Taga_castillo

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UTC7642のfmaxのチェック回路

2018-12-23 22:59:57 | 電子工作
0.はじめに
 "UTC7642"は中波のラジオ放送の受信用に使ったことがあり、短波帯用にもIF増幅+AM検波で利用できるの
ではないかと思いつつも、CWやSSBではBFOの入力をどうするか、ちょっと難しそうだなと思っていました。
 ところが、CQ誌の11月号の「モニタ受信機の製作(JA3VQW、多田氏)」の記事にK1ELの"AM/SSB受信機キッ
ト"の事が掲載されており、アクセスしてみたところ回路図も見ることができました。
 SSB受信機ゆえ当然ながらBFO回路もあり、これは利用できそうだなと思ったしだいです。
 そうするとUTC7642で利用できる最高周波数はどの位かと思い規格表を見てみると、"Practical frequency
range"として150kHz~3,000kHzと書かれているものの、実際はどの程度だろうかと思い測定してみることにしま
した。

1.f maxの測定回路
 "UTC7642"を利用する場合の回路は簡単ですので、前段にAM変調回路を付加してRF周波数を変えてやればよ
さそうです。既に手持ちに"DDS"とAFの"2Tone-OSC"があるので、これを利用して変調回路だけを作ることにし
ました。
 もっとも、"UTC7642"の周波数特性を測定するのに入力レベル等を一定にする必要がありそうです。
 その回路は以下の通りです。



 簡単に説明したいと思います。
 DDS(RF)と2Tone-OSCからの信号は56Ωで終端し、コンデンサを介してそれぞれG1とG2に入力します。G2
のバイアス電圧はS(ソース)の電圧を利用して回路を簡単にしています。また、D(ドレイン)の負荷はFCZ7を
使いインピーダンスを落として62Ωで終端してあります。なお、オシロを介して62Ωの両端を見たところ変調度は約
25%のAM波となっています。
 次いでLPF、そしてATTを経由し、VRでAM変調波出力を調整できるようにしてあります。
 なお、LPFは入出力が62Ωでfc≒9.9MHzとなっており、ATTは入出力が62Ωで減衰量は約-4.8dBでVRの
変化によるSWRは2以下に抑えています。
 "UTC7642"の回路では、5KΩのVRと100Ωを介して電源を供給しています。
 また、電源回路は入力が5V(~12V)とし、UTC7642へは330Ωと1N4002x2で約1.4Vを得ています。

 実際の様子は以下の通りです。



 左側の端子は上から変調部の"RF-in"、"RF(AM)-out"、そしてUTC7642側の"RF(AM)-in"、"AF-out"で、
右側の端子及びVRは上から変調部の"AF-in"、"RF(AM)-out-cntrl"、そしてUTC7642側の"R-AGC"、及び電
源入力となります。

2.測定結果
 "UTC7642"は(RF)増幅回路とAM検波回路ですので、RF入力レベルを周波数により変わらないように一定(約12
mV)に調整し、AF出力をオシロで見ることにしました。RF(AM)入力周波数に対する出力電圧は以下の通りです。
 f[MHz] AF out[mV]
   1   3.6
   2   4.0
   3   4.0
   4   3.5
   5   2.6
   6   1.7
   7   1.0
   8   0.5
   9   0.3
  10   0.2

 この結果から見ると、規格表に近いようですが、3.5MHzでは使えそうです。ただ、7MHzは難しそうです。
 なお、今回は"R-AGC"のVRを変化させての測定は行ないませんでした。

3.おまけ
 上記のように"変調部"と"UTC7642"側を分けていて、外部で接続するようにしています。これは、UTC7642
の入力に(例えば)中波の同調回路を接続すると中波(AM)放送を受信することができるようになります。
ただ、ハイインピーダンス(同調回路から直接)のままだと選択度が落ちるので、ローインピーダンス(バーア
ンテナ等にアンテナ接続用として巻いてある)で接続した方が良さそうです。

X-tal (8MHz)の発振周波数チェッカー

2018-06-18 00:21:03 | 電子工作
0.はじめに
 2018年3月11日に仙台において復興アマ無線フェスティバルが開催され、その時に8MHz
の水晶振動子(X-tal)を100個、550円(安い!)で購入しました。用途としてはフィル
タ作成を考えましたが、まだ作成に至っておりません。
 さて、100個もあることから個々のX-talの実際の発振周波数を確認してみようと考えま
した。これはフィルタを作成するうえでX-talの周波数が近い方が良好な性能が得られるの
ではないかと思ったからです。

