久しぶりに小説の感想を書きます。小説を読むのが好きです。
村山由佳さんの小説「星々の舟」を読んだ。2003年の直木賞受賞作とのこと。
とても面白かった。どの世代にも楽しんでいただける本かもしれない。
物語にとおる一本の筋は恋愛小説。ただし、兄と妹の恋という禁断の恋。その恋がどうなるか、それを取り巻く別の兄弟の恋愛の癖、祖父や孫の個人としての人生。
だれかがハッピーエンドになったり、何かが解決したりというスッキリ感はあまり出てこなかった気がします。読んでから少し時間が経ってしまっていて記憶がうる覚えでスイマセン。
ただありのままのおもいどおりでない状態を完璧として、人生ってこういうものだよねと肯定する。
お互いに立ち入らずお互いの在り方を肯定する。
家族として共同体でありながら、それでも人間はひとりの個人だと感じさせてくれる、なんというか現代社会の距離感をよくあらわした小説なのかもしれない。
ホームドラマのような幸福というわけではなくて、あたしとしてはこういうものだよねと共感した。共感しつつも、ひょっとして案外みんなこんなものなのかもなともおもったりした。
この小説は自分に近い価値観が出てくると同時に、自分とは違う他人も出てくる小説で、だからこそまたいつか読み直したいなとおもったのでした。
読んだ方の感想が聞きたい小説でもあるな。読書交換会に参加してくださった方が持ち帰ってくださったからまたいつか感想を聞ける機会があるかもしれない。
村山由佳さんの小説を読むのは「天翔る」に次いで2冊目だった。
⇒村山由佳「天翔る」、居場所の小説 不登校の少女が馬術「エンデュランス」に挑戦
「エンデュランス」のときも感じた。いびつなまま進んで、いびつなもの同士が思いやりをかけあって、そして自己実現していく。人生ってそんなものなのかもなーと。
と申しますか、あたしたちはみんないびつで、でも原則自分以外の人物とは一部分でかかわるのみだから、案外そういうものなのかもともおもったり。
気になる。また村山由佳さんの小説を読みたい。
ではまた
東京都豊島区池袋で読書交換会を開催しております。人にあげても差支えがない本を持ち寄り交換する読書会です。
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※今後の予定は2020年3月6日(金)夜、3月21日(土)夜です。
◆臼村さおり twitter @saori_u
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