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国際版 少年少女世界童話全集⑰ 《こうのとりになった王さま》

2022年12月15日 23時00分00秒 | 童話
ますます寒くなってきました。個人的には嫌な季節です。




忙しかったので、更新が滞ってしまいました。




梟の姿も見えます。




どんな物語なのでしょう。




そんな粉薬が欲しい!




この巻には七つの作品が収録されています。






ある日のことです。王様の城に一人のお爺さんが訪ねてきました。
お爺さんは王様に小さな箱を差し出します。
箱の中には粉が詰まっていました。
お爺さんの話では、これは魔法の粉だそうです。
この粉の匂いを嗅いで『ムタボール』という魔法の文句を唱えれば、
動物に化けられるらしいのです。
また、動物に姿を変えている間は笑ってはいけないそうです。
笑ってしまうと、『ムタボール』という文句を忘れてしまって、
元の姿に戻れなくなるのです。




次の日、王様は大臣を連れて、魔法の粉を試してみることにしました。




池の近くに二羽の鸛がいました。




王様と大臣は粉の香りを匂いを吸い込むと、声を揃えて『ムタボール!』
たちまち二人は鸛に姿を変えました!




それと同時に、二羽の鸛の声が聞こえてきました。

『あの五位鷺の奥様って、嫌な方ですよねぇ』

『そうですわねぇ』

『この間のことですわ。カエルを捕まえたから持っていってあげましたの。
 すると、『私たちはドジョウしか食べません』なんて言ったのよ』

『まあ! 失礼しちゃいますわね』




話を聞いていた王様と大臣は思わず笑ってしまいます。

『し、しまった! 大臣、魔法の文句は覚えているか?』

『それがさっぱり…』

一大事です! このままでは、二人は鸛の姿で一生を過ごすことに…




それから四~五日が過ぎました。
王様と大臣が城の上で羽を休めていると、賑やかな一団がやってきます。

『新しい王となったミズラ様に拍手を!』

町の人々が歓声を上げています。

『あのミズラが王だと!?』

王様の顔色が変わりました。ミズラというのは、非常に悪賢い男です。
今までに何度も城を乗っ取ろうとした悪人なのです。

『魔法の粉を持ってきた老人はミズラの手先だったのだ!』

ミズラは王位を奪うために、あの老人を城へ送り込んだのです。
王様たちはミズラの計略に引っ掛かって、鸛になってしまったというわけです。

『王様、これからどうしましょう?』

『とりあえず隠れよう。そして今後のことを考えるのだ』

王様と大臣は空へ飛び立ちました。




しばらく飛んでいると、廃墟が見えてきました。
崩れた柱や壁… どうやら昔は立派な城だったようです。
王様と大臣は廃墟に舞い降りました。おや? どこからか声が…

『誰かが泣いているような… 行ってみようか』

『王様、およしなさいまし』

大臣は止めましたが、王様は声の聞こえる方へ近づいていきます。




声の主は梟でした。何か悲しいことがあったのでしょう。
王様は梟に優しく声を掛けました。

『梟さん、何を嘆いていらっしゃるのかね?』

『あら? 鸛さん、こんな所に何の用が?』

『いやいや、こう見えても我々は人間なのです』

王様は今までのことを梟に話しました。




話を聞いた梟が口を開きます。

『ある日、一人の魔法使いがやってきました。
 この城の一人娘である私に、『ミズラと結婚しろ』と言うのです。
 私が断ると、魔法使いは父を殺しました。
 そして私も梟に変えられてしまったのです』

『許せん!』

王様は腹を立てて叫びました。

『ああ、元の姿に戻れないだろうか。
 そうすれば、ミズラを懲らしめてやれるのに…』

『それでしたら、いいことがございますわ』

梟の姿の姫が言いました。

『今日は魔法使いたちの宴会が開かれる日です。
 この城に大勢の魔法使いが集まるはずです』

これはチャンスです!
うまくいけば、大事なことを盗み聞きできるかもしれません。

『よし、任せてください!』

王様と大臣は柱の陰に隠れて、魔法使いたちが来るのを待ちました。




やがて魔法使いたちが次々に集まってきて、宴会が始まりました。
その中には魔法の粉を作った魔法使いの姿も…!

『この間、王様と大臣に魔法の粉を使わせたんだ。
 あいつらは一瞬にして鸛になっちまった』

『もう元に戻れないのか?』

『ああ、ムタボールという魔法の言葉を忘れてしまったからな!』




人間に戻る文句がわかったので、王様たちは小躍りしました。




『ムタボール!』

こうして王様と大臣は元の姿に戻ることができました。
しかし、姫は梟のままです。

『私の呪いを解く方法は一つしかありません』

『その方法とは?』

『誰かが私に結婚を申し込んでくださることです』

王様は悩みましたが…

『あなたのおかげで私は元の姿に戻れました。どうか結婚してください』




呪いが解けて、梟は美しい女の人に変わりました。
王様はミズラと魔法使いを捕まえると、魔法の粉で二人を鸛に変えました。
その後、ミズラたちの姿を見た者はいないそうです。
王様と姫は姿を変えられていたときのことを思い出しながら、
幸せに暮らしているそうです。




秘密の部屋を覗くと…




一位でゴールイン!




何を話しているのでしょう。




パンを作るカエル…?




見事なダンスです。




視線が集まります。




突然、目の前に見たこともない景色が…




氷の上で歌い続ける少女…




いくつもの嘴が襲ってきます!


世界に伝わる童話だけのことはあります。楽しく読むことができました。
他の収録作品も熟読したいですが、なかなか時間が…

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