オークランド通信

のんびりしたお国柄が気に入りニュージーランド在住27年。仕事、子育て、生活全版にわたって語ります。

その84 Per Benjaminのデモンストレーション 11-10-11

2011-12-07 12:53:33 | 第81-90回
..84..                   11-10-11


Per Benjaminのデモンストレーション


先週の土日、スウェーデンのフローリスト、Per Benjamin氏のデモンストレー
ション、ワークショップに行ってきました。
私は最近はいけばなのワークショップの機会が増え、本業のフラワーデザインの
イベントにあまり参加してないなと思っていて、いいチャンスでした。

Benjamin氏は、スウェーデンのオスロから、南半球、ニュージーランドのオー
クランドへ、地球を半周して遠路をはるばるやってきてくれました。
世界的に花のデモ、レクチャーで活躍する彼は、ニュージーランドは今回が初め
ての訪問だそうです。

Per Benjamin氏のサイト
http://www.perbenjamin.com/per/



10月1日に、まずMt Wellingtonの花市場のオークション会場でPer
Benjamin氏のデモンストレーションがありました。

会場に到着するとバブル(スパークリングワイン)とフィンガーフードが振舞わ
れました。
参加者は、知り合いを見つけて談笑していました。
私は、ほとんど顔見知りの人がいなかっのですが、数人の人と話をしました。
参加者は、フローリスト、フラワーデザインスクールの講師達とその生徒のよう
でした。
地元のフラワーデザインスクールの講師をしている女性に、私が経歴を紹介する
と、うちでTutorをさがしているんだけどと名刺をくれました。
本当にofferがくるかどうかわかりませんが、たまにはこういう場に来るものだ
なと思いました。


2時になり、私達は会場へと移動しました。
デモは花のオークション会場であり、階段上の競りの座席に私達は座り、Per
Benjamin氏は一番下の花を競る場所でデモを行いました。


まず、Benjamin氏は自己紹介をしました。
彼は、16歳から花屋になり、いわゆる正式なフローリストとしての訓練を受けて
いないそうです。たまたま勤めていたフローリストがコンペディションをよくや
っているところで、彼を応援してくれたそうです。


Benjamin氏は、3時間で14個のブライダルブーケを紹介しました。
彼のデザインは、地元オークランドのフローリストの常識を破る斬新なものでし
た。
あるものはブーケに見えない、言われないとブーケだとわからないようなのもあ
りました。


まず花の種類です。
彼は、私達がほとんどブライダルでは使わないカーネーション、菊、スターチス、
オリーブの葉などを使ってました。
カーネーションが一番好きな花だそうです。
ニュージーランドでは、菊、カーネーションはお葬式によく使われるため、あま
りいいイメージが持たれていません。

彼は、スタンダードのカーネーションの頭に#18ワイヤーでステムを作り、円
周上にカーネーションを繋げてならべ、中心でワイヤーをまとめハンドルにして
いました。
これまでのフラワーデザインでは、メカニック、いわゆる骨組みを隠さなければ
なりません。彼のカーネーションのラウンドのブーケでは、#18は他の花のス
テム、カラーのワイヤーとともに、テキスチャーとして同化していました。
彼は、ワイヤーがデザインの一部として機能していれば、見えてもかまわないと
言っていました。
デザインが主体で、それを表現するのにあう花を使うそうです。


彼は、カードボード(ダンボール箱)にウールでおおったベースを使っていまし
た。
色、形、太さ、材質のちがったウールが鮮やかな色のグラディエーションを見せ
ていました。
実際に持ったところ、感触が北欧的な温かみを感じさせられました。
このウールの土台に、彼は胡蝶蘭、シンビジウムなどの花をビンでとめていまし
た。
カーネーションをとめてあったピンは、長さが10cmもありヘッドは金色で飾
りのついた美しいものでした。
ピンクやグリーンの頭のマチ張りもたくさん使っていました。
Mizuhikiワイヤーといってカラフルな地巻きワイヤーで、カラーのステム同士
を突き通し固定してました。
Mizuhikiは、日本の水引から来たのだなとわかりました。


カラフルなコッパーワイヤーでたくさんの渦巻きを作り、それらを組み合わせて
キャスケード状にし、そこにグローリオサリリーなど軽い花をさしこみ、透けて
揺れる軽快なデザインもありました。


