチ使用
についての記述はありませんでした。

1.5 リチウム電池の確認と交換
 リチウム電池があると思われるコントロールユニットが見えるところまで、ビスを外して行ったところ、オレ
ンジ色の電池が見つかりました。すぐ下の IC に接着されているリード線付の電池ですが、品名は確認できませ
ん。
 プリント基板からリードが出ており、その先で電池のリードと接続されていますので、プリント基板のリード
をのこしたまま半田鏝で電池を外したところ、電池はリード付の"CR2032"でした。当然のことながら、電池容量
は全くの空となっていました。
 リード線付のCR2032を使わずに済むようにケース(ソケット)を探したところ、タカチの"BCR20V4"が使え
るようなので、プリント基板から出ているリードに半田付けをしCR2032をセットしました。なお、電池ケース
は両面テープで IC に接着させました。
 この状態で電源SWを入れると、すぐ"14,000.00kHz, USB"が表示されました。7MHz帯を受信してみると良く
聞こえます。そして、いったん電源SWを切って、しばらくしてから電源を入れると、電源を切る前の周波数が
受信できるようです。

<リチウム電池の交換後>



 古いリチウム電池は右側に置いています。
 取り替えたリチウム電池はX-tal フィルタ[KENWOODの表示あり]の下方にあるまとまったケーブルの下で、
 セラミックコンデンサの左に白っぽく見えています。

1.6 他の項目の設定(変更)
 取説に記載されている以下の項目について設定(変更)を行ないました。
A) ディスプレイの10Hz表示 : 変更前は100Hz表示
B) CW400Hzシフトへの変更 : 変更前は800Hz
C) 50Wパワーダウン : 変更前は100W

 なお、「標準周波数の校正」(X-tal の基準発振周波数)を行なおうと思いましたが、JJYもないので実施し
ませんでした。なお、私のメインリグのJST-245との比較では、周波数はほぼ一致しているようです。
 そして、送受信関連のLCの微調整ですが、測定器の持ち合わせがなく、これも実施しておりません。

1.7 送信テスト
 一応、受信に関してはOKのようなので、ビスを締めてケースに入れた後に送信のテストを行ないました。
 A) 出力テスト(オートチューニングなし)
  ダミーロード・パワー計を接続し、各バンドで実施したところ30~40Wの出力となっています。
 B) オートチューニングテスト
  ダミーロード・パワー計を接続し、各バンドでSWR1.0近くまで行ってくれました。

2.最後に
 友人からTS-440Sを預かって、リチウム電池の交換等を行ないましたが、取説やサービスマニュアルの他
に「Web で紹介されているメンテの様子」や「アマ無線機メインテナンス・ブック3」を参考にさせて頂き
ました。ありがとうございました。
 ただ、OMの方々には既に分かっていることでも、初めて扱う機種だと勝手が分からずハードルが高く感
じるところがあるようです。今回はたまたまリチウム電池の交換だけで済みましたが、他のところに異常が
あればお手上げではなかったかと思っています。