1.発振周波数の確認方法
 精度の高い周波数カウンタがあればそれに越したことはありませんが、残念ながら持ち合
わせておりません。しかし、以前作成したDDSがあり、50Hzから20MHzまで1Hz単位で
発振周波数を設定できるので、このDDSとX-tal発振器との間でビートをとって周波数を確
認しようと考えました。
 互いの周波数(8MHz前後)間でビートをとっても耳に聞こえない程の低いビート音になると
お手上げです。それゆえX-tal発振器の方に軽く変調をかけてダブルビートが得られるよう
しようと考えました。ちょうど2トーンオシレータ(2T-OSC)もあることから、これを利用す
ることにします。

2.発振回路
 手持ちの2SK168を利用して発振回路を作り、ソースから音声を入れて軽くAM変調をかけ
ることにしましたが、この2SK168からの8MHzとDDSからの8MHzをどのように混合したら
良いか悩みました。ダブル・バランスド・ミキサ(DBM)等を使わずにもっと簡単な構成にで
きるのではないかと考え、いろいろと試してみました。
 その結果、回路図のように双方の信号を直接接続し検波することでダブル・ビートを聞く
ことができることが分かりました。
 



 周波数チェッカー回路の概要を説明します。
 まず発振回路ですが、2SK168による一般的な回路です。ただ、ソースに10μFを介して音
声が入るようにしてあります。ドレインからはキャパシティ分割で後段に出力しています。
390pFの8MHzにおけるリアクタンス(Xc)は約51Ωとなります。また、47pFと390pFの
直列接続なので約42pFとなり、この42pFと50pFのトリマー及び4.7μHのコイルで約8MHzの
同調回路を構成しています。
 DDSからの信号は50Ω程で終端させたかったので、手持ちの200ΩのVRと並列に100Ωと330
Ωを入れ約55Ωとしています。
 X-talとDDSからの約8MHzの高周波(RF)は、それぞれ680Ωを介して直接接続し、ダイオー
ド(1N60)で"検波"をしてビート音を音声(AF)として取り出しています。互いに相手発振器に
対する影響を少なくするため680Ωを入れてあり、計算上は相互に-22dB程度の減衰となってい
ます。


3.発振器(周波数チェッカー)、及び全体構成

 A.周波数チェッカー
  以下のように組んであります。



  基板上の右よりにX-talソケットがあり、この写真ではX-talが挿入されています。コネ
 クタは、左上がAF出力、左下が電源(DC+5V)、右上がDDSよりのRF入力、右下が2T-OSCか
 らのAF入力となります。

 B.全体構成
  以下のような接続となります。



  左が周波数チェッカー、右上がDDS、そして右下が2T-OSCです。
  実際の測定は、周波数チェッカーにX-talを挿入し、ビート音を聴きながらDDSの周波数を
 可変し、ダブルビートの揺れがなくなるDDSの周波数読むことになります。

4.X-talの周波数チェック結果
 100個のX-talのうち1個が不良品で発振しませんでした。他の99個について測定したところ、
発振周波数の平均は7,998.90kHzで、平均偏差は約30Hzでした。ただ、平均値より100Hz以上
異なったX-talが3個あり、約250Hz低いもの、約120Hz低いもの、そして約100Hz高いものが
あり、これらを除いた96個での平均偏差は約24Hzまで下がるようです。
 8,000kHzのX-talなのに約1.10kHzの差が出ていますが、発振回路による影響なのか、ある
いは次に述べる精度に起因するものなのかの原因追求は行なっておりません。

 なお、測定は常温の部屋で3日間にわたって実施し、X-talの抜き差しも指で持って行ないまし
たので、発振周波数の精度はあまり良くなく、おそらく±15Hz程度はあるのではないかと思われ
ます。またDDSの発振周波数は1Hz単位で設定できますが、このDDSの発振精度も何ppmか正確に
分からないため測定した周波数にも誤差があるはずです。
 ただ、各X-talの相対的な周波数精度は(独断と偏見で)上記の±15Hz程度に収まっているので
はないかと思われます。

