有言実行三姉妹シュシュトリアンの24年越しの追っかけ視聴。2月21日放送の第7話は、「誰かがあなたを愛してる」です。
教会の鐘が鳴り響く中、捨て犬のモクベエにえさをあげる雪子。本当は家で飼ってやりたいのですが、山吹家の隣に犬嫌いの人がいるので飼えないのです。
モクベエにえさをあげていたら学校に遅れそうになったのですが、何とか駆け込み、ぎりぎりセーフ。しかし、モクベエは雪子についてきて、学校まで来てしまったのです。嫌みったらしい教師に見つかったモクベエは、哀れ、むんずとつかまれて学校の敷地外へと放り投げられてしまいました。
うーん、酷いな、これ。このシーンではモクベエが本当にぞんざいに投げられていて、(実際に犬が投げられているわけではないにしろ)見ていて気分のいいものではなかったですね。
ついでに雪子も、学校に動物を連れてきたかどで、始末書を書かされることになってしまいます。しかし、雪子を連れて行こうとした教師に異変が起こります。突然、腕が上にひねり上げられたかと思うと、見えない何者かに殴られてしまいます。さらには竹箒で叩かれ、逃げ出してしまいました。
「誰? 助けてくれたのは誰なの?」
これ、実際にはかなりの不思議現象が目の前で起きているはずなんですけどね。それを、善意の誰かが助けてくれたと認識する辺り、さすがシュシュトリアンをやっているだけのことはありますね。
「私です」と、謎の存在は答えますが、雪子の目の前には、ただ冠だけがぷかぷかと浮いているのみ。お礼を言いたいから姿を現して欲しいと頼みますが、それは丁重に断られてしまいます。
謎の存在は、宇宙の王子・ハインリヒと名乗ります。いつも雪子のそばにいて、守り続けると告げると、高笑いを残して去っていきました。
家に帰ってからも、ハインリヒのことを考える雪子。果たしてあれは、夢だったのか。
雪子は机の上の花がしおれかけているのに気付きます。しかしそれと同時に、門扉を開けて、謎の花束がふわふわと山吹家へと侵入してくるのでありました。怪しい。怪しすぎる。
一方その頃リビングでは、一家団欒の中に、三角巾で右腕を吊った月子の姿がありました。じゅうたんに躓いて骨折してしまったというのです。前話の撮影中に石橋桂が骨折してしまったので、適当な設定が追加されたわけですね。なので、骨折自体は特に話に絡んでくるわではありません。
そんな中、窓を開けて花束が侵入してきます。新聞を読んでいた英三郎の前をふわふわと通り過ぎると、そのまま階段を登っていきました。
英三郎は雪子と違って超常現象への耐性がないので、悲鳴を上げてしまいます。しかも、警察官としての使命感からか、一度は花束の後を追って階段を登りかけるのですが、やっぱり思いとどまって、月子と花子に様子を見てくるよう命じるのです。曰く、一家の大黒柱にもしものことがあったらどうする? とのことですが……。月子と花子も言ってますけど、とにかく「酷い」の一言。恵まで英三郎に同調して二人に行かせようとするのが輪をかけて酷いです。
雪子の部屋をノックして入っていく花束。雪子はすぐに、それがハインリヒの仕業だと察します。ハインリヒは雪子が花がしおれているのを気にかけていたので、代わりの花を持ってきたというのです。
「ずいぶん早いのね」という雪子に対して、「私は気が短いんです。ミニスカートのように」と返すハインリヒ。ミニスカートに例えることの是非は置いておくにしても、「気が短い」という言葉の選択がもう不穏ですよね。「てきぱきしている」とか、「思い立ったが吉日!」とか、もうちょっと穏当な表現もあるだろうに。
その会話を扉越しに聞いていた月子と花子は、部屋に乱入すると、今、誰と話していたのかを問いただします。初めはごまかそうとした雪子ですが、姉妹の間で秘密は無しよという月子の言葉を受けて、ハインリヒとのことを話し始めます。
ハインリヒはここまで描写されていたこと以外にも、数学のテスト中、黒板に書かれた難しい問題の答えを書き込んだ上、それに気付いた先生の腕をひねり上げたりもしていたのです。
なお、この数学の先生は、あのモクベエを放り投げた教師です。生徒に対して、「この難問はできまい。ざまあみろだ」とか言っちゃう辺り、明らかに性格破綻しているのですが、この件に関してはハインリヒの方が明らかにやりすぎですね。自分にとって都合が良いとはいえ、それに乗っちゃう雪子も、正義の味方としては問題ありですけどね。
