いやー、やってくれました。
優勝へのマジックナンバーを1としていた広島東洋カープが、2位阪神タイガースを降し、昨年に続きセ・リーグ優勝を果たしました。2位に大差を付けての独走状態で、6月頃からはほとんど危なげがありませんでしたね。
去年の優勝は25年ぶりと言うこともあって、フロックという見方をする人もいたかもしれません。ですが、今年連覇を果たしたことで、完全に強豪チームとして復活を遂げたと言えると思います。
チーム | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計
| カープ
| 1
| 0
| 0
| 1
| 0
| 0
| 0
| 1
| 0
| 3
| タイガース
| 0
| 0
| 0
| 1
| 0
| 0
| 1
| 0
| 0
| 2
|
ディフェンディングチャンピオンでありながら、黒田が引退し、大きな戦力の上積みも無かったため、開幕前の評論家の評価は、30億円の大補強をした巨人の次くらいだったんですよね。かく言う私も、去年はちょっと出来すぎ感があったので、優勝すると信じてはいましたが、去年ほどの独走はできないかなぁと思っていました。
それが、終わってみれば、今日の終了時点で2位阪神に11ゲーム差。4月から7月まで安定して貯金を重ね、8月はちょっと失速しましたけど、シーズンを通して、ほぼ危なげなく逃げ切ることができました。2年続けてのこの結果ですから、けして出来すぎなどではなく、実力で勝ち取った優勝として誇れるものだと思います。
今年の不安要素は、やっぱり黒田の抜けた投手陣。黒田がいなくなり、しかも開幕直後にエースのジョンソンが離脱して、先発陣はいきなりピンチに立たされてしまいました。
ここを支えてくれたのが、2年目の岡田と、先発に転向した大瀬良です。二人ともまだ経験は少ないのですが、その潜在能力を遺憾なく発揮して、ローテの柱として白星を重ねていきました。四球で自滅してしまうという脆さも併せ持っているものの、優勝チームの主戦として活躍した今年の経験を活かして、来年以降の飛躍が楽しみですね。
そして忘れてはいけないのが薮田。開幕直後は中継ぎでしたが、途中から先発に回り、ここまでチームトップの14勝。最多勝と最高勝率のタイトルも狙える位置にいます。中盤からはエース格として、もっとも頼れる投手に成長してくれました。
中継ぎは、中崎、今村、ジャクソン、一岡、中田といった、いわゆる勝ちパターンの投手がフル回転。昨年と比べると、安定感と言う意味では少し落ちるかと思います。けど、中崎が離脱したり、ジャクソンが調子を落としたりしながらも、ブルペン全体でカバーし合って、総合力でなんとか乗り切ったという感じでしょうか。特に、一岡と中田の果たした役割は大きかったと思います。
カープは連投には結構気を使う方だと思うんですけど、点差が開いても勝ちパターンの投手を投入するケースが多いので、疲労の蓄積はやっぱり心配ですね。個人的には、多少星を落とすことになったとしても、もっとブレイシアとか佐藤祥万とか使って良かったんじゃないかと思います。実は、勝ちパターンの5人以外だと、まともな防御率の人がブレイシアと佐藤祥万くらいしかいない、というのが問題なんですけどね。
今年のカープでネックになったのは、やっぱり中継ぎだったと思います。中継ぎは何人いても困ることはありません。もう2、3人くらいは1軍で通用する投手が出てこないと、来年以降、徐々に厳しい戦いを強いられることになるかもしれません。戸田とか、今井とか、期待していたんだけどなぁ。
そして、ついつい書き漏らしそうになってしまうのですが、地味に頑張ってくれたのが九里です。先発に、ロングに、チーム事情に応じて大変なところを担ってくれて、気が付いたら今年はチーム5位の113回を投げ、チーム3位タイの9勝を挙げていました。まあ、結局便利屋になってしまったのは、先発としてはちょっと頼りない面があるからではあるのですが、長いシーズンを戦う上で、欠かせない戦力だったと思います。
中継ぎ投手の勝ち星というのは運の要素が強いですし、チームとして考えれば、できれば先発に勝ちが付く方が望ましいです。でも九里のような役割の選手が数字的にも報われるように、是非あと1勝して、二桁に乗せて欲しいところですね。
打線は、メンバー的には去年とあまり変わっていないのですが、各人の成長もあって、頼もしさは去年よりも増したという感じですかね。
特定の誰かに頼るのではなく、打線全体、チーム全体のつながりで点を取っていく。脚の速さに関係なく、積極的に次の塁を狙っていく。去年のカープ打線から、順調に進化を遂げることができたとおもいます。今年の得点力は他チームを圧倒的に引き離していて、セ・リーグの中でも別格でしたね。
