有言実行三姉妹シュシュトリアンの24年越しの追っかけ視聴。1993年2月28日に放映された第8話は、「謎の2・29事件」です。
家でラブラブしたい両親を家に残して、そろってスケートに出かけようとする三姉妹。恵は月子に「転ばないでね」と注意しますが、骨折中に行くようなところじゃないよなぁ。
しかし、門扉を出る隙さえ与えず、フライドチキン男が登場。お酉様の指令を伝えようとします。露骨に嫌そうな顔をし、門扉に鍵をかけられても無視して乗り越えようとする三姉妹ですが、フライドチキン男がステッキを振ると、家の中から両親の激しい怒号が聞こえてきます。三姉妹がシュシュトリアンに任命されたときに、その代価として両親を仲良くさせてもらっていたので、任務放棄の素振りを見せようものなら、たちまち両親の仲を悪くすることができるわけです。
そんな夫婦ゲンカの様子を見せられた三姉妹は、しぶしぶお酉様の指令を受けることにします。しかし、両親の仲を自由自在に操れるフライドチキン男って、なんだかんだで結構な裁量を預けられていますよね。ま、元々お酉様がやる気をなくしたからシュシュトリアンを任命したくらいだし、フライドチキン男に対してもテキトーな管理体制になっているんでしょうね。第6話(「光源氏のバレンタイン」)とかでも好き勝手に動いているくらいですし。
お酉様からの指令は、「この近くで、今日が誕生日である人の家に行くべし。そこで、奇怪な犯罪が起こる恐れあり」。
どこへ行けばいいのか尋ねる花子に対しては、それは自分たちで探してくださいとそっけなく答え、フライドチキン男は消えてしまいます。お酉様からの指令って、具体的に犯人の名前を言って退治せよと言うときもあれば、妙にぼんやりとした内容のときもありますよね。
花子は、篠山、加納、荒木の三人組に、今日が誕生日の人を知らないか尋ねます。しかし、三人の知っている人の中には、今日が誕生日の人はいません。明日だったら、加納の父親が誕生日らしいんですけどね。
荒木は区役所に行って尋ねればわかると提案しますが、その案は日曜日なんだから休みだろうと篠山に否定されます。
しかし何かを思いついた花子は、ケーキ屋さんへと向かいます。今日が誕生日で、誕生日のデコレーションケーキを注文した人を教えてもらおうというアイデアです。
現在なら個人情報保護の観点から教えてもらうのは無理そうですが、ケーキ屋さんはあっさりと、2丁目の池松さんの家から注文があったことを教えてくれます。
池松さんの家では、誠君の誕生パーティーが開かれています。蝶ネクタイで正装していて、ちょっと金持ち風のお子様ですね。
花子はパーティーが開かれている部屋の隅で、ちょこんと座っています。「全然関係ない子の誕生パーティー出るって居心地悪いな」と花子自身も言っていますが、全然関係ない子を部屋に入れちゃう池松さんもどうかと思うよ。
定番であるハッピーバースデーの歌を歌い、ろうそくの火を消そうとしますが、息を吹きかけても何故か消すことができません。するとケーキがもこもこと動き出し、中からニョキっと人間の手が出てくるではありませんか!
その手がピースサインを作ると、一旦引っ込み、ケーキが爆発。その爆煙の中から、全身黒ずくめの怪人が登場します。
「誕生日に、呪いあれ」
怪人はテーブルの上に並べられていたお菓子を蹴散らすと、誠君に向かってピンク色のくもの糸みたいなものを投げつけて緊縛。誕生プレゼントを奪って逃走してしまいます。
花子も何とか追いすがろうとしますが、変身前なのでなす術もなく、逃げられてしまいました。
やがて警察がやってきます。この事件を担当するのは、三姉妹の父・英三郎。三姉妹は早速、事件の情報を得ようと英三郎に詰め寄ります。
最初こそ秘密を守ろうとする英三郎ですが、月子にタバコ代を借りている弱みを突かれ、話してしまいます。タバコ代って、せいぜい数百円だろうに……。
英三郎によると、最近、同じような事件が2つ起きているとのこと。しかも、奪ったプレゼントは全部川に捨てられていたため、プレゼントを目的とした犯罪ではないようなのです。
このままでは、また明日、誕生日を迎える人が被害に遭うかもしれない。非常警戒を手配しようとする英三郎ですが、あることに気がつきます。実は明日は、誰あろう英三郎の誕生日だったのです。
翌日、山吹家を大勢の警官が警備します。英三郎も、拳銃を片手に家の中をうろうろ。しかもトリガーには指がかかっています。いや、そういうの、危ないって!