余談ですけど、教室でテストを受けていたのは15人で、一クラスの人数にしてはかなり少なめですね。もしかしたらクラス全員ではなく、成績悪い人だけが追試を受けているのかもしれません。でも、黒板に問題が3問だけ書かれていて、その解答を答案用紙に書き込んでいるので、授業中の小テストみたいに見えるんですよね。先生も、問題の難しさを誇っているくらいですし。とりあえず、教室にいたのは全員女子なので、雪子が通っているのは女子校だということは間違いなさそうです。それとも、女子生徒だけ集めてテストを行っていた、とか? それはそれでセクハラっぽいですけど。
あともう一点。壁に時間割が貼っていあるのですが、1校時が40分と、ちょっと短めです。その分時間数が多いのかもしれませんが、最大でも6校時目までしかないし……。また、お昼のコマには「給食」の文字が。給食が出るなんて、高校ではちょっと珍しいですね。
それはさておき、ハインリヒは何故姿を現さないのか。そんな月子の当然の疑問に対して、花子はすっごいブ男だから恥ずかしくて顔を見せられないのだと推測し、サラサラとバカ王子っぽいイラストを描きます。すると、そのイラストの酷さに憤慨して、本来なら陰ながら雪子を守るつもりだったハインリヒが姿を現します。ハインリヒは、宇宙人かつ王子様的なきらびやかな衣装を纏った、れっきとしたイケメンですね。
ハインリヒの正体はパラダイス星からやってきた宇宙人でした。パラダイス星は太陽系にあるのですが、地球から見て太陽の反対側にあるため、地球からは見えないのです。既存の科学知識をひっくり返すのは別にいいけど、ずいぶん雑な設定だなぁ。
鍋やボウルを頭にかぶった英三郎と恵がやってくる気配を察知して、ハインリヒは姿を消しました。月子も花子も、ハインリヒに対しては好印象を抱いたようで、両親には何もなかったことにしてしまいます。
月子は「雪子お姉ちゃんが恋をするのもわかる」と言いますが、雪子は自分の思いが恋なのかどうなのか、まだイマイチはっきりしないようですね。
翌朝、モクベエにえさをあげている雪子の前に、フライドチキン男が現れます。しかし声をかけても、ステッキを強く叩いて呼びかけるまで、雪子はフライドチキン男に気がつきません。その様子から、フライドチキン男は、雪子がハインリヒに相当イカれてしまっていることを察します。
フライドチキン男は、ハインリヒに恋をするのはやめるよう忠告します。彼はいい男なのですが、場合よっては妖怪よりも恐ろしい男だと言うのです。
「恋人にするならあなたにもっとふさわしい立派な人物がいる」とか言いながら自分を指差す辺りはアレですが、用がないなら帰ってよ、という雪子の言葉に、「はい」と、素直に消えるフライドチキン男がいいですね。
そんな雪子の前に、じゅうたんに乗ったハインリヒが登場し、じゅうたんに乗っての空中散歩に誘います。
飛び初めのころは、眼下に東京都港区にある旧芝離宮恩賜庭園が見えるのですが、最後のほうは富士山近くの山のほうまで移動しています。まだ2月なので、上空とか結構寒そうだなぁ。それともパラダイス星の科学力で、冷暖房を完備した快適な空飛ぶじゅうたんになっているんでしょうか。
じゅうたんに乗りながら、雪子はパラダイス星について尋ねます。ハインリヒが言うには、パラダイス星は宇宙で一番すばらしい星で、戦争も無く、公害も、飢えも、住宅難もないのです。人々は不老不死で、病気になることも、死ぬこともないのだとか。
そんなパラダイス星を、雪子はまるで天国のような星だといいます。でもこれ、SF的にはむしろディストピアの要件を満たしちゃってるよね。
ハインリヒは雪子に、パラダイス星へ来ないかと誘います。実はハインリヒは、地球に恋人を探しに来ていたのです。そして遂にみつけたのが雪子だったのです。
ハインリヒは雪子に金のブレスレットをつけると、結婚して欲しいとプロポーズします。ミニスカートのように気が短いハインリヒは、雪子に「考えさせて」などとは言わせず、今、この場で返事が欲しいと迫ります。
想像の中で、ウエディングドレスを着てハインリヒと歩む雪子。ついに雪子は、プロポーズを受け入れてしまうのでありました。短慮すぎる。短慮すぎる!
