本の感想を書きます。
真梨幸子さんの小説「6月31日の同窓会」を読んだ。
真梨幸子さんは読んだあとに嫌な気持ちになるミステリー作家として有名で、今回も嫌な気持ちになるんだろうと思いつつ、読んでしまいました。
そして真梨幸子さんの小説は読んでいる途中でたいてい迷子になってしまう。それなのに読もうとしてしまう。人間のわからなさみたいなものが描かれているから引き付けられてしまうかなとおもっている。
「6月31日の同窓会」は、あたしにとっては「殺人鬼フジコの衝動」、「みんな邪魔」、「孤虫症」、「インタビュー・イン・セル 殺人鬼フジコの真実」に次いで5冊目。けっこう読ませていただいている。
「殺人鬼フジコの衝動」で最後に迷子になりつつも大きな衝撃を受けて、「みんな邪魔」で身につまされた。「みんな邪魔」のような本をもう一度読みたくて、真梨幸子さんの小説を読み続けているのかもしれない。
「6月31日の同窓会」はある女子高の同窓会のこと。6月はご存じのとおり30日までしかない。だから31日は存在しない。けれども彼女たちOGのもとにはときどき6月31日に同窓会が開催されるという招待状が届くことがある。いわゆる不幸の手紙、チェーンメールのようなものかもしれない。あるいは女子高の名に恥じるような不始末をやらかした人に制裁の意味を込めて送られる招待状かもしれない。
複数の女性の焦点が当てられ、殺人も発生する。ミステリーだから内容は書けないのだけど、話の筋としては途中で迷子になってしまって、よくわかっていません。ただ独特の感情描写はわかるところもあり、それを味わいたくて読んでいるのかもしれない。
あたしも女子高、女子大卒です。けれども迷子になってしまうのは、あまり女子高生、女子大生を堪能できていなかったのかもしれないともおもう。10代~20代前半にかけては厭世的で自己否定も強く心ここにあらずという感じでした。
小説や物語は自身の人生を振り返らせてくれていいな。若い頃は齢とったらきっと若い人が主人公の小説がつまらなくなるんだろうなあとおもっていました。けれどもそんなことないのですよね。
それは若い人が主人公のドラマや映画を見て面白いとおもうのと同じかもしれません。あまり見ないのでわからないけれどたぶん。
もっとも子どもがいる方はまた違った視点で読んだりみたりするのかもしれない。もっとも真梨幸子さんの小説を起点としてあまり子どものことは考えたくない気もするけど。
なんだかんだいってもまた真梨幸子さんの小説を拝読したいとおもっています。
「6月31日の同窓会」は読書交換会で女性の元に旅立ちました。いつか感想が聞いてみたい。
ではまた
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