錬金術は実は科学の父であるといえる。ただし、厄介である。物質の生成は超新星爆発などの莫大なエネルギーの結果だ、というのが現在の科学の到達点である。それだけに、核分裂を起爆剤として起きる核融合という、そうした制御ができなければ、物質の生成は不可能ということになる。
金という希少金属を作ろうとする、いわば強欲な思いが、科学の出発点なのだ。浮き世離れした科学者、というステレオタイプは誤っていて、むしろ今日の御用学者のように、研究費捻出のため、あるいは学会での立場を強めるため、学会内政治に奔走する姿こそが、まさに錬金術師を祖とする科学者の本来の姿なのかもしれない。
挿絵は悍ましくも楽しいが、内容は寝るのに最適だ。