一昨日の三月末、ひとつのお菓子が生産終了となり、その長い歴史に幕を閉じた。
8cmほどの円筒形の包装。
ミントカラーのパッケージと、レトロなフォントの商品ロゴ。
スリーブをはがして包装紙をめくると、ミントの香りが漂ってくる。
一列に並んだ真っ白なタブレットが姿を現す。
明治製菓のカルミン。
大正10年に誕生した、実に90年以上も製造・販売の続いた、
超ロングセラーの駄菓子だ。
清涼菓子はまだ、ハッカ飴やニッキ飴などしかなかったと思われる時代、
このカルミンは、現代のミンティアやフリスクのような、
ミントフレーバーのまったく斬新なお菓子として誕生したのだ。
名前の由来は、「カルシウム+ミント」。
ラムネのようにコーンスターチやデンプンで作られているのではなく、
ゼラチンとカルシウム、砂糖で作られている。
そのため、食感はラムネのそれと異なりポリポリと固く、
唾液で思うように溶けない。
タブレット表面には“MS”と謎めいた刻印がされてある。
モビルスーツ?とか思って長らく意味が解らなかったが、
最近になって、これが明治(Meiji)製菓(Seika)の略だと知った。
自分たちが子どもの頃は、パッケージはもっとシンプルで、
外装のフィルム(スリーブ)はなく、紙だけだった。
過去には、いちご味やマンゴー味などのバリエーションもあったらしいが、
自分は残念ながら、それらを見たことがない。
カルミンの生産終了の話題を、昨年末にラジオで知った。
リスナーの投稿か何かだったと思うが、それを聴いて衝撃が走った。
すぐに近所のスーパーで10本の大量買いをした。
だが、今となっては箱買いしておくんだったと後悔している。
というのも、これに似た味、食感のお菓子が存在しないのだ。
カルミンのライバルたち?
ミンティアやフリスクはミントが強烈過ぎて甘みもなく、あれはお菓子とはいえない。
ヨーグレットは酸味と甘みが強く、そもそもヨーグルト味でミント味がしない。
ジューCも同じく、サイダー味が近いと思われるが、ミント味がない。
メントスにミント味が存在するが、あれはソフトキャンディであって食感がまるで違う。
いろいろ探って、食感が似ているお菓子がひとつ思いついた。
固くてポリポリしている食感、ほのかな甘み、これが最もカルミンに近いか。
ただ、ココア味(他にもあるが)であって、ミント味ではないんだよな・・・。
サワー味がいちばん近いかな。
オリオンのココアシガレット。
形状はまったく違うものの、固さなど食感はよく似ている。
生産終了に至った理由が明治製菓のサイトにも記載されていないので判らない。
原材料が確保できなくなったとか、工場ラインの廃止とか、そういった理由でないならば、
やはり売上が落ちて不人気商品となったと捉えるのが自然だろうか。
今再び食べてみると、確かに子どもウケする味ではない。
とはいえ大人が頻繁に食べるものでもない。
ミントの清涼感も、現代では味わうものではなく、
単にブレスケアなど、口内のエチケットのためのものになっている。
時代の変遷によって姿を消してしまうものがあるのは仕方がないこと。
あるものは時とともに形を変えて、ずっと在り続け、
あるものは不変のままであっても在り続け、
そしてあるものは時代の波の中で姿を消してゆく。
カルミンもまた、このめまぐるしい時の移ろいのなかで、この春とうとう姿を消したのだ。
カルミンの後は、ヨーグレットが引き継いでくれる。
これもけっこうロングセラーだよな確か。
とはいえ、90年以上も売れ続けた商品。
日本の菓子の歴史に、その名をしっかりと刻銘したはず。
一時復刻でもいい。
いつかまた製造販売される日が来ることを切に願わん。
・・・・いや。
カルミンの前に、明治なら杉の子の復刻をだな。
いや森永つくんこと、ぬーぼーも捨てがたい。
いやいや東ハトの百点満点を!
もう在庫これだけに・・・。
箱買いしておくんだった。
私はカルミン大好き人間です。
生産終了の数か月前にハマってしまい、毎日食べていました。生産終了のニュースを聞いたときはショックどころではありませんでした。
あの食感、味、他に代わるものはないですよね
。明治に何度も再発売を訴えましたが、相手にされず無視状態です。
ロングセラー商品なのに、勿体ないですよね。
復活を心から願っています。
コメントありがとうございます。
おおっ!
カルミンが大好きな方からコメントいただけるとは光栄です。
菓子メーカー最大手の明治としても、
ロングセラー商品を生産中止にしなければならなかった、
なんらかの理由があったのでしょうね。
確か晩年は国内ではなく東南アジアで製造していたと思うので、
そっちの製造ラインや契約などの都合だったのかもしれませんね。
一時的でもいいから、また発売してもらいたいですね。
もし復刻したら、たぶん箱買いしますよ。