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3.5MHz受信機の製作(13)

2013-03-27 18:50:53 | Ham(RX,TX,Ant)
4.使用感と修正個所
数日程ですが、3.5MHzを聴いてみた感じと手直しをしたところを書きたいと思います。

まず、修正個所ですが半田付けの間違いが2ヵ所ありました。
1.DETののところで、+6VからR(820Ω)とLPFを経由してドレイン(D)に電圧が供給されますが、RからLPFを通さずDに繋いでいました。サーと言うノイズが多くDETのところを調べていて気が付きました。手直しをしたところ、若干ですがノイズが少なくなったような気がします。
2.S-MeterのところでTr(2SC1959)のコレクタ(C)にR(1.5kΩ)を通して電圧が供給されますが、Rを+6Vでなくアースに繋いでいました。これではS-Meterが動くわけがありません。もっとも、手直しをした後も、強い信号であれば針は振れますが、弱い信号では振れてくれません。やはりバッファを入れた方が良さそうです。

次に使用感ですが、私のメインのトランシーバ(JST-245)で受信できる信号はなんとか受信できるようです。ただ、若干サーと言うノイズが気になるので調べていますが、どうも基板Bで発生しているようで、Mute(Key)をショートすると止まります。LPFを入れているのですが、ちょっと気になりますので、いつか詳細に調べてみようと思っています。
また、L-OSCのVXOですが、X-talの周波数より100kHz程下げて発振させているので、長く聴いているとほんの少しですがドリフトがあるようです。これは、X-talの周波数をもう少し低い9,950kHzあたりにすれば改善できると思います。

それから、OP-Ampについてです。LT1364とNJM2137Dを差し替えてみましたが、まず消費電力に大きな違いがあります。データシートにも書かれていますが、LT1364は約12mAで、NJM2137Dは約1.2mAとほぼ1/10です。6.4MHzのIF-Ampなので、GB値(積)が気になりましたがLT1364でも大丈夫なようで、ゲインも消費電力が大きい分LT1364が若干大きいようです。ただ、消費電力も含めて比較すれば、断然NJM2137Dの方に軍配があがります。

以上、2月上旬から回路図等の検討を始め、基板毎にテストをやりながら3.5MHzの(CW)受信機を作ってきました。若干の問題は残るものの実用になりそうです。QRP送信機、そして移動可能な短縮アンテナを持って外に出て運用してみたいと思っています。

3.5MHz受信機の製作(12)

2013-03-24 17:27:43 | Ham(RX,TX,Ant)
(3.製作(組立))
「製作(10)」に書きましたが、3.5MHzのSSBがMixerを経て逆サイド(USB)となっているので、BFOの周波数をX-talフィルタの(通過)周波数より下げる必要があります。X-talにFCZ5(6.75μH)を直列に入れているものの足りないようなので、L(22μH)を追加してみてトリマCを調整したところSSBを受信することができました。BFOの発振周波数を測定してみると約6,396.4kHzでした。
これで、一通りの確認が終わり受信機として動作するはずなので、ケース(YM-180)に穴を開け基板等を組み込むことにしました。フロントパネルとリアパネルは"SS-40"の時とほぼ同じにしましたが、基板は3枚に分割しているのでこの大きさであれば4枚まで収まるようです。(いつになるか分かりませんが)あとで別の周波数帯の基板を追加できるように1枚分を開けておくこととし、アンテナ用のBNCコネクタだけは付け加えておくことにしました。

実際に配置した様子は以下の通りです。



フロントパネルが、左からS-Meter、パイロットランプ、同調ダイアル、イアフォンジャック、音量VR、電源SWで、リアパネルが3.5MHz用BNC、追加用BNC、Mute、電源となります。
基板は、左手前(フロント側)が基板A、右奥が基板B(後述しますが、基板B'を追加しています)、そして右手前が基板Cです。基板AとBの間は1.7C2Vで、基板BとCの間は音声なのでシールド線で結んでいます。

実は、一度組み込んだ後に以下のような問題点があって回路の追加等をしています。
1.ゲインが不足している。
2.S-Meterが動作しない。

まず「1.ゲイン不足」ですが、"SS-40"と比較しても構成はあまり違いがないような気がしていたものの、聞いてみるとわずかに聞こえる程度です。AF-Amp(LM386)の端子1-8間に直列に入っている1kΩと22μFを10μFだけにすればゲインが上がりますが、基板の取り外しが面倒なので取り付けたまま1kΩの両端に22μFを追加しました。これは1kΩと22μFを外して11μFを付けたものと同等です。
だいぶ音量は上がったものの、まだ不足ぎみなので、さてどうしようかと考えました。基板の内部に回路を追加するのは大幅な変更となるので、追加するとすれば基板AとBの間、あるいは基板BとCの間になります。基板BとCの間は音声だけでなくMute用に直流電圧がかかっていて少し面倒なので、基板AとBの間にFET(3SK63)を使ったAmpを入れることにしました。X-talフィルタ側のインピーダンスが100Ωで、FETの出力(動作点)インピーダンスは2kΩ前後と考えられるので、12pF(Xc≒2kΩ)でカップリングしインピーダンス整合をとってみました。この部分が「基板B'」となります。