 これで、良好なX-talフィルタを作る準備はできたことになりますが、ちょっと時間がかかりそ
うです。

2-tone-oscillator

2017-10-09 07:53:34 | 電子工作
0.はじめに
 シングル・トーン発振器としては以前トラ技の増刊の「ディジタル周波数シンセサイザ
基板[DDS搭載]」を使って作ったことがありましたが、SSB等の送信機を調整するに
は"2-tone-oscillator"(2-t-OSC)を利用すべきだと聞いていました。
 友人から借用した"2-t-OSC"の波形をオシロで見たらちょっと歪みがあるようなので、
もう少しサイン波に近づけないかな等と考え製作を試みました。

1.発振回路の選定
 どんな回路を使おうかと考えて色々と探したところ、ツインT回路で発振させられるこ
とが分かりましたが、意外と資料が少ないような感じがしました。どうも(当然ながら?)
発振回路としてではなくフィルタ回路としての方が有名なようです。
 ちょうど"トラ技SPECIALの2017年夏号"の「実践式!トランジスタ回路の読み解き方
&組合せ方入門」の中に「(ツインT形フィルタとトランジスタ1個で作れる)1kHzテス
ト用正弦波発振器」が紹介されているのを見つけました。
 さっそく、これを参考にして製作することにしました。
 いつもの事ですが、手持ちのパーツを利活用することにしているので、C・R等の値は
適当に決めています。

 作成した回路は以下の通りです。


 なお、発振周波数はLPFとHPFのCとRをある一定の条件で設定すれば、f=1/(2πRC)に
なると言われていますが、"トラ技SPECIAL"の記事ではその条件に増幅率が入っています。

2.回路の説明
 それでは簡単に回路の説明をしたいと思います。
 まず"2-t-OSC"の場合、低い方の発振周波数(fL)の整数倍にならないように高い方の
発振周波数(fH)を設定しなければならないので、抵抗(8.2kΩ)は固定としコンデンサ
(発振回路はフィルムコンデンサを使用)を整数倍にならない値としています。

 つまり、fHの発振回路で説明すると、"8.2kΩ、0.022μF、8.2kΩ"がLPFであり、"0.01μF、
10kΩ-VR、0.01μF"がHPFとなります。HPFのRをボリューム(VR)としていますが、当初
設定した固定抵抗では発振しなかったので、発振を確実にするためRをVRとしています。
 結果として、後で歪が少ない波形を得るために役立ちました。
 また、Tr1(2SC1815)のベースには直列に2.2kΩが入っており、歪低減用のRとしています
が、当初"トラ技SPECIAL"の記事の通りに12KΩとしたところ発振しなかったのでこの値と
なっています。
 このTr1で発振させ、Tr2(2SA1015)をエミッタフォロワのバッファとして使っています。

 また同様に、fLの発振回路も"8.2kΩ、0.066μF、8.2kΩ"のLPF、"0.033μF、10kΩ-VR、
0.033μF"のHPFで構成しています。

 この後、2信号(fHとfL)を一緒にし、さらにTr5(2SC1815)のバッファを通して出力し
ています。

3.出力波の歪の低減
 当初、エミッタフォロワのTr2とTr4(2SA1015)のエミッタ抵抗を470Ω、Tr5のエミッタ
抵抗を500Ω(VR)としていたのですが、Tr5の出力に接続する負荷のインピーダンスが低い
(32Ω、あるいは16Ω)と歪が多くなることから、330Ωをパラに入れて約200ΩとしTr5のエ
ミッタ電流(≒コレクタ電流)を多くして、負荷インピーダンスが低い場合でも歪を極力少な
くしています。
 逆にTr2とTr4の負荷は数kΩと高いため、エミッタ抵抗は1.1kΩで十分のようです。

 また、HPFの所に入れた10kΩ-VRですが、このVRを調整することによって発振周波数を変
化させることが可能です。ただ、抵抗値を下げ発振周波数を上げて行くと歪が大きくなりま
す。そのため、VRは発振を維持する最低周波数よりほんの少しだけ上のところにセットし、
歪を最小(オシロで見て歪が分からない程度)としています。この時のVRの値は、fLで約
2.1kΩ、fHで約1.9kΩとなりました。

 なお、発振周波数(fL、fH)を前述の「ディジタル周波数シンセサイザ基板[DDS搭載]」
を使った発信器とビートをとって比較したところ、fL=792Hz、fH=2,264Hzとなりました。
ただ、792Hzx3=2376Hz となりfHと112Hzしか離れていないので、もう少し離れた周波
数関係にした方が良いかも知れません。

