そこは大和の国、秋篠の里と呼ばれる所の 雑木林の中にひっそり建っている古いお寺がある。
家と家の間の細い道をたどって行くと前方に森のような所が見え やがて山門が現れた
山門から木立の中の細い道をあるく
ここは宝亀(780)に建てられた東西二つの塔が並びたつ大寺だったといわれるが
今は苔むした中に礎石などが残っているだけ 、山門を入って木立の中のは細い道をたどると狭
い境内に出た
この日は寒さは特別厳しかったからか、参拝の人影もなくひっそり立つ古いお寺という感じ
正面に立つ本堂 藤原時代の末頃、講堂だけ残して大部分が焼けてしまったので その講堂
を改築した。 それが上の写真 金堂 (国宝)
金堂内には平安時代の本尊薬師三尊、地蔵菩薩立像、梵天像、など
そしてこの寺で最も有名な妓芸天がある。
数年前に一度訪れた事があるがもう一度見たいと,寒風の中を訪れた。
堂内撮影禁止売店の絵はがき より
秋篠寺 技芸天像
あるとき天上では、大自在天王(シバ神)が大勢の天女たちに囲まれて、天界の音楽や踊りを
楽しんでいた。 すると忽然として大自在天王の髪の生え際から 一天女が生まれ出た。
その容姿の端麗なことはもとより、技芸に秀でていることは、並みいる天女たちの遠く及ぶ
ところではなかった。 居合わせた天人天女たちは一斉にその優れた才能を称えて、彼の天女を
技芸天と呼んだ。
技芸天は 集まった天人天女たちの中に立って、「もし世に祈りをこめて田畑の豊作や、
人生の幸せや、家庭の裕福など願うものがあれば、私がその願いをことごとく満足させよう。
また学問や芸術に関する願いを寄せる者にはその祈願をすみゃかに成就させよう」と語った。
(漢訳密教経典)
林の中の寺 人の影が全然見られないのも寒さが一段と応えます。
金堂内には入場券売りのおねえさん一人、 暗い堂内には、見上げる様な大きな仏
さまが数体、立っていたり、又座っている
雑木林のそばの道路を腰でも痛いのか 足を引きずり寒そうに、一人の老人がバス停に向
かって歩く姿が見えます。 その表情は再び訪れたことに満足し幸せそうな顔です
老人にはその日一日はきっと素晴らしい日だったのでしょう。
合掌