僕と彼女♡ ４

夏の暑い盛りを過ぎてそろそろ秋の声が聞こえ始めた頃
彼女と登校する車のシーンから本格的な撮影が始った

縁起が良いのか悪いのか
撮影初日はレッカーのトラブルで幕を開けた

始めての演技らしい演技に何度も監督の注意を受けながら
同じカットを嫌と言うほど撮って初日の撮影を終了した

翌日は学校の屋上でヒョリンにプロポーズするシーンや
チェギョンが様子を覗くシーン等を撮った後
チェジュ島に向かい乗馬クラブの撮影をし
帰京後すぐ、僕はタイでの撮影に出発した

タイに行かない彼女は化粧品会社のCMを撮ったり
インタビューを受けたり撮影以外の仕事は有ったけれど、
少し休む時間が取れたようだ

タイに着いた早々からトラブルが発生
準備万端整えて来たにも関わらず、道路使用の許可が下りなかったり、
ドラマの内容にクレームが付いたりで大幅な変更を余儀なくされ

その上一番良い季節だと聞いていたのに
突然のスコールで撮影が止まることもしばしば。。

異国での撮影にトラブルは付き物だからと
監督以下スタッフは過密な撮影スケジュールの調整に奔走して

予定より少し遅れただけで無事にスケジュールを消化して
2週間ぶりに帰国した
そして休む間も無く本格的な撮影が始った

帰国してからの撮影は比較的順調に進んだ
そしてこのドラマの中でもタイのロケを上回る時間とお金と
人力を駆使した僕らの結婚式の撮影が3日間掛けて行われた

在りし日の皇室の威厳を示す壮大なスケールの式典を再現する為に
大通りを使っての祝賀パレードのシーンでは
早朝からファンクラブからエキストラが動員されたり、
馬車や音楽隊など大勢の人達が参加して10時間掛りの
ロケが行われた

僕と彼女は朝鮮王朝時代の王族が儀式や婚礼の時に着る
冠と衣装を着て撮影の順番を待っていた

初秋とは言っても韓国の秋は寒い日が多い
曇り気味のこの日は昼でも気温が低く吐く息が白くなる程

長時間の野外での撮影に彼女の事が心配になって
そっと様子を聞いて見ると

韓服はラインが出ないから
中にしっかり着込んでいるから大丈夫！
でも頭が重くて辛いわ。。って

僕の冠は軽いのだけれど彼女の冠は10キロも有るから
待っているのも大変みたいだった


初めて彼女に会った夏の日から3ヶ月余り

最初は誰とでもする様なご飯を食べましたか？とか
お元気にお過ごしですか？とか
当たり障りの無い話ししかしなかった彼女とも

撮影でチェジュ島や慶州、全州で一緒に過ごす間に
自然と個人的な事まで話す様になり

結婚式の後は僕達二人が一緒に出る場面が多くなってきたので
食事や休憩時間、寝る時間も殆ど一緒で

その上最近は監督からの細かい演技指導は無くて
僕達で考える様にと宿題を貰う事が多くなった

だから二人で話し合う時間も含めると
一日の殆どの時間を彼女と過す必要があった

そんな日々が続いていたからなのか
僕は最近変な気分になることがある

初めは僕の理想に近い彼女と共演出来るだけで嬉しくて
仲良くなれればいいなと思っていたけれど、
同じ新人とは言っても彼女は僕の手の届かない人だと思っていた

でも彼女と過す時間が多くなって来るに従って
いつの間にか有名な歌手だった彼女ではなく
いつも僕の傍に居る一人の女性になっている事に気付いたんだ

そんな彼女の傍に僕以外の男が居るだけで何と無く気になるし、
仲良く話す声が聞こえると気分が悪くなる

彼女をお気に入りの監督が彼女に演技指導と言いながら
手を取ってもなんとなく腹立たしい

僕はいつの間にかいつも彼女を目で追い、
彼女の行動を意識せずには居られなくなっていた

この数ヶ月の間に僕の心の中で少しづつ大きくなってきた
この不思議な気持ちが何なのか、今ようやく判った気がした☆

僕は彼女に恋しているんだ♡