小説の感想。板垣美雨さんの小説「70歳死亡法案、可決」を読んだ。
最初、読むのが気乗りしなかった。読書交換会で譲っていただいて、でも読む気がしなくてそのまままた持っていき、けれども誰も持って行かず再び次回用に持ち帰り。
なんかなんというか不謹慎なタイトルだとおもいました。「もしも~」で書いていい話とそうじゃない話があるとあたしはおもっていて、これはいくら何でもひどいだろうと。性犯罪、幼児虐待を肯定した小説と同じくらいに思っていました。
だけどまあ読むかなと読み出し、結論としては読ませていただいてよかった。
自身が目を背けていた社会、あるいは気づいていなかったことにも目を向けるきっかけになりました。
現実にありそうで読んでいると気持ちが痛くなる。小説でするこうだなんて、現実からはきっと目を逸らしてしまって、苦労をだれかに背負わせてしまったこともあっただろうと反省もしました。
小説の内容は、タイトルにもあるように、70歳になったら死ななくてはならないという法案が可決されたというフィクションです。人々がどう動くか、家族模様はどうなるのか。
たいていあたしたちが考えるのは、自分と自分に親密な人の価値観だけだろうけれど、ほかにも身近な人たちがいてその考えも知れて興味深い。どれが親密でどれがそうじゃないかは人それぞれだとおもう。
小説の結末は書かないけれど、読後感は悪くなかったです。ちょっと無理やりな展開と思った部分もあるけれどわるくなかったです。多様な価値観があるんだなと素直におもえましたし、あたし自身も少し自由になった気がしました。
板垣美雨さんの小説をまた読んでみたい。ちょっと調べてみたところ、小説のタイトルがどれも一般的な社会常識から離れている気がして、今回の「70歳死亡法案、可決」同様に楽しみです。
ではまた
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