よろず戯言

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シェフ ~三ツ星フードトラック始めました~

2015-03-30 01:03:10 | 映画

先日の休みに映画を観に行った。

ジョン・ファブロー主演・脚本・監督のドラマ、“シェフ ~三ツ星フードトラック始めました”だ。 
 

 
 

年明け頃から予告編が頻繁に流れ始め、早い段階で観るのを決めていた。

陽気なラテン音楽をバックに、うまそうな料理や調理の光景が映し出される。

なんとも恰幅のいい、ヒゲ面にパーマ、腕には無数のタトゥー。

一般的に我々がイメージするシェフ像から かけ離れたこのおっさん。

真面目なのかコメディなのか?

とてつもなく気になる。

料理を題材にした映画は大好きで、さらにこのおっさんである。

観ないわけがない! 
 

 

ロサンゼルスの有名レストランで働くシェフのカール・キャスパー(ジョン・ファヴロー)。

彼の作る料理は大人気で、過去に有名評論家にも高評価され、

もう何年も変わらない定番のメニュー目当てにレストランは繁盛していた。

だが、カールは創作意欲に溢れていた。

自分の考案した新しいメニューで客を喜ばせたい・・・。

だが、オーナーのリーヴァ(ダスティン・ホフマン)は、メニューの変更を認めない。 
 


 

そんなとき、レストランに著名な料理評論家が来店することになる。

以前、カールの料理を高く評価した人物だ。

彼の舌を再び唸らせるため、カールはあれこれ試行錯誤して新メニューを考える。

自ら市場へ赴き新鮮な野菜を仕入れ、美味い肉を取り寄せ、

料理に合うソースやドレッシングの調合に徹夜する。

カールの情熱と確かな腕前、それに新作の旨さ!

仲間たちからも支持されて、評論家を迎え撃つ準備は着々と進む。 
 

 
 

そして、評論家が来店する当日。

カールは調理場で部下を集めてミーティング。

創作料理の新メニューを発表する。

部下達からも高評価を受けた自信満々の特製フルコースだ。

だが、そこへオーナーのリーヴァが現れる。

「客はうちの定番メニューを求めて来店するんだ!新メニューは認めない!」

新しいメニューで勝負したいカールはリーヴァと対立する。

だが、リーヴァの経営者たる正論に言いくるめられてしまい、

定番メニューを出すことに・・・。 
 

 
 
後日のこと。

料理評論家が記事をアップした。

そつなく定番メニューを提供したカール。

以前も高評価を受けたもの。

今回もきっと高い評価を受けているに違いない。

仲間とバーで祝宴の準備をして、アップされたばかりの記事をスマフォで読む。

だが・・・その内容は料理のみならず、カールをも蔑んだ悪意があるとしか思えない酷評だった。

怒り心頭のカール。

なんとしてもこの評論家を黙らせたい!

こうなったらやはり新メニューで勝負を挑むしかない!

 

 
 

カールには息子が居た。

離婚しているため、週末に元妻の家へ、

息子のパーシー(エムジェイ・アンソニー)を迎えに行き一緒に過ごす。

だがここ数週間は、料理研究のためにあまり構ってやれなかった。

いつもは映画や遊園地へ連れて行くが、

市場での仕入れなどに付き合わせてしまう始末。

それでもパーシーは、父親のカールと一緒に過ごすのが楽しかった。

何よりも、料理人の父親を尊敬していた。

 

 
 

パーシーは10歳だけどスマフォを所有し、

さらにはツイッターを使いこなし、ユーチューブなどで色んな投稿動画も観ていた。

あの評論家もツイッターをやっていた。

カールはツイッターに興味を示し、パーシーにやり方を訊ねる。

パーシーは慣れた手つきでカールのアカウントを作成し、そのやり方を教える。

その晩、カールはパソコンから評論家のツイッターへ、

汚い言葉で文句のツイートを送信してしまう。

SNSを知らないカール。

他人には見られない、メールのようなものだと思って、

実名で本人写真付きアカウントでその文句を送信。

 

 
 

ツイッターが発端となり、再び評論家に挑戦状を叩きつけたカール。

大勢のフォロワーが見守るなか、その日がやってくる。

自分の創作料理に絶対の自信を持つカール。

そのカールの挑戦状に期待を膨らませて来店してきた評論家。

だが・・・出されたのは先日とまったく同じコースメニュー。

あっけにとられる評論家。

厨房を見るもカールの姿はない。

年代物のワインを注ぎに来たオーナーのリーヴァに評論家は訊く。

「シェフと話がしたいのだが、カール氏はどこへ?」

実はカールは直前に解雇されていたのだった。

 

 
 


事情を知らず、ただ呆れた評論家は、

「カール氏は逃げたぞw」とツイート。

それを見たカールは、レストランに殴り込み、評論家に思いのたけをぶちかます。

フォンダンショコラを握りつぶして投げつける。

その光景がさっそくネットに動画で流れ、カールは一躍全米中の笑い物に・・・。

有名レストランの人気シェフ・・・彼はシェフの肩書も名声もすべてを一瞬にして失ってしまう。 
 

 
 

無職になって意気消沈するカール。

夏季休暇に入った息子のパーシーと旅行の約束をしていた。

だが、無職なので金がない・・・約束は果たせそうにない。

そこへ元妻のイネズ(ソフィア・ベルガラ)が、一緒にマイアミに行こうと誘う。

マイアミはイネズの故郷。

そこに居る知人に新しいビジネスの話がもらえると、カールに言う。

乗り気ではなかったが、何もやることもないし、しぶしぶと同行することに。

 

 


そこでカールはフードトラック起業を勧められる。

以前から元妻に勧められてはいたのだが、

レストランのシェフ、プロの料理人であるというプライドから、

屋台のおやじなんてできない!と拒否し続けていた。

だが、シェフという肩書を失った今、

カールはフードトラックをやってみることにする。

マイアミで出会った、とても美味いキューバサンドイッチ。

カールは決めた。

キューバサンドイッチのフードトラックだ! 
 

