僕と彼女♡ 12

最後の♡kiss♡シーンの撮影が終わってホッとする間も無く
微妙な雰囲気の僕らを尻目に
スタッフ達は何事も無かったかの様に
次のシーンの準備を進めていた

仕事だから大丈夫！
と言っていた彼女だけど素は普通の女の子
初めての事にショックは大きかった様で
彼女の瞳から光が消えていた

彼女にとっては一生に一度の大切な出来事、
大好きな相手とであっても感傷的になる物なのに、
恋人でも無い僕が相手できっと辛かったんだろうな。。

僕は嬉しかったけれど、
出来ればもう少し僕らの気持ちが交わってから
こういうシーンを迎えられれば良かったのに。。

なんて言えばいいのだろう？
ごめん！と言うのも変だし、
大丈夫？っていうのも可笑しい
だけど潤んだ彼女の瞳を見ると申し訳ない気もする。。

でも最後には応えてくれたから
嫌ではなかったんだよね？

今はまだ何も聞けないけど
益々彼女が愛おしくなってきた


次のシーンでは眠った振りをする彼女を胸に抱きながら
槿の花を数えて虚しい時間を過す設定

ほんの数分前に初めての♡kiss♡を経験した彼女に
いつもの笑顔は見られない
監督の指示を少し強張った表情で聞いている

薄い下着越しに感じる彼女の体温と少し早い鼓動・・
震えているのは寒さのせいだよね？

まるで小猫の様に僕の懐で丸くなる彼女を
思わず抱き締めそうになった

カット！の声の後のほん一瞬
彼女が僕から離れるのを躊躇っている様に感じた

え？と彼女の目を見ると
もう其処にはいつもの笑顔が戻っていた

まだ何も言っていないのに
彼女には僕の気持ちが伝わっていた様で
起き上がる時にこっそり抱き締めた事は
僕達だけの秘密☆

すっかり気持ちが落ちついた僕♡
朝のシーンを撮る時にはもういつものペースの僕と彼女
♡kiss♡の前より確実に僕らの距離は縮まった

起き抜けの可愛い二人の痴話喧嘩も
殆ど素の気分で楽しく撮れて

慣れ慣れしすぎる！怒(笑)とか

背中に蹴りを入れるか？(笑)
なんて冷やかしも、もう耳に入らない☆

ちょっと触れ合うだけで心が暖かくなる
やっぱり恋するっていいなぁ♡