そんなものものしい雰囲気の中、花子にはちょっと気になることがありました。そう、今日は加納の父も誕生日なのです。
加納家を訪ねた花子ですが、時すでに遅し。加納家はすでに、怪人に襲撃された後でした。
再現VTRで、ろうそくの火を加納父が消そうとすると、鐘の音と共にろうそくが線香に早変わり。そこへ怪人が乱入してくると、これまでの事件同様、テーブルをひっくり返すと、加納父をぐるぐる巻きにしてしまいます。
しかしここで、プレゼントを持って立ち去ろうとする怪人に対して加納が反撃。プレゼントを取り返そうと、怪人に取りすがります。指に噛み付いたりしてなんとか抵抗しますが、そこは大人と子供。最後は壁に叩きつけられて、加納は気を失ってしまいました。
その際、壁にかかっていたカレンダーが落ちてしまいます。そのカレンダーを手に取った怪人は、「俺はカレンダーが憎い!」と言うと、ライターでカレンダーに火をつけ、燃やしてしまいます。屋内で火をつけるとか、危ないって!
「ひょっとすると……」
カレンダーを燃やしたということを聞いた花子は、何かに気付いたようです。
前半で花子が聞き込みに行ったケーキ屋・シャトレーゼに、誕生パーティー用のデコレーションケーキの注文が入ります。頼んだのは、誰あろう花子。怪人をおびき寄せる為に、ニセの誕生パーティーを開催しようというのです。しかし、3000円のケーキをポンと注文しちゃうとは、小学5年生のクセに、金持ってるなぁ。
ちなみに、ここで明かされた山吹家の住所は七面町2-10。さすがに実在の住所ではありませんね。
翌日、テニスコート横の駐車場で、寒空の下ニセ誕生パーティーを開く三姉妹。家では両親に怪しまれるとはいえ、場所とかもうちょっとどうにかならなかったの? まあ、屋内にすると怪人に荒らされてしまうかもしれないから、こういう広い場所の方がいいのかもしれませんけどね。
ともあれ、ハッピーバースデーの歌を歌い、花子のニセ誕生日を祝う三人。歌い終わったところで、猛然と一台のトラックが突っ込んできます。その運転席にはもちろん、例の怪人の姿が。三人はなんとかよけますが、ケーキもろとも、テーブルはトラックに吹き飛ばされてしまいます。
その後も、駐車場で三人を執拗に追いかけるトラック。なんか、ガチでひき殺そうとしているように見えるんですけど……。どうも今回は、描写が全体的にデンジャラスだなぁ。屋内で誕生パーティーを開催しておけば、ここまではされなかっただろうに。
そんな中、花子が転倒。目前に迫るトラック。すんでのところで、三人はシュシュトリアンへと変身し、トラックの荷台の上で名乗りを上げます。
しかし怪人もさるもの。シュシュトリアンを荷台から振り落とそうと、トラックを暴走させます。このシーン、荷台にシュシュトリアンを乗せたまま、引きの映像で割と長めに映しています。スタントさん、屋根の上でがんばっています。
荷台から振り落とされたシュシュトリアンですが、さらにひき殺そうと向かってくるトラックを三人で正面から受け止め、じりじりと押し返していきます。このとき、トラックも全力で押しているはずなのですが、運転席から見たカットでタコメーターが0を指しているのはご愛嬌。
力比べでは勝てないので、トラックから降りて肉弾戦を挑む怪人ですが、マントをつかまれ、トラックに叩きつけられてしまいます。
「あなた、そんな格好では戦うのに不自由でしょう」
「いい加減にそのマスクを取ったら?」
「あなたの正体はわかっているのよ」
そう、シュシュトリアンには、既に怪人の正体がわかっていたのです。
怪人に襲われた家には、共通点がありました。それはみんな、同じケーキ屋でケーキを注文していたこと。ケーキ屋なら、誕生日用のケーキの注文から、誰がいつ誕生日を迎えるのかわかってしまうのです。しかし先日、同じ誕生日でありながら、加納父は襲われたけど、英三郎は襲われなかった。なぜなら、英三郎はケチで、ケーキを注文しなかったから。
さらに調べを進めていく上で、花子はケーキ屋のおじさんが左手の人差し指に怪我をしていることに気がつきました。それこそ、加納が怪人に噛み付いたときにできた傷だったのです。
この辺り、シュシュトリアンにしては珍しく、いきあたりばったりではなく、頭を使った展開ですね。
どれも状況証拠ばかりなんですけど、観念してマスクを取った怪人の素顔は、やはりケーキ屋のおじさんでした。ケーキ屋のおじさんなら、花子のニセ誕生パーティーの情報もバッチリわかる……、というのはいいんですけど、自宅じゃなくてテニス場の駐車場でパーティーを開催するというところまでは、しっかり追跡調査しておかないと、なかなかわからないんじゃないかなぁ?
