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「なぜ貧しい国はなくならないのか」 (1)

2015年04月11日 | なぜ貧しい国はなくならないのか

世界の現状  

             

2015年3月23日  園田 淳

 

「ミレニアム開発目標(MDGs)の第一の目標は、2015年に貧困者の数を半減させること」

 

何が問題なのか

1、所得の国際比較

2、所得と「人生の質」の指標

3、所得と貧困

 

地域・国名

1人当たり

GDP(ドル)

乳児死亡率

1000人当り

平均寿命

小学校

就学率

中学校

就学率

貧困者比率

高所得国

37092

5.0

80.0

96

91

データなし

東アジア

7020

15.0

72.9

95

67

12.2

南アジア

2812

48.8

65.5

91

データなし

32.3

バングラ

1488

38.6

68.6

89

41

43.3

パキスタン

2397

60.4

65.2

66

33

21.0

インド

3073

48.6

65.1

97

54

32.7

ネパール

1083

40.6

68.4

84

42

24.8

サブサハラ

1689

68.5

54.3

76

27

53.5

エチオピア

932

54.0

58.7

84

27

30.7

ナイジェ

2137

80.8

51.4

63

26

68.0

ケニア

1485

50.1

56.5

83

50

43.4

南アメリカ

11563

16.9

75.0

95

73

5.2

ほとんど2010年のデータです。「なぜ貧しい国はなくならないのか」より

 

1所得の国際比較



まずは所得の高い国と低い国を比べてみましょう。

2010年のデータですが、高所得国の一人当たりの年収は37000$それにたいしてエチオピアは900$ネパールは1000$。

1$120円で換算すると、先進国の人々は440万円の年間所得があるのに対して、最も貧しい国の1つであるエチオピアで約11万円、ネパールでは12万円ということになります。

つまり一月一万円に届いていないのです。高所得の国との格差は40倍にもなります。

こう考えれば、このふたつの国の所得は想像を絶する低さであることがわかると思います。

東アジアは中国の成長に牽引されながら急速に成長しています。2010年には先進国の2割近くまで所得水準が上がってきました。

次に南アジアは東アジアに比べると所得が低い感じがあるものの、近年、眠れる巨人といわれているインドの成長の加速がめざましく、その影響で近隣のパキスタンやバングラデシュも所得が上がってきています。

対象的に取り残されているのが、サブサハラと呼ばれている、サハラ砂漠より南の国々です。

2000年代に入って、成長率が上がって来ているとは言え、所得水準は相変わらず低い。

最後に南アメリカですが、所得水準は意外と高いのですが、成長が緩慢なので、近い将来、東アジアに追い抜かれそうな情勢です。

 


2 所得と人生の質



まず、各地域の乳児死亡率をご覧ください。高所得の国、東アジア、南アジア、サブサハラと所得が低くなるにつれて、乳児死亡率が高くなっているのがわかります。

次に平均寿命を見てください。ここでは高所得、東アジア、南アジア、サブサハラと所得が下がると、寿命が惨めなります。ナイジェリアの数字をみますと、私の年代はすでに平均寿命に達しています。

小学校や中学校の就学率も同じことがいえます。高所得、東アジア、南アジア、サブサハラと数字がだんだん低くなっているのがわかります。

所得は単に物質的な満足感だけでなく、健康や医療の水準とめ関係していて、さらに教育への投資に影響を与え、こどもの就学率と密接に関係していることは疑う余地がないといえるでしょう。

つまり、所得は人生の質に大きな影響を与えるのです。

 


3所得と貧困



そして、表の一番右、貧困者比率を見てみましょう。貧困者は世界銀行が定義する1日当たりの所得が1$25セント以下の人々を指します。その国のなかにどれぐらいの割合で、貧困者がいるのかを表したのが、貧困者比率です。

その国の平均所得がたとえ高くても所得の分布に偏りがあれば、一部の大金持ちと多数の貧困者が併存するということはありえます。

しかしながら、表を見ると、高所得、東アジア、南アジア、サブサハラと所得が低くなるにつれ貧困者比率は高くなっていて、強い負の関係が見られます。

所得の不平等は放置すべきではありませんが、それよりも貧困を減らすためには、やはり所得を高めることが、必須の条件であるのではないでしょうか。

特に、貧困にあえぐ人々が就職しやすいような産業を発展させることが重要だといえます。

これまでのことをまとめますと、その国の一人当たりの所得を増やさないことには、乳児死亡率を下げることもできないし、寿命も引き上げられない。そればかりか、教育の改善も貧困者の削減も極めて困難なのです。


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2018-02-13 14:05:23
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