つぶつぶタンタン 臼村さおりの物語

身体の健康と無意識のパワーへ 癒しの旅~Have a Beautiful Day.~

桐野夏生著「天使に見捨てられた夜」 (講談社文庫)、読書感想 女性として

2019-07-31 01:51:50 | 本の感想/読書日記

梅雨が明けて猛暑の季節になった。秋を待っている。

桐野夏生さんの小説「天使に見捨てられた夜」 (講談社文庫) を読んだ。

天使に見捨てられた夜 (講談社文庫)
桐野夏生
講談社

女探偵村野ミロを主人公にしたシリーズもの第2作。江戸川乱歩賞を受賞された第1作、「顔に降りかかる雨」が面白かったので読んでみた。
どのフレーズか忘れてしまったのだけれど、「顔に降りかかる雨」のなかの女性同士の会話で、この会話すごい!!とおもうのがあって、それ以来、桐野さんのことが気になっている。

「グロテスク」も興味深く読んだ。同じ女性としてよくわかる、、、気がする、なんとなくそんな気がする。

グロテスク 下 (文春文庫)
桐野 夏生
文藝春秋

 「天使に見捨てられた夜」の解説にも書かれていたように、「天使に見捨てられた夜」は強い女性が登場する小説なんだとおもう。だからきっと好きなんだろうな。強がったり、肩ひじ張ったりするまでもなく、ただ等身大に強い女性。弱くない女性といったほうが適切なのかもしれない。
解説ではフェミニズム小説のようなことが書かれていた。女性として生まれたからにはこのあたりのこともう少し考えていきたいなともおもう。

主人公の村野ミロは、あろうことか嫌いだとおもっている敵の男性とセックスをしてしまい、それが原因で自身の依頼人が殺された事件で偽証をする。
うわぁ、最悪。完全レッドカード。この小説が書かれたのはツイッターもフェイスブックもない時代だけど、今なら何かの拍子で表に出ると、絶対に炎上する案件。

けれどもあたしはこの主人公を嫌いになれない。むしろ共感さえする。人間って案外こんなものなんじゃないかなともおもったりする。

上手く言えないのだけれど、桐野さんの小説は、なんとなく普段自分がみないようにしているけれど、本当は心のどこかでおもっていることを描いてくれている気がする。

だから読んでいて純粋に気持ちがいい。

これからも読み続けて、そのうち彼女の小説からいろいろと考えられるようになるといいな。まだいまはそこまでいかない。

ミステリー小説だからストーリーについて書くと、なかなかシュールな展開だった。
AVビデオに出ている女性の権利を守りたいと考える人権活動家の女性がミロの探偵事務所を訪れる。依頼内容は、AV女優の捜索。彼女を探しているうちに、様々な物語が明らかに・・・。


読みたい本がいっぱいだけど、また近いうちに桐野作品を読む―

ではまた

月2回、東京都豊島区池袋で、読書交換会をやっています。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
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