次に「2.S-Meterが動作しない」についてです。AGC回路は"SS-40"の回路を借用したのでこのまま動くと思っていたのですが、動いてくれません。当初、ゲイン不足なので音声を整流しても電圧不足だろうと思っていたのですが、上記のようにゲイン不足が解消した(と思っている)ものの、動く気配がありません。Tr(2SC1815)のCやE電圧を測定してみるとどうもTrが動作していないことが分かりました。つまり音声を整流してもB電圧が0.6V以上になっていないようです。
現時点ではS-Meter回路はこのままにしておきたいと思います。後で"SS-40"との違い等を探してみることにしますが、あるいは勘違いがあるのかも知れません。

基板AとBの間にFET-Ampを加えた、(現時点での)全回路図は以下の通りです。



しばらくの間これで3.5MHzを聴いてみて、その後改善しなければならない所を直して行くことにしたいと思います。

3.5MHz受信機の製作(11)

2013-03-18 23:10:34 | Ham(RX,TX,Ant)
(3.製作(組立))
[基板C]
基板A、基板Bは、RF、IFと高周波関連でしたが、基板Cは低周波(音声)と直流なのでベークの基板を使ってます。
内容は、Mute、AF-Amp、AGC-Amp、S-Meter、それに電源(PS)で、回路は以下の通りです。



なお、手持ちの部品を利用するため、Tr、C、R等の品名や値を変えているところがあります。
また、電源電圧ですが、当初5Vでの動作を考えていたもののOP-Ampは(半分の)±2.5Vとなってしまうため、電圧を6Vとし±3.0Vで動作させることにします。これは、GB値が少し上がりそうだと言うことと、他の部品(R等)の値を再度考えなくても良い範囲の電圧上昇ではないか、と思ったからです。

そして、実際に組んでみた基板Cは以下の通りです。



基板Cは、上側が右からMute、そしてAF-Ampで、下側の左からAGC-Amp、S-Meter、そしてPS(6V定電圧)となります。基板の外、左には1kΩのVRとイアホンジャック、そして右の上はAF入力、右の下は直流電源の入力(8V以上必要)で、今回はAF-Ampの動作確認だけを行ないました。この他に、Mute、AGC、S-Meter、LEDへの配線が必要ですが、これらはケースに入れて全体の動作確認と調整を行なう時に実施したいと思います。

ケースはタカチの"YM-180"を使う予定でおり、穴あけを行なって、基板、VR、アンテナ(BNC)端子等を取り付けてから結線することになるので、若干の時間がかかると思います。

3.5MHz受信機の製作(10)

2013-03-13 13:41:54 | Ham(RX,TX,Ant)
(3.製作(組立))
[基板B]
基板AにはRF-Amp,Mixer,L-OSCを入れたので、基板BにはIF-Amp,DET,BFO、そしてMuteも入れたかったのですが、スペースが足りずMuteは基板Cに入れることにしました。
IF-Ampの部分はOP-Ampを使った回路を見よう見まねで作ってみましたが、この回路は「非反転増幅回路」となるので増幅率は前回の値(A=Rf/Rg)ではなく以下のようになるようです。
A=1+Rf/Rg=1+1200/62≒20.4
∴ 20Log20.4≒26dB
このOP-AmpにはGB(GBW)積と呼ばれ、ゲイン(G)とバンド幅(B/BW)の積で示される値があり、SS-40で使われているLT1253は供給電圧が±5Vで90MHzと書かれているようです。今回手に入れたLT1364の場合はGB=70MHzと書かれており、使用する周波数が6.4MHzなので単純に計算すると10.9倍(+20.6dB)となります。ただ、供給電圧が低いので、ここまでのゲインはないと思いますので、秋月電子からNJM2137D(GB=200MHz)を購入し、比較してみたいと思っています。

回路ですが、以下の通りです。



以前の回路に修正を加えたところがあります。
1)FCZ5で6.4MHzに同調させるためのCを89pF(82+7pF)としました。これは、82pFあるいは100pFだとコアが入り切ったところか抜け切ったところで同調するので、これを避けるためです。
2)(どのくらい差があるか分かりませんが)DETの3SK63のSのバイパスCに0.01μFとともに22μFを追加し、低い周波数(AF)にも配慮しました。
3)OP-Ampの非反転端子(端子の3,5)から100Ωで供給電圧が半分の分圧点に接続していますが、ここに1μFのセラミックCを追加しました(詳細は後述します)。
4)Mute回路が入らないためDET出力に直流電圧が加わったままなので、直流をカットしAFだけをモニタするため0.01μFを付け加えています。