 
 

レストランの仲間だった、マーティン(ジョン・レグイザモ)が休暇をとって、

ロスから手伝いに駆けつけてくれた!

マーティンと、パーシーに手助けしてもらい、

譲り受けたオンボロのトラックをきれいにおしゃれに改装し、

調理器具を購入し、市場で食材を買い付けて、

キューバサンドイッチのフードトラックが営業を開始する。

マイアミからニューオーリンズ、オースティン、そしてロサンゼルス。

三ツ星フードトラックがアメリカ横断の営業を開始する!

 

 

 

すごく面白かった!!

すべてを失ったダメ男が、一から出直して再び返り咲く、ちょっと風変わりなサクセス・ストーリー。

子どもとの心温まるヒューマン・ドラマな面もあり、

単純なストーリーなれど、奥が深くて楽しめる。 
 

また料理ものとしても、まったく妥協のないリアリティな演出。

レストランのメニューから、手作りのチーズサンドにペペロンチーノ。

色とりどりに様々な食材をふんだんに使用した創作料理、

そして最終的にたどり着く、キューバサンドイッチ。

すべての料理が美味そうで、観ていて間違いなく腹が減る。

全編とおして流れるラテンの陽気なBGMが心地いい。

美味い料理と心地いい音楽。

人間がはるか古代より求める究極の享楽だ。

 
 
主演のジョン・ファヴロー氏。

俳優業と同時に監督などもこなし、実はアイアンマンの監督だったひと。

アイアンマン2まで制作して、3で監督降板を発表したのだが、

降板の理由が、この映画のためだったとも言われている。

実に10億ものギャラを蹴ったというから、見た目同様に豪胆なひとなのかもしれない。

料理の腕は確かだが不器用で下品でダメ親父。

だがどこか憎めないシェフ、カール・キャスパーを見事に演じてくれた。

料理人の世界を徹底的にリサーチし、プロに調理の指導も受けて、

実際にファーストフード店で働いてから役に臨んだのだとか。 
 
 

カールの相棒として活躍する、マーティン役のジョン・レグイザモ氏。

パナマ帽が似合う小柄なナイスガイ。

ちょっとしゃがれた声で、スペイン語も堪能。

料理の腕も確かで陽気で気の効く頼もしい仲間だ。

そんな彼、気になったので俳優さんを調べてみたら・・・。

なんと若かりし頃に、あの伝説のクソ映画、ハリウッド版スーパーマリオの実写映画、

スーパーマリオ 魔界帝国の女神”で、ルイージ役の俳優さんだった!

あの映画はひどかった。

マリオがハゲたおっさんで、ルイージが若いニイちゃん。

双子とかいう設定どこへやら・・・。

・・・・・。

ちょっとまた観たくなった。

 



 
 

この映画、実はPG12指定になっていた。

ただの料理映画なのになぜだ?

バイオレンスなシーンでもあるのか?と思っていたが、

まあまあ、台詞が下品なこと下品なこと。

「クンニ」とか、「パイプカット」とかふつうに出てくる。

とくにキャスパーがツイッターで発する言葉が下品すぎる。

これ訳したひと、そこそこに抑えているだけで、

本当はもっと汚い文章なんじゃないかと思う。

流れる歌を変え歌にして、「セックス」と連呼するシーンも。

これは小学生にゃ見せられないわな。

 
 
料理がメインではあるのだが、

カールとパーシー、離婚して離れていた父子の関係が寄っていくのも、もうひとつのストーリー。

10歳の少年が抱く単純で当たり前の願望。

両親の身勝手な行為でそれが叶わない現状。

そしてそれに大人が気付かされ、自身も成長していくさま。

 

これを見ながら、同じく10歳の自分の息子をずっと思っていた。

いつも自分を慕ってくれて、休みが合えば必ず来てくれる息子。

いつかこの子も、上の姉ちゃんのように、父親から離れる日が来るのだろうか?

そう思うと、胸がはちきれそうになってしまう。

自分にゃカールのように息子に自慢できるものがない。

本物のダメ親父、息子に誇れる何かを持ちたかった。

 

 

 

キューバサンドイッチ。

初めて知った料理だ。

映画を観終わったあと、このファーストフードが異常に食べたくなる。

キューバサンドイッチなんか売ってる店知らねえ!

じゃあ似たものを・・・となって、そこの映画館に併設されているスーパーで、

ふつうのサンドイッチやピザなんか買ってみたけれど、違うんだよな・・・。

そうして思いついたのが、ホットサンド!

 
さっそく帰りに、自宅近くの道の駅に行く。

ここのフードコートに、ホットサンド専門店があるんだよな。

あのチーズがじゅわっととろける感じのやつが食べたい!

そう思ってそれに一番近そうな、チーズチキンカツサンドをオーダー。

食べてみたけれど、違うんだよな~。

いや、これはこれで美味しいんだけどね。

キューバサンドイッチをやってる店を探すか。
 

帰りに買ったホットサンド。

これはこれで美味しい。

 

店のメニュー板に“エビアボガド”って表記されていた。

ああ“アボカド”が正解なのにな~って思っていたら、

包み紙にはちゃんと、アボカドって書かれていた。

おばちゃん出来るな!

 

※PG12(Parental Guidance 12)

 映画レーティングシステムのひとつで、12歳以下のこどもは親の助言や補助・理解があれば鑑賞させられる。

 暴力シーンや性描写のシーン、薬物のシーンなどがある映画に付けられる。

      


 



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