たけのこ新聞の事件簿

離婚をきっかけに、今まで心に溜めていたことを書いています。離婚、エコ、世間の常識(のようなもの)についての疑問などなど。

ちょっと思いついた⑮ 老後のこと

2023年10月27日 | 思いついたこと

『仕事を隠居して、悠々自適に人生の残り時間を過ごせる老年期』なんてものを夢見る世は、もう終わったのだろうか。

周囲の人から、ほどほどに敬われて過ごす時間。これまでに培ってきた知恵や経験を、自分なりにまとめる時間。そして世間を少し離れた立場で、生き死にを考える時間。

引退してこんな豊かな時間を持てるのは、なんと運の良いことなのだと思う。生まれてから老年に至る間に、さっさと人生を終えてしまう可能性はいくらでもあったのに…なんて思う私は、能天気なんだろうか。

近頃のインターネットの記事を眺めていると、下流老人だの、老後破綻だの、気分の悪い言葉がいくつも出てくる。人の人生に対して敬意もなく不安をあおるようなタイトルを見ていると、イラっとする。世の老人がそんなくだらない記事に惑わされることなく、充実して過ごせる風潮になるといい。

 

なぜこんなことをいうかと言うと、自分の親が老年になって、仕事を引退し、すっかりうつになってしまったからだ。これまでの人生、仕事しかなかったという訳ではないが、人間関係とは、積極的につながろうとしなければ、疎遠になってしまうのだろう。家に引きこもり、実際には心配しなくてもいいことに、いちいち不安を感じ…例えば、家が古くなって倒壊するだとか、迷惑電話に怯えるという、私から見たら妄想のような不安で一日を過ごしている。しんどいだろうな。

冒頭で怒ったような、下流老人の記事のせいで親がうつになったとは言わない。言わないが、老人は途方もなくお金を持っていないと破綻するだとか、体の不調や不自由さを惨めだとか、そういう風に思わせることで、あおって注目を集めようとする意図が感じられて不愉快だ…歳とって体の自由が利かなくなってくるのは当然のことじゃないか、余計なお世話だ。

行動の範囲が少しずつ狭くなっていき、外からの刺激よりも内なる言葉に耳を傾け、人生の始末を徐々につけていく。そういう風に人は出来ているのだ、きっと。

それを若い人間の感覚で、惨めだ哀れだなんて失礼千万。そんなろくでもない記者(ライター)がいなくなるだけで、もう少し穏やかな世になると思うのだが。人を落ち込ませてそんなに楽しいか、まったく。

つづく

 

 

 

 



コメントを投稿