携帯で動画を見るときは、パケット定額で
ビデオは、スコットランド出身三人組bisの歌う"tell it to the kids"(1997)です。狙ってる安っぽさ、低速回線で流行ってた切り貼りフラッシュビデオのノリ。栄養の足りてなさそうな男の子二人と足りてる女の子の十代ポップパンクなバンドです。"カワイイ"と当時受けてたんですよ。女の子たちの言う"カワイイ"って外見だけじゃない、「わたしこの生き方が気に入った!共有しましょう」ってことなのかと感じました。イイよね。カワイイと思いますわたしも。
想像力はベッドルームと路上から(個人サイト・パソコンむけ)
かわいいは下位のものを慈(いつく)しむ気持ち。以下引用です。
「気持ちをあらわす基礎日本語辞典」(森田良行・角川ソフィア文庫)より
かわいい 形容詞
本来は、一人称(にんしょう)の主体が、ある下位の対象に対して強く愛し慈しむ気持ちを覚える状態。そのような気持ちを起こさせる対象についても用(もち)いる。
[分析]
「かわいい子には旅をさせよ」「私のかわいい人」など。
(1)ひときわ愛し慈しむ気持ちを覚える対象は、ふつう人間で、それも赤ん坊、子供、妻、恋人などである。「私のかわいい子猫」など、愛玩(あいがん)する動物、いわゆるペットにも使う。まれに愛する品物に対して用いることもあるが、多分に擬人(ぎじん)的用法。「私のかわいい人形」「私のかわいい万年筆」など。植物に対して「私のかわいい薔薇(ばら)」などとはふつう言わない。
かわいい(1)でとらえられる対象は下位の者という意識があり、そのため、かわいがり大切にしてやらねばならないという愛の気持ちが芽生(めば)える。夫が妻を「かわいい」と言えば抵抗なく受け取れるが、妻が夫に使うと女性上位という気分になる。上位者に対して子供が「かわいいお父さん」などと言うのは不自然。
(2)下位者的状態に対象をすえるところから、幼児的、または子供のように素直で純な性格行為(こうい)に対しても「かわいい」を使う。
「かわいい顔して寝てるよ」「かわいい服、着てるね」「奴はかわいいところがあるじゃないか」「嘘とも知らず本気にしてるんだから、かわいいじゃないか」など。
相手を不当に低く見る、小ばかにした気分も出てくる。
本来、「かわいい」は、一人称の主体が下位の対象に対して抱(いだ)く即時的感情である。対象は「子、娘、奴(やつ)、妻、恋人、人形」のように、一人の人格として受け止められている。また、かわいいと感じる状態のものも、
かわいい…顔、格好、容姿、姿勢、表情、目つき、えくぼ、眼差(まなざ)し、口つき、鼻の形、頬(ほお)のふくらみ
など、かわいい状態が一つの属性になっている。
(3)だれしもが「かわいい」と感じる状態の物「赤ん坊のかわいい手」「かわいい子猫」などの形態的在(あ)り方から、特に小さくて愛らしい物も指すようになる。ただし、標準の大きさに比べて極度に小さい場合である。「かわいいお家」は決して小人(こびと)や人形の家ではない。「かわいい鋏(はさみ)」「かわいい鏡台」「かわいいミニカー」など。元来(がんらい)小さい物、米粒、宝石などには「かわいい」は使わない。
[関連語]
かわいらしい
「かわいらしい」も「かわいい」と同義に用いられるが、常に客観的に、(1)の対象に対する自身の主観的な感情は表せない。「私は息子がかわいくてかわいくてたまらない」「君のかわいい子ちゃん」(愛人)など、「かわいらしい」では表せない、特定のだれかにとってかわいいと感じられる場合は「かわいい」、そのもの自体が愛らしい状態のもの「声、顔、えくぼ、人形、靴」などは「かわいい」「かわいらしい」どちらにも言える。
「気持ちをあらわす基礎日本語辞典」(森田良行・角川ソフィア文庫)より引用