ところ変わって山吹家。さっそく雪子は、ハインリヒとの婚約を家族に報告します。
いくらなんでも結婚なんて早すぎる! と、結婚に反対の英三郎ですが、英三郎以外の面々はみんな結婚に賛成。英三郎も、相手は王子だし、こんな玉の輿を逃す手はないと言われると、あっさり賛成派に変わってしまいました。おい、おい。
って言うか、ハインリヒのことは、宇宙の王子だということまで含めて、普通に両親に喋っちゃってるのね。それをあっさり受け入れちゃう英三郎と恵もたいしたもんですが。
町を歩く雪子の前に、篠山、加納、荒木の三人組がやってきます。「写真できた?」とフレンドリーに話しかける雪子ですが、雪子の顔を見た三人組は、何も言わずに逃げ出してしまいます。
怪訝そうな雪子の前に、フライドチキン男が登場し、なぜ三人組が逃げ出したのかを説明します。実は昨日、三人は雪子の婚約祝いに、雪子の写真を撮りまくっていました(順番が入れ替わっていますけど、先の「写真できた?」は、これのこの写真のことなんですね)。しかしその様子を見ていたハインリヒが三人の前に現れると、カメラを投げ捨て、フィアンセをみだりに撮るな、二度と彼女に近づくなと脅しをかけていたのです。
三人のほかにも、雪子と親しく口を利いた男たちは、みんなハインリヒにやっつけられたのだとか。そう、ハインリヒは異常なやきもち焼きだったのです。
などと、とうとうと語るフライドチキン男の前にハインリヒが登場し、お前も男だ、消えたまえ、と迫ります。
初めは雪子に対して嫌らしい気持ちなんて無いと堂々と宣言するフライドチキン男でしたが、チャンスがあればあわよくば、などとあっさり本音を漏らしてしまい、ハインリヒの回し蹴りが一閃。「キラキラ光りやがって、まぶしいんだよ! 憶えてやがれ!」と、見事な捨て台詞を吐いて、退散してしまいました。
さすがに酷すぎるのではないかと感じた雪子は抗議しますが、ハインリヒはあくまでも雪子を愛するゆえだと聞く耳を持ちません。しかも、来週出発するという予定を前倒しにして、今すぐパラダイス星へと出発しようと言い出します。だって、彼、ミニスカートのように気が短いから!
指を鳴らすと、空飛ぶじゅうたんがやってきます。それに乗るよう促されますが、雪子は忘れ物をしたと言って去っていきました。
これ、適当な言い訳をして逃げ出したのかと思ったのですが、雪子はすぐに、モクベエを抱いて戻ってきました。モクベエもパラダイス星へ連れて行こうというのです。しかしそれは、ハインリヒが拒否。彼は犬が大嫌いだったのです。
そんな捨て犬1匹と、私との幸せな生活のどちらが大切なのか。悩む雪子に業を煮やしたハインリヒは、モクベエを掴むと、放り投げてしまいます。あかんわ、それはあかんわ!
あわててモクベエを抱きかかえる雪子。はやくじゅうたんに乗るよう促すハインリヒに、雪子は首を振り、婚約の解消を告げるのでした。
でも、婚約解消の理由として、「あなたは私がいなくても生きていけるけど、モクベエには私が必要」って言ってるけど、本当にその理屈でいいの? いいかげん、ハインリヒの人格的な問題に突っ込んだほうが良くない?