 なお、"2-t-OSC"は以下(写真)のように組んであります。


 手前左から「電源SW」「パイロットランプ」「出力ボリューム」、そして奥の左から「fL
レベル調整ボリューム」「fHレベル調整ボリューム」「出力ジャック」となっています。
 fLとfHの出力をオシロで見てみると、最大出力レベルは、560Ωの負荷で約340mV(p-p)、
56Ωの負荷で約250mV(p-p)となりましたが、どちらの場合もfLの出力レベルが若干低いよう
です。これはカップリング・コンデンサが影響していると思われます。

FM補完放送用クリコン(Crystal Converter)の試作(追記)

2017-03-28 22:31:12 | 電子工作
3.(追記)
 一応、FM補完放送(93.5MHz)が受信できることが分かったので、ケースに入れることにしました。
 電源はUSB(DC5V)を利用することにしたのですが、電池3本(4.5V)もケースに入れて、USBと電池の両方で使える
ようにしました。

 以下の写真がケース(12x6x2.4cm)に入れた状況です。


 左側がクリコン部で、右の電池ケースにはまだ電池を入れていません。クリコンの下部がアンテナ端子で、上部の左がFM受信機へ
のフィーダー、上部の右がUSB(B)のコネクタです。
 USBはDC5Vなので、プラス側はシリコンダイオードを経由し電池に接続し、そこからクリコンへ電源を供給するようにしまし
た。ダイオードを入れることで電圧が0.6V程下がるので、電池を入れたままUSBからの電源を供給しても大丈夫かな等と考えま
した。ただ一般的に、マンガン電池やアルカリ電池は充電しない方が良いので、USB電源を使うときは電池を外しておいた方がよさ
そうです。

 また、実際に使ってみたところ、クリコンの電源を入れたまま、あるいは電源を切った場合でも、NHK-FMやFM仙台が聞こえ
ることが分かりました。そして、クリコンの電源を入れることでFM補完放送の93.5MHzが83.5MHzのところで聞こえる
ようになります。これは、FM放送局から近く強電界エリアにいるからかな等と考えています。

FM補完放送用クリコン(Crystal Converter)の試作

2017-03-25 23:52:28 | 電子工作
0.はじめに
 仙台でも中波放送(TBC:東北放送)のFM補完局放送(93.5MHz)が開始されることになり、既に予備免許が下りており
実際には放送を開始しています。
 私が持っている半世紀前のFM受信機は、当然ながら76~90MHzしか受信できないので、簡易なクリコン(X-tal Conv)を
作ってFM補完放送を聞いてみようと考えました。

1.試作回路
 以下の項目を考慮して回路を考えることにしました。
 (1)回路は極力簡単にする。
 (2)スポット(93.5MHz)ではなく、FM補完放送帯域をカバーする。
 (3)極力手持ち部品を利用する。
 (4)(USBの電源利用を考えて)電源電圧はDC5Vとする。

 以上を考慮し、作成したのが以下の回路です。


 局発部はJ-FETの2SK168を使いシンプルな回路としていますが、"FCZ10.7"を使ったところやや周波数が高いようなので、トリマ
(20pF)を追加しています。
 混合部はMOS-FETの3SK63を使い、入力側と出力側は非同調としています。ただ、局発周波数が10MHzなので、93.5MHzと73.5MHz
の両方が83.5MHzに変換されることになります。入力と出力側のコイル(T)は、昔VHF用としてジャンクで手に入れたものです。
 この中で私が購入したのは10MHzのX-talのみ(100円以下)で、他は手持ちの部品を利用しました。
 プリント基板は汎用の4.5cm x 4.5cmのもので、今は裸にしていますが何らかのケースに入れようと考えています。
 また、局発周波数を10MHzにしたのは、FM受信機の周波数目盛に10MHzを加えるだけで受信しているFM補完局の周波数が読める
と言う理由からです。ただ、83.5MHz付近に既存のFM放送がある場合は局発周波数を変える必要があると思います。

2.利用感
 夜間のAM放送は混信やノイズが入り聞きにくいものですが、このクリコンを使えばFM放送としてクリアに受信できます。
 また、心配した73.5MHzは仙台では問題ないようです。