ケーキ屋のおじさんがこんなことをしているのは、全て、自分の誕生日が2月29日だから。うるう日の生まれなので、4年に1回しか誕生日が巡って来ないのです。それが、こともあろうに、他人の誕生日を祝うためのケーキを作るケーキ職人になってしまった。他人の誕生パーティーの様子を眺めて鬱屈した思いを溜め込んでいたおじさんですが、同じような思いをしている2月29日生まれの人たちの怨念を呼び寄せ、超能力を得たのでありました。
ちなみに、今回の怪人、エンディングでは「誕生日怪人」と表記されているのですが、本編では誰もそう呼んではいません。なので、今回の記事中でも、単に「怪人」と表記しています。
改めて戦闘再開。マスクを取ったおじさんは、さっきとはうって変わってキレのある動きで、シュシュトリアンに襲い掛かります。
しかし、シュシュトリアンが紅のバトンを合わせると、怪人はごろごろと転がってトラックに激突。これで勝負ありですね。
「古人曰く、『坊主憎けりゃ袈裟まで憎い』」
まあ、誕生日が4年に1回しか来ないのは同情できますけど、かと言って、他人の誕生日をぶち壊すのはいけません。ましてや、カレンダーまで燃やしちゃうのはなおさらです。
「坊主とか、憎くねえや!」と、わかってるんだかなんだかわからない台詞をはいたりもしましたが、とうとうおじさんは泣き出してしまいました。
そこへ部下の警官を引き連れて、英三郎登場。どんな調査をしていたのか知らないけど、なんでこの場所がわかったんだろう?
シュシュトリアンに対して、「お前たちが噂のシュシュトリアン」とか言っていますけど、ある程度知られた存在になっているんですね。確かに警察案件と絡んでいることもありますけど、シュシュトリアン自体はそれほど目撃されていないような気もしますけどね。
なお、シュシュトリアンはメイクしているとはいえ素顔丸出し状態なのですが、英三郎には自分の娘たちだとは気付かれないような仕様となっております。
泣いているケーキ屋のおじさんを見つけ、怪人の正体はこの男ではないかと英三郎は疑いますが、シュシュトリアンはそれを否定します。怪人は遠くへ去り、二度と現れないでしょう、と。
「そうか、それは良かった」。英三郎はそれを真に受けて、事件がもう解決したように振舞っていますけど、警察としてそれでいいの? 事件はもう起こらないかもしれないけど、怪人が犯罪を犯したことは間違いないんだから、ちゃんと逮捕まで持っていきなさいよ。
一応、「あまり警察のやることに手を出さないで欲しい」とシュシュトリアンに釘を刺して、英三郎は部下を連れて去っていきました。
見逃してくれたことに驚き、おじさんはシュシュトリアンに、何故助けてくれたのかと尋ねます。
「だっておじさんは人を殺したわけではないし、4年に1度しか誕生日がないのは確かに気の毒だもの」
いやいやいやいや、このおじさん、トラックでひき殺そうとしてたでしょ。まあ、それまでの住居侵入、器物損壊、窃盗だって、充分すぎるくらいに重大な犯罪ですけど、トラックで追い掛け回すのは流石に「殺意はなかった」で済まされる行為じゃないと思うのですが。
最後は山吹家で、おじさんの誕生パーティーを開催。おじさんに普通に正体バレしてるんですが、まあ、改心してるからいいのかな。
1993年はうるう年ではないので2月29日はありませんけど、花子が特別に、カレンダーに「29」を書き込みます。
おじさんは今年で48歳。でも、おじさんは4年に1回しか誕生日が来ないんだから、まだ12歳ってことになるという、おなじみのうるう年ジョークで本エピソードも締め……って、ちょっと待って。うるう年じゃない今年で48歳になるってことは、そもそもうるう年生まれじゃないのでは? 今回の話がまるまる台無しになるレベルの設定ミスじゃないですかね。
それとも関連するのですが、タイトルからしてうるう年ネタなのはバレバレだったので、観ていたとき、逆にずっと勘違いしていたことがあります。篠山の「今日は日曜日」発言もあったので、最初にフライドチキン男が登場したのが放送日と同じ2月28日で、明日が誕生日だという英三郎と加納父は共に2月29日生まれで、それが何かの伏線になっているのかと思っていたのですが、特にそういうわけではなかったようですね。本編では特にうるう年のことには触れられず、そのまま英三郎と加納父の誕生日も過ぎてしまったので、あれれ? と思ってしまいました。
最初にフライドチキン男が出てきたのが、2月21日(1993年だと日曜日)。英三郎と加納父の誕生日が2月22日。その後、一週間以内に事件が解決。最後のケーキ屋のおじさんの誕生パーティーは、おそらく2月28日(山吹家のカレンダーが2月のままだったので、3月にはなっていないはず)。劇中の描写から、矛盾のないように解釈すると、こんな感じでしょうか。
なお、ご存知の方も多いかと思いますが、日本の法律上、年齢が増えるのは、誕生日前日の午後12時(24:00)と定められています。誕生日の午前0時(0:00)と時間的には一緒なのですが、この法律のおかげで2月29日生まれの人は、29日のないうるう年以外の年でも、前日の2月28日の24:00に歳を取ることができるわけです。ケーキ屋のおじさんは、断じて12歳ではありません。
年度の切り替わりは4月1日からなのに、4月1日生まれの人が早生まれで上の学年になるのも、年度が切り替わる直前の3月31日に歳を取るからです。
[次回予告]
幸福を呼ぶ青い鳥。捕まえたのは、チルチル、ミチル。商売を始めて大金持ち。今では贅沢なお城での暮らし。それに目をつけたフライドチキン男。青い鳥を焼き鳥にして、大儲けをたくらむけれど……。
次回の有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「フライドチキン男の青い鳥」。お楽しみに。
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