平らな深み、緩やかな時間

0.ブログのタイトルについて

このブログのタイトル「平らな深み、緩やかな時間」というのは、絵画のことです。
昔、神田に真木画廊(後に、田村・真木画廊)があった頃に、仲間と三人で開いたグループ展のタイトルでもあります。
「絵画とは平らな深みであり、そのなかには緩やかな時間が流れている」という意味ですが、その言葉をタイトルに付した展覧会を、絵画を描いていた三人で開いたのです。その頃に固執するつもりはありませんし、私の絵画もだいぶ変わりましたが、絵画の中には緩やかな、そして豊かな時間が流れていてほしい、という思いはいまも変わりません。私は貧乏性な性格のせいか、あるいは才能が足りないせいか、どうも描いた絵がせわしなくて困ります。
言うまでもないことですが、絵画の中に流れる時間というのは、実際に制作にかかった時間とか、描かれたモチーフが表している時間とか、とは直接関係ありません。たとえば、アメリカの抽象表現主義の画家、ポロックやデ・クーニングの激しい動作で描かれた絵が、緩やかな時間を感じさせることもありますし、一瞬の場面を描いた作品が悠久の時間を感じさせることもあります。
じっくりと絵を描く時間があれば自分だって、というのは言い訳に過ぎません。たとえばドイツのエミール・ノルデはナチスに退廃芸術の烙印を押され、隠れて絵を描くことを余儀なくされたそうですが、それらの作品からは小さな水彩画、という以外にそんな状況を感じさせるものはありません。少なくともあわてて描いたようには見えないのです。
これはやはり才能の問題・・・、とわかってはいるのですが、なにぶんにも自分のことですから、納得して終わり、というわけにはいきません。絵を描くことは好きなので、どうしたら「平らな深み」である平面上に、「緩やかな時間」を感じさせるような絵が描けるのか、とこれからも考えていくことになるでしょう。
このブログは、そんなことを綴ったものになります。くだらない悩みと無縁な人には面白くもないと思いますが、もしもお付き合いいただける方がいれば、幸いです。
石村 実

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