レギュラーの中特に貢献度が高かったのは、不動の1番田中、3番丸、そして主に4番に座っていた鈴木誠也だと思います。
田中は打率、出塁率を上げ、盗塁も成功率を上げて、現在32盗塁でリーグトップ。ホームランこそ減ったものの、リードオフマンとして進化していきました。
鈴木誠也は去年ハデにブレイクしましたが、今年も遜色の無い数字を挙げています。打率こそ落としたものの、3割はキープ。本塁打と打点は昨年以上のペースで積み重ねていました。WBC もあってなかなか打撃の調子が上がってこなかったり、残念ながらシーズン途中で骨折して離脱するなど、選手としてはあまり良い年ではなかったはずなのですが、それでも堂々たる成績を残したのは、その実力が本物だからでしょう。まずは怪我をしっかりと治して、来年からまたチームの主軸として活躍してもらいたいと思います。
そして今年の打の主役はなんと言っても丸です。走攻守、全てに渡って高いレベルを維持し、昨年と比べてもほとんどのスタッツを伸ばしています。バランス型の選手なのでなかなかタイトルを狙えるという感じではないのですが(今年は最多安打、打点王、最高出塁率の可能性がありますけど)、チーム全体で点を取りに行くカープ野球を、もっともよく体現していた選手でした。鈴木誠也が怪我をしたからというネガティブな理由もありますけど、今年のMVP に最も近い選手だと思います。
上記の三人が表の立役者ですが、脇役たちも躍動しました。
去年までは右投手専門だった安部ですが、今年は左投手相手にも多くの打席を勝ち取り(ライバルとなる右のサードが不甲斐なかった、という事情もあるのですが)、規定打席に到達して3割以上の打率を残しています。左右によって使い分けられるレギュラー半から、ほぼレギュラーを手中にしたと言っていいでしょう。高卒ドラ1で入りながらなかなか芽が出なかった安部ですが、10年目でのこの活躍は、カープファンとしては胸が熱くなりますね。
そして同じく右投手専門だった松山も、今年は対左投手の成績を大きく伸ばして、主力の座をがっちりと掴み取りました。春先こそ不調で2軍落ちしたりもしましたが、特に鈴木誠也が怪我で離脱してからは、4番に座って大暴れ。9月の9連勝に貢献するなど、優勝へ向けたラストスパートの立役者となりました。右投手専門だとしても戦力にはなるのですが、どうしても対になる右打者が必要になってきますからね。大卒だけど、安部と同じく10年目。これまで半人前だったのが、ようやく1人前の選手になってくれたという感じですかね。
衝撃的だったのは、育成選手からシーズン途中に支配下登録されたバティスタ。デビューから2打席連続ホームランを放つなど、メチャクチャ強烈なインパクトを残しました。まあとにかく、圧倒的な長打力。完全に別次元でしたね。しばらくしたら打率も低下してきて、ほどなく2軍へ逆戻り。でもまた最近戻ってきて、今日も決勝のタイムリーを放つなど、打者として着実に成長を見せています。まだまだ荒削りで、守備走塁も含めて学ぶことだらけ。ですが、6年という長期契約も結んだことだし、同じく今年支配下登録されたメヒアと共に、今後がとても楽しみな選手です。
それ以外にも、守備走塁のスペシャリストで、どうしても1点が欲しいときに高い確率でホームに帰ってくる野間。類まれなバッティングセンスを見せた西川。打席は少ないものの、少ないチャンスでしっかりとアピールした岩本や磯村など、多くの選手が躍動し、与えられた出番でしっかりと結果を残していきました。
新井やエルドレッドといったベテランたちも、少しずつ出番を減らしながらも活躍しています。そしてその少しずつ増えていくベテランの穴を、若手選手が貪欲に埋めていく。単に勝つだけではなく、チームの新陳代謝も、理想的になされています。魅力的なチームになったなぁと、本当に、本当に、嬉しく思います。去年も書いたけど、カープファンで本当に良かったです。
で、去年は、優勝した段階ではCS や日本シリーズのことは書かなかったのですが、今年は書かないわけにはいきません。リーグ優勝は果たしましたが、まだCS、そしてその先には日本シリーズが待っています。
やはり、去年は成し遂げることが出来なかった日本一。今年は是が非でも達成してもらいたいです。巷ではホークスの強さが喧伝されていて、ホークスが日本一の最右翼みたいな見方もされているようですが、そんなことは関係ありません。
きっとやってくれる。きっと日本一の栄冠を掴み取ってくれる。私はカープを信じます。
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