ここから、わたし塾長の意見。
穏やかではなかった父子でも孫をはさめば雄山だってデレデレに。子はかすがいです。だれしもかわいいと感じる赤ん坊をあいだに入れれば無用な対立が避けられます。かわいいはまわりと共有しやすい感情ですから軋轢(あつれき)が回避(かいひ)でき平和がもたらされます。かわいいは正義なんです。
個人的には、"かわいい"にチカラは感じますが思考停止っぽいところはどうも、ね。適度な対立がおたがいの成長を促(うなが)してくれることだってありますから。
「基礎日本語辞典」(森田良行・角川書店)
もりたよしゆき【森田良行】
1930年、東京生まれ。日本語学者。博士(文学)。早稲田大学名誉教授。在職中は早稲田大学日本語研究教育センター所長などを兼任し、特に、外国人留学生および日本人学生への日本語教育・研究・指導に従事した。(ここまで引用・以下略)
同著者は角川書店より「基礎日本語辞典」ハードカバー版の辞典を出しています。文庫版はそこから見出し語を絞ったもの。辞典も興味はありましたけど五千円と少々お高い。
コレすごい本です。留学生に説明するために、わたしたち日本人が無意識にやっている使い分けをていねいに解体して見せます。「だれが」の主体(主語)や「だれに・だれを」の客体(目的語)を明らかにしていきます。高校英語長文や現代国語の読解それから直感的に読み取れない生徒の認識を広げるには、やさしいことばに"置きかえるだけ"ではうまくいかないと感じていましたから参考になります。わたしの目の前が開けた感じです。
同辞書からは「違いをあらわす基礎日本語辞典」も文庫版で出版されてます。こちらは程度などをあらわす副詞が中心。こちらもオススメです。(塾長)
シカクいあたまをマルくしよう!国語編(1)|修飾語と被修飾語
シカクいあたまをマルくしよう!国語編(2)|係ることばは、受けることばの直前に書く
ビデオは、スコットランド出身三人組bisの歌う"tell it to the kids"(1997)です。狙ってる安っぽさ、低速回線で流行ってた切り貼りフラッシュビデオのノリ。栄養の足りてなさそうな男の子二人と足りてる女の子の十代ポップパンクなバンドです。"カワイイ"と当時受けてたんですよ。女の子たちの言う"カワイイ"って外見だけじゃない、「わたしこの生き方が気に入った!共有しましょう」ってことなのかと感じました。イイよね。カワイイと思いますわたしも。
想像力はベッドルームと路上から(個人サイト・パソコンむけ)
かわいいは下位のものを慈(いつく)しむ気持ち。以下引用です。
「気持ちをあらわす基礎日本語辞典」(森田良行・角川ソフィア文庫)より
かわいい 形容詞
本来は、一人称(にんしょう)の主体が、ある下位の対象に対して強く愛し慈しむ気持ちを覚える状態。そのような気持ちを起こさせる対象についても用(もち)いる。
[分析]
「かわいい子には旅をさせよ」「私のかわいい人」など。
(1)ひときわ愛し慈しむ気持ちを覚える対象は、ふつう人間で、それも赤ん坊、子供、妻、恋人などである。「私のかわいい子猫」など、愛玩(あいがん)する動物、いわゆるペットにも使う。まれに愛する品物に対して用いることもあるが、多分に擬人(ぎじん)的用法。「私のかわいい人形」「私のかわいい万年筆」など。植物に対して「私のかわいい薔薇(ばら)」などとはふつう言わない。
かわいい(1)でとらえられる対象は下位の者という意識があり、そのため、かわいがり大切にしてやらねばならないという愛の気持ちが芽生(めば)える。夫が妻を「かわいい」と言えば抵抗なく受け取れるが、妻が夫に使うと女性上位という気分になる。上位者に対して子供が「かわいいお父さん」などと言うのは不自然。