しかしハインリヒは、腰のサーベルを抜いて、実力行使に出ます。言うことを聞かねば、殺す。逃げる雪子を、剣を振り回しながら追いかけまわします。うーん、本格的にやばい人になっちゃいましたね。
「あなたと戦うような、そんな悲しいことはさせないで」と、この期に及んでまだそんなことを言う雪子ですが、ついにバルミラクルで月子と花子を呼び寄せます。
一方、自宅で雪子からの通信を受ける月子と花子。
「どうする?」と心配する花子に対し、「大丈夫。行くわ」と、三角巾を投げ捨てる月子。ここ、短いけど、いいやり取りですよね。
公園へ駆けつけ、シュシュトリアンに変身です。
今回はことわざを言う前にバトルへと突入。三人で戦っているのですが、ハインリヒのターゲットは、あくまでも雪子。しかしそれゆえに、月子と花子は完全にフリーです。ハインリヒは雪子に組み付いているところを、月子、花子に引き剥がされてしまいます。
ここでようやくお説教タイム。今回の格言は、「古人曰く、『可愛さあまって憎さ百倍』」。まさに今のハインリヒにぴったりの言葉です。雪子を思い通りにしようというのは、愛ではなく、ただの身勝手。それをわかってもらう為に、シュシュトリアンは戦うのです。
ちなみにこの台詞、いつもは雪子が言いますし、花子の主人公回だった2話だけは花子が言っていますけど、今回は何故か、あまり出番のなかった月子が言っています。ついでに、シュシュトリアンの並び順も、いつもは雪子が真ん中なのに、なぜか花子が真ん中になっています。なんなんでしょうね、これ。まだ序盤だし、いろいろ試していたんでしょうか。
そんなわけで、バトル再開。
やはり執拗に雪子を狙うハインリヒに対して、月子と花子が紅のバトンを合わせ、剣を取り上げます。
月子がハインリヒを押さえ、花子が剣を振りかざしたところで、雪子が止めに入ります。これにて勝負は決しました。
「私には君の気持ちがわからない。こんな地球で暮らすより、天国のような私の星で暮らすほうが君には幸せなはずなのに」
あくまでも自分の価値観に囚われているハインリヒに対して、雪子はフランスの詩人・ジャック・プレヴェールの詩の一節を朗読します。
天にまします 我らの父よ
そちらにお出でを願います
地上は我らが残りましょう
こちらもときおり 素敵です
いきなり詩集を取り出す雪子ですが、この詩集、部屋の花がしおれたシーンで雪子が読んでいたものですね。こんなところに伏線が張ってあったのか。
たとえ苦難が多くても、雪子は地球で生きていくことを選択したのです。だって、この地球は、欠点も多いかもしれないけれど、ときおり素敵な星なのですから。
ここへきてハインリヒも、ようやく自分の愛の形が間違っていたことを悟りました。そんなハインリヒに、好きだったと告げる雪子。ハインリヒも、雪子の幸せを祈りつつ、去っていくのでありました。
再び、教会の前で、モクベエにえさをあげる雪子。「あげるわ」と、モクベエの首に、ハインリヒからもらったブレスレットをはめてやります。
「愛って、なにかしら」
モクベエを抱きながら、一人物思いにふける雪子なのでありました。
そういえば、モクベエが教会の前で捨てられていたのも、今回結婚がテーマだったからなんですかね。
今回はどうも、ハインリヒのキャラクターがあまり好きになれませんでした。敵役なんだから好ましい必要も無いんですけど、そんなハインリヒに雪子がマジ惚れしちゃっている風なのが何とも……。そんなに魅力的かなぁ? 月子も花子も、ハインリヒのことは割と好意的に見ていますしね。
その辺の感覚が微妙に登場人物とずれていたので、ちょっと乗り切れない部分がありましたね。
[次回予告]
飛び散るケーキ。うろたえる人々。誕生会に吹き荒れる、破壊の嵐。
謎の怪人の犯罪に、名探偵花子の推理が冴え渡る。
次回、有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「謎の2・29事件」。お楽しみに。
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数年前にシュシュトリアンを数話程見てファンになりまして、つい先日念願のDVDを入手して堪能している所です。
この回の最大のツッコミどころは、
姉が、大事な娘が地球外に連れ去られてしまうというのに家族の誰もが反対しないというところでしょうな。
雪子でさえ(恋にほだされているとはいえ)家族と離れ離れになることに疑問も持たず、
「今すぐ行こう」という王子の言葉に「予定が速すぎる」などと返してる始末w
ためらいを見せる理由が家族でなく面倒見てた犬ってのもなんか釈然としない^^;
(理由としてはまあ納得できはしますけど)
あとおっしゃる通り、犬をぞんざいに扱うシーンは気に入らなかったっすねえ。
犬をかわいがる雪子の姿に見惚れて恋に落ちたのかと思いきや、犬は嫌いだとか言ってぽいするし。
気が短い上に自分の思い通りにならないと暴力をふるう。
こういう男のタイプは現実では最も恋愛対象ににしちゃいけない男ですわな。
たぶんもし本当に二人が結婚したとして、家族や雪子がお互いに会いたくなっても多分、
会いに行かせることすらしなかったでしょうから、結婚が成立しなくて正解でしたね。