釣り糸のような細くてやわらかいワイヤーに子菊、デンファレ、スターチスを数
珠状に間隔をあけてつなぎ、ブーケ本体から何本もぶらさげるデザインもありました。
チャイニーズコードと言われる細いひもや、オーガンジーリボンと組み合わせて
揺れ動く美しいガーランドとなっていました。


ブルー、グリーンの小花をワイヤーのガーランドのトレインとしたブーケは2m
もありました。
これは地面を引きずって持つデザインだそうです。
モデルが持って歩いて回っていたら、カーペットに引っかかっていて、実際の結
婚式では教会から苦情が来るのではと、お隣に座っていたフローリストと苦笑し
ました。


参加者の一人が、Benjamin氏に「ここでのブライダルブーケの主流は、ハンド
タイドと言われる花束のデザインがほとんどなんだけれど、どうやったらこうい
うデザインを売れるのか?」と質問しました。
それに対して彼は、
「世界にひとつだけのオリジナルなデザインで、注目される花嫁を演じてみたら」
とサジェストするといっていました。

結婚式の花はお嫁さんの好みでは決められず、両家が満足するようなものと思う
と、保守的なデザインになりがちです。
フローリストも無理に変わったデザインを勧めて、あとで文句を言われるのもい
やですし、難しいところです。



10月2日のワークショップは、花市場Floramax内の Manukau Polytechnic、
Floristry教室でありました。
30名の定員で、モーニングティー、ランチ、花を含むすべての材料がパッケージ
になってました。


10時から11時までBenjamin氏のワークショップにためのレクチャーがありま
した。

まず色について。
彼は、色彩のチャート、Colour circleが大嫌いだと言ってました。
反対色の組み合わせ、黄色と紫、赤と緑などは絶対にしないと言っていました。
ここでは黄色と紫は、黄色のガーベラと紫のアイリスの組み合わせなどで、よく
売れるパターンというは、一般的な組み合わせなんですけれどもね。
彼は例として、斑入りのカーネーションを見せ、どんな色があるかとみんなに尋
ねました。
赤、オレンジ、アプリコット、黄色、エンジなどが見つかりました。
彼は、これらの色の濃淡をベースにアレンジメントをデザインすると言っていま
した。
メインにする花の中から色を発展させ、それにあったオーナメント、リボン、ワ
イヤーなどを組み合わせていくそうです。


前日のデモから4つの作品が残されていて、それらを見本に私たちはブーケを作
ることになりました。

彼は、まず毛糸の土台の作り方を説明しました。

カードボードを丸、扇形などの形に切ります。
そこに#18ワイヤーをさしこみ、補強します。
其の上にマスキングテープをぐるぐるまきつけます。
これでまず土台ができて、毛糸を巻いていきます。
一番したは、毛糸の元の綿のようなウールをクッション、かつ表面をカバーしま
す。
その上のまず、太い毛糸を巻き、次に変わった材質のもの、細いもの、色がミッ
クスしたものを撒いていきます。
この毛糸の土台ができると、あとはそこに花をびんでとめたり、オーナメントを
つけるだけて比較的簡単です。

レクチャーのあとに、モーニングティーを頂き、各自製作にかかりました。

毛糸は珍しい材料とあって、みんながよってたかって自分のほしい毛糸を選び始
めました。


私は、扇形のブーケを作ることにしました。
グリーン、オレンジを主体に、グリーンのシンビジウム、カーネーション、アプ
リコットカラーを本体に使い、グリーンのスターチス、オリーブの葉、クリーム
のヒヤシンスをガーランドにして両先にぶらさげました。


ランチは、野菜、ハム、果物、パンなどがテーブルに盛り付けられていて、各自
おのおのサンドイッチを作るスタイルでした。
グルテンフリーのパンも2,3種類あり、いろんなダイエットの人達のために考
慮してると思いました。
Benjamin氏に話しかけたら、彼はコーヒー、紅茶は飲まず、白湯だけたくさん
飲むといってました。



実際自分で作ってみると3時間かかりました。
ポリテックの生徒などは出来上がらない人もいました。



持って帰って友人などに見せると、だれもブーケとは思わず、飾りのデザインと
思ったようです。
実際に仕事に使うかどうかは別として、comfortable zoneから出て製作できた
のは、いい刺激となりました。
これからの時代、規制概念にとらわれず、多種の素材をいかして、花を調和させる
ことが大切だなと思いました。


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