(2)下位者的状態に対象をすえるところから、幼児的、または子供のように素直で純な性格行為(こうい)に対しても「かわいい」を使う。
「かわいい顔して寝てるよ」「かわいい服、着てるね」「奴はかわいいところがあるじゃないか」「嘘とも知らず本気にしてるんだから、かわいいじゃないか」など。
相手を不当に低く見る、小ばかにした気分も出てくる。
本来、「かわいい」は、一人称の主体が下位の対象に対して抱(いだ)く即時的感情である。対象は「子、娘、奴(やつ)、妻、恋人、人形」のように、一人の人格として受け止められている。また、かわいいと感じる状態のものも、
かわいい…顔、格好、容姿、姿勢、表情、目つき、えくぼ、眼差(まなざ)し、口つき、鼻の形、頬(ほお)のふくらみ
など、かわいい状態が一つの属性になっている。
(3)だれしもが「かわいい」と感じる状態の物「赤ん坊のかわいい手」「かわいい子猫」などの形態的在(あ)り方から、特に小さくて愛らしい物も指すようになる。ただし、標準の大きさに比べて極度に小さい場合である。「かわいいお家」は決して小人(こびと)や人形の家ではない。「かわいい鋏(はさみ)」「かわいい鏡台」「かわいいミニカー」など。元来(がんらい)小さい物、米粒、宝石などには「かわいい」は使わない。
[関連語]
かわいらしい
「かわいらしい」も「かわいい」と同義に用いられるが、常に客観的に、(1)の対象に対する自身の主観的な感情は表せない。「私は息子がかわいくてかわいくてたまらない」「君のかわいい子ちゃん」(愛人)など、「かわいらしい」では表せない、特定のだれかにとってかわいいと感じられる場合は「かわいい」、そのもの自体が愛らしい状態のもの「声、顔、えくぼ、人形、靴」などは「かわいい」「かわいらしい」どちらにも言える。
「気持ちをあらわす基礎日本語辞典」(森田良行・角川ソフィア文庫)より引用
ここから、わたし塾長の意見。
穏やかではなかった父子でも孫をはさめば雄山だってデレデレに。子はかすがいです。だれしもかわいいと感じる赤ん坊をあいだに入れれば無用な対立が避けられます。かわいいはまわりと共有しやすい感情ですから軋轢(あつれき)が回避(かいひ)でき平和がもたらされます。かわいいは正義なんです。
個人的には、"かわいい"にチカラは感じますが思考停止っぽいところはどうも、ね。適度な対立がおたがいの成長を促(うなが)してくれることだってありますから。
「基礎日本語辞典」(森田良行・角川書店)
もりたよしゆき【森田良行】
1930年、東京生まれ。日本語学者。博士(文学)。早稲田大学名誉教授。在職中は早稲田大学日本語研究教育センター所長などを兼任し、特に、外国人留学生および日本人学生への日本語教育・研究・指導に従事した。(ここまで引用・以下略)
同著者は角川書店より「基礎日本語辞典」ハードカバー版の辞典を出しています。文庫版はそこから見出し語を絞ったもの。辞典も興味はありましたけど五千円と少々お高い。
コレすごい本です。留学生に説明するために、わたしたち日本人が無意識にやっている使い分けをていねいに解体して見せます。「だれが」の主体(主語)や「だれに・だれを」の客体(目的語)を明らかにしていきます。高校英語長文や現代国語の読解それから直感的に読み取れない生徒の認識を広げるには、やさしいことばに"置きかえるだけ"ではうまくいかないと感じていましたから参考になります。わたしの目の前が開けた感じです。
同辞書からは「違いをあらわす基礎日本語辞典」も文庫版で出版されてます。こちらは程度などをあらわす副詞が中心。こちらもオススメです。(塾長)
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