宮部みゆきさんの小説「理由」を読んだ。面白かった。
宮部みゆきさんは母が好きな小説家。その影響で10代のころから、家族で読んでいた気がする。
文章が読みやすい、流れるような文章で引きこまれる。
かつぎっしりと内容の詰まった文章だから、読むのにとても時間がかかる。いつもよりもページをめくるスピードが遅くなった気がした。
この「理由」は直木賞受賞作とのこと。読書交換会で譲っていただきました。まだ読んだことがない本でした。
殺人事件を、ドキュメンタリーのように取材者の視点で描いた小説。読書交換会で本を紹介してくださった方によると、このような手法は宮部さんが初だったらしい。
結論だけ書くと、殺人事件は解決しています。解決後に、取材者が関係者ひとりひとりに取材しながら事件の背景を紐解いていくという形式で綴られています。
ひとりひとりの登場人物に対する取材者の距離感が心地よい。誰に対しても、適度に突き放していて、適度に親しみを覚えていて、不思議な感じ。だから描かれる誰もが癖のある人物にみえる。かつ愛嬌があって愛すべき存在。
そしてあたしだけかもしれないけど、読者はおそらく、自分と重ね合わせて思わず感情移入する人物が出てこないんじゃないかな。正確に言うと、誰にでも感情移入するけれど、誰かひとりだけの肩を持ちたくなるようなことは少ない。
これって描き方の妙な気がする。
誰もが個性的で、変態。
きっと、普段のあたしたち同士もそうなんだろうねー。もちろん殺人事件は起こらないけれど、個々の関係性って実はみな考えていること、いろいろなのだ。
宮部みゆきさんの超大作「ソロモンの偽証」もまとまった時間ができたらいつか読んでみたい。
ではまた
東京都豊島区池袋で読書交換会を開催しております。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
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※今後の予定は2020年4月3日(金)夜、4月25日(土)夜オンラインです。
◆臼村さおり twitter @saori_u
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