つぶつぶタンタン 臼村さおりの物語

身体の健康と無意識のパワーへ 癒しの旅~Have a Beautiful Day.~

【読書】歌野晶午・小説「絶望ノート」、盗み読む日記

2020-05-27 14:17:22 | 本の感想/読書日記

読んだ小説の感想です。また本が読めるようになってきました。

歌野晶午さんの小説「絶望ノート」を読んだ。

面白かった。歌野晶午さんの小説を読むのは「世界の終わり、あるいは始まり」に次いで2冊目。1冊目はあまり相性がよくなかったのだけど、これは相性がよかった。2冊目を読んでよかった。

歌野晶午「世界の終わり、あるいは始まり」、想像の恐怖世界がループし続ける妄想小説

「絶望ノート」も「世界の終わり、あるいは始まり」も中学生の男の子が主要人物として出てくる。個人的には、「絶望ノート」を読んだ後に「世界の終わり、あるいは始まり」を読んだほうが、より楽しめそうだと思った。

タイトルにもなっている「絶望ノート」は主人公が書いているノートで、時系列に一人称で書かれている。「絶望」という名の通り、いかに主人公がつらい人生を送っているか、学校でいじめにあっているかということが淡々と綴られている。

その「絶望ノート」の記述と、主人公以外の人物たちによる視点で進む物語が交互に綴られることによって、ストーリーが進行していく。最後まで読むと、「そうだったのか・・・」とわかるという仕掛けの小説なので、この記事を書きにくい。

そしてネタがわかっても楽しめる小説もあるけれど、これは一度は知らずに読んだほうが楽しめる気がしている。

以下少しだけ、ネタバレになってしまうので、小説「絶望ノート」を読んでみようかなという方は、この記事を読むのをひとまずここまでにされてくださいませ。


あたしたち読者は、主人公の書いた「絶望ノート」という名の日記のようなものを盗み読むことになる。人目を気にしていない文章をこっそり読むため、ぐいぐいページが進む。これはあたしたち人間のありがちな展開。

そして実のところ、主人公は家族が「絶望ノート」を読むことを想定していた。

何かを訴えたい場合、面と向かって言うのは賢いやり方ではない。口頭で伝えるより、書面で訴えたほうがいい。しかしそれ以上に効果的なのが、こちらの胸の内を相手に勝手に読ませることなのである。表面上こちらからは何も働きかけず、相手の心にこっそり忍び込む。(「絶望ノート」文庫版、607ページ)

 

ここを読んだとき、はっとさせられました。何をおもったかというと、SNSをみるのをたいがいにしようかと。SNSはある方の日常が綴られていたり、あるいは親しい方とのやりとりを覗き見ることになる。けれども、それは見る人(あたし)に向かって投げかけられた文章ではない。なのに、心に忍び込まれている。書いている人はそれを意図していないかもだけど、あたしの心は受け取っている。

もちろん公開されているものだから、見られることを想定しているわけだけど、でもなんというか、そこの感想に一喜一憂をしているのは時間や心がもったいないとおもったのだった。

特に実名で発信していないものはそうかもしれない。場合によっては、面識すらない人のつぶやきに心を乱される。SNSから少し距離を置こうかな。著名人やいわゆるインフルエンサーと呼ばれる方のアカウントもそうかもしれない。

それはひょっとしたらこのつぶつぶタンタンについても同じことが当てはまるかもしれません。いや著名人でもないですし、インフルエンサーでもないので、かえってそういうことをいうのは図々しいかもなのですが、、折しも先日、こんな記事を書いていました。
つぶつぶタンタンへの記事投稿が多くなっております

でも正直なところ、読んでもらえていることを喜んでいます。


読んでくださりどうもありがとうございます。

今日もよい日をお過ごしください。


東京都豊島区池袋で読書交換会を開催しております。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
東京読書交換会ウェブサイト
※今後の予定は2020年6月5日(金)夜オンライン、6月20日(土)夜オンラインです。

臼村さおり twitter @saori_u
思考していることを投稿しています。


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