起きたら17時近かった。おもっていたより疲れがたまっていたのかな。
福井晴敏著「亡国のイージス上・下」(講談社文庫)を読んだ。
亡国のイージス 上 (講談社文庫) | |
福井 晴敏 | |
講談社 |
亡国のイージス 下(講談社文庫) | |
福井 晴敏 | |
講談社 |
面白くてびっくりした!!
と申しますのは、実は読むのは2度目。数年前にも「亡国のイージス」を読んだことがある。そのときは面白いとおもえなかった。ほぼ飛ばし読み。主要人物らが絵画についてやりとりするところは共感できたのだけど、あとはさっぱりわからなかった。
自衛隊や武器兵器、国防機能についての話が多すぎて、細かすぎて、あまり関心がない分野のため、途中で迷子になってしまったのよね。組織に所属していないから、序列への感性が鈍いというのもあるかもしれない。
でも、二度目だと知らないことがあっても頭に入りやすいのだろうね。
内容は、北朝鮮を仮想敵として描いた小説。国家の意思とは関係なく個人的な愛国心から動いているという設定にはなっているけれど、(そして前述のとおり面白かった!!けれど、)あまりこういう設定は好みではない。
今、冷戦時代に作られたハリウッド映画とかみると、ソビエト連邦(現ロシア)、アジア、イスラムへの蔑視というか偏見が強く辟易することがある。それと同じような気がどうしてもしてしまう。
誰がどういう役割なのかはわからないほうが面白いから、ここには書かない。
戦争がよく描かれているとおもった。人は簡単に死なない。傷つけられたらすぐに死に至るのではなく、苦しみ続ける。実際に戦闘に携わったことないあたしたちの世代にも、武力は避けたいと思わせてくれる内容だったよ。メッセージ性が強い小説なのかもしれない。
最後は平和に戻るストーリーだけど、白黒つけずグレーなところも気に入った。そして読んでいるときは主人公に感情移入してしまうけれど、あとで振り返ると、それ以外の人物たちの背景にも思いを寄せられる。
もっとも、最後の陰謀のようなところはやっぱり迷子になってしまったのだけれど、いつかまた読むとそのときはわかるのかも。そのときを楽しみにする。
上下巻それぞれがけっこうなページ数の本だから、再読するのはずっと先なんだろうな。
漫画で歴史を学ぶとわかりやすいように、知らない分野の小説を読むと、その分野に詳しくなるのかもしれないとおもった。
福井晴敏さんの小説は、江戸川乱歩賞受賞の「Twelve Y.O. 」、その前部分の話になる「川の深さは」も読んだことがある。けれども同じく迷子になって飛ばし読みだった。これも今なら読んだら楽しめるのかも。
ちなみにつまらないとおもいこんでいた「亡国のイージス」をもう一度読んでみようとおもったのは、東京読書交換会で譲っていただいたから。
さらには、日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、大藪春彦賞をトリプル受賞したというのが決め手になった。それだけ評価されるからには、あたしが楽しめなかっただけで、きっと面白いんだろうなとおもった。こういうふうにおもえるから賞の機能はありがたいのかもしれない。
明日は東京読書交換会。それまでにもう1冊読めたらいいなおもっている。
ではまたー
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◆臼村さおり twitter @saori_u
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