そして、実際に組んでみた基板Bは以下の通りです。



左側の線は基板AのMixer出力からのものです。

基板Bは、写真の上側がX-talフィルタとOP-Ampで、下側左半分がBFO、右側がDETとなっています。
修正3)に書きましたが、OP-Ampの上部に1μFのC(青色)が見えます。実は、当初0.1μFだけでバイパスしていたのですが、発振してしまいました。回路は見よう見まねで作成したので、あるいは思い違いもあるかも知れないな等と考えましたが、手をこまねいていてもしょうがないので、まず誤配線がないかチェックしたもののミスはありません。そこでオシロを取り出してOP-Ampの端子を見てみたら見事に山形の三角形が見えます。良く分からないまま、「回り込み」を起こしているかも知れないなと、非反転端子(3,5)から100Ωで接続されている分圧点にプローブを当てたら、なんとOP-Ampの端子と同じような波形が見えました。つまりバイパスがうまく行っていないことが分ったので0.33μFを追加してみましたが発振が収まりません。半分あきらめかけて、1μFのセラミックCを入れたら見事に発振が止まりました。
6.4MHzにおけるリアクタンス(Xc)を計算してみると、0.1μFでは約0.25Ω、1μFではこの1/10になりますが、Rf=1.2kΩ,Rg=62Ωという低い値だからでしょうか。あるいは今回は100Ω対0.25Ω(1/400)で不足だったと言うことかも知れません。

どうにか発振も止まったので、アンテナを基板Aに接続し、基板Aの出力を基板Bに繋ぎ、AFのモニタ点に手持ちの簡易アンプを接続してみたところ、3.5MHzのCWが聞こえました。これでなんとか基板Bの動作も確認できたことになります。
ただ、受信周波数を上げて行くとSSBが入感しますが内容が聞きとれません。単に3.5MHzはLSBということが頭にあったのですが、良く考えてみるとRF(3.5MHz)からIF(6.4MHz)に変換する時、L-OSC(9.9MHz)からRF(3.5MHz)を引算することになるので上下のサイドが変わってしまうようです。

基板Bの動作はなんとか確認できましたが、若干手直しが必要なようです。次いで基板Cを作りますので、その時に手直し分も記述することにしたいと思います。

3.5MHz受信機の製作(9)

2013-03-07 16:42:40 | Ham(RX,TX,Ant)
3.製作(組立)
各ブロックの回路の検討が終わったので、実際の製作(組立)を行ないたいと思います。
まず、プリント基板ですが、以前大きい基板に全回路を組み立てて手直しをするのが大変だった記憶があったので、今回は小さめの基板を複数枚使うことにします。RF部分には片面がベタグラウンド(ベタアース)のものを使いたいと思って探したところ、サンハヤトの"ICB-88SEG"という47.0x72.0mmの大きさのものが見つかりました。
さっそく配置を考えてみましたが、RF-Amp,Mixer,L-OSCで1枚("基板A"と呼ぶことにします)、IF-Amp,DET,BFOで1枚(基板B)で収まりそうです。また、AF-Amp,AGC,S-Meter等はベタグランドのものは必要ないので、手持ちで同じ大きさの"IC-301-70"(基板C)を使おうと思います。

他のパーツも手持ちのものを使うつもりで在庫の確認したところ、袋で買ったので残っていると思っていたC(0.015μF)やTr(2SC945)は残りが少ないことが分かり、回路図上の品名等を変更してあります。
また、FCZコイルもハムバンドのものは入手が難しく、やっとFCZ5やFCZ9が入手できるようです。今後は代替品か自作する必要がありそうです。

[基板A]
RF-Amp,Mixer,L-OSCの回路ですが、以下の通りです。



検討時と若干の違いがあります。
1)アンテナからの過大入力を抑えるため端子間に1N60を入れました。
2)RF-Amp(2SK168)のソース(S)にAGC用の2SC945を入れてあります。
3)基板Aを単独で動作させるため、上記2)のTrのコレクタ(C)とエミッタ(E)の間、またAGC信号を受ける2SC945のCと+6V電源の間に、それぞれJMP1とJMP2のジャンパピンを入れました。つまり基板Aの単独動作の場合はJMP1をショートし、受信機全体として動作させる時はJMP2をショートさせます。
3)基板への配置スペースの都合から、L-OSC用のX-talとコイルの位置を入れ替えました。
4)RFとMixerの動作の最良点を得るため、それぞれのFETのSに470ΩのVRを入れGバイアスを変えられるようにしました。
5)Mixerへ供給するL-OSCの発振出力レベルを変えられるように、L-OSCのバッファ(2SC1815)のEに470ΩのVRを入れてあります。
6)3.5MHz用のFCZ3R5が手に入らなかったので、FCZ5を使っています。

そして、実際に組んでみた基板Aは以下の通りです。



基板Aの単独動作確認のため、アンテナ用のBNCコネクタ、L-OSCの周波数可変用のVR、そして負荷として100ΩのRを付け加えてあります。

基板Aは、写真の上側半分がRF-AmpとMixerで、下側半分がL-OSCとなります。基板に載せることはできましたが、結構込み入ってしまいました。
配線等を再チェック後、電源+6Vを供給しL-OSCの発振周波数のチェックを行なったところ、9,900.0kHz前後から約50kHzの周波数変化が得られ、3.5MHzのCW用には十分な変化幅となりました。
そしてアンテナをつなぎ、トリマコンデンサで3.5MHzに合わせ、出力側の100Ωの両端から他の受信機につないだところ、6,400kHz付近で3.5MHzの信号を受信することができたので、一応基板Aの動作を確認することができたことになります。