創土社から刊行予定のゲームブック、『ザ・タワー・オブ・ドルアーガ 悪魔に魅せられし者』の発売延期記念に、勁文社から刊行された、北殿光徳・文、スタジオ・ハード・編のゲームブック『ドルアーガの塔 外伝』をプレイ開始。
ネット上で調べた限りではけして評価の高くない作品ですので、ま、それなりにプレイしていこうかと思います。
復活した悪魔ドルアーガに奪われた王国の守護石、クリスタルロッドと、恋人カイを救い出すため、単身ドルアーガの塔に乗り込んだ勇者ギル。それと時を同じくして、ギルの双子の弟ノヴァもドルアーガの秘密を探るため別の冒険に旅立っていたのだ! 目指すは城塞戦車ドルアガノン。それは、一歩まちがえれば死を意味する恐怖の罠だ。魔物のはいかいする謎に満ちた迷路の中で、ノヴァを待ち受けるものは……。
「ドルアーガの塔 外伝」裏表紙より。
早速キャラメイク。
まずはバトルポイントとして、AからJの10個のパラメータに0から9までの数字を割り当てます。
そして、戦闘力設定。体力、剣技、魔術の3つのパラメータの合計が10になるように、自由に割り当てます。
基本設定
体力 4
剣技 5
魔術 1
バトルポイント
A:5 B:1 C:0 D:4 E:6
F:9 G:8 H:2 I:7 J:3
ま、この辺はどうせよくわからないので、適当に決めます。
あたし、レイン・デシンセイ。20歳のか弱い女の子、兼、冒険者。
昔はお城に勤めていて、一応女だてらに従士長なんかやってたりしたんだけど、あまりに堅苦しい生活に嫌気が差して、何年か前に国を飛び出してしまった。それからは自由気ままに、悪の魔術師を退治したり、トカゲ王を退治したりしながら、貧乏暮らしをしながら諸国をさまよっている。
旅から旅の生活で一生祖国の土を踏むこともないだろうと思っていたあたしだけど、そうも言っていられない事情が出来てしまった。たまたま立ち寄った街の酒場で飲んだくれていたとき、なんとあたしの祖国が外敵に滅ぼされ、悪魔ドルアーガが復活し、王国の宝であるブルー/クリスタルロッドを奪い去ってしまったという噂を耳にしたのだ。
その噂を聞いたとき、あたしの目の前が真っ暗になった。一度は捨て去ったつもりの祖国だけれど、心の奥には故郷に対する郷愁がしっかりとこびりついていたのだ。
そして何より、真っ先に脳裏に浮かんだのがあの人――王子ギルの顔だ。
彼は王子、あたしは従士の子。身分違いは承知の上だったけれど、幼い頃からまるで兄妹のようにかわいがってもらったギルに対して、あたしは友愛以上のものを抱いてしまったのだ。
元から結ばれることなど諦めてはいた。しかし巫女のカイを愛しているという話を当のギルから相談されたことが、私が国を去った最大の理由なのだ。
ギルはあたしがいない今、国一番の剣士だ。王子という立場もあり、この有事に際して、最前線で剣を振るうことは間違いないだろう。しかし、果たして彼一人でいったいどれほどのことができるのか。
国を、ひいてはギルを救うため、あたしは剣を取り、祖国へと向かって旅立った。
祖国へと向かうために、あたしは無人の荒野を歩いていた。その地はけして荒野などではなく、みどりが生い茂った草原だったはずだ。悪魔ドルアーガの猛威は、確実に国土を侵食しているのだ。
ギシンギシン、ギシンギシン。
少し休憩しようとあたしが足を止めたそのとき、前方から不気味な音が響いてきた。目を凝らすと、まるで小山のような巨大な影が、こちらに向かってくるではないか。
それは岩でできた無限軌道の上に石造りの塔が乗っている、巨大な要塞だった。
噂に聞いたことがある。これこそ、悪魔ドルアーガが不穏分子を一掃するために放ったという、城塞戦車ドルアガノンだ!
あたしはその巨大な戦車に気圧されつつも、ひとまずこいつを叩くか、それとも急いで祖国へ駆けつけるのか、判断を決めかねていた。
もちろん、こんな厄介なヤツはできるならぶっ潰したいところではある。しかし今は、諸悪の根源である悪魔・ドルアーガの討伐を優先するべきではないだろうか。
とりあえず戦車から身を隠そうとしたそのとき、天空からまばゆい光が降り注いできた。何事かとあたしが手をかざしながら仰ぎ見ると、そこには美しい女神の姿があった。
「わたしは、女神イシターです」
イシター? 女神?
突然の女神の光臨に、あたしは言葉を失った。
「レイン、いまギルは、アヌ神から金の鎧を授かろうとしています。わたしはおまえにも金の鎧を授けましょう」
ギルは無事なのか。そして金の鎧を身に纏い、ドルアーガと戦おうとしているのか。
そして、イシターはあたしにも金の鎧を授けるという。あたしにも使命があたえられるというのだろうか。あたしの頭の中で沢山の疑問が渦を巻く。
「レイン。おまえは、あの邪悪な死の戦車ドルアガノンを攻略するのです。あの城塞戦車には、ドルアーガの塔の秘密が隠されています。おまえは、この秘密を解き明かし、それをギルに伝えればよいでしょう。二人で悪魔を倒すのです」
ギルと、二人で。
ギル一人では、ドルアーガを倒すことは叶わない。このドルアガノンを攻略し、ギルを助けることができるのはあたしだけなのだ。
あたしは気分が高揚してくるのを感じた。
「城塞戦車には、ドルアーガの塔と同じようなフロアが6層あります。そこには、無数の魔物と宝があるでしょう。おまえは、フロアごとに鍵を手に入れ、扉を開けて戦車の塔にのぼるのです。そして塔を制覇することによって、本当のドルアーガの塔の秘密を得ることができるのです」
あたしはドルアガノンに目をやる。単純に強大という言葉だけでは済まされない、禍々しい威圧感を感じる。
果たして、あたしひとりでこの城塞戦車を攻略することができるのだろうか。
「それはわたしにもわかりません。しかし、レイン、おまえが真の正義を愛し、そしてギルを想う限り恐れるものはなにもないはずです。お前が、あの戦車で知った魔物の情報もまた、ギルには役立つことでしょう。心して戦うのですよ」
そういうとイシターは、あたしの身体にそっと触れた。すると金色の光の粒子があたしの身体をとりまき、金の鎧が出現した。それはあたしの身体にぴったりとフィットし、また思いのほか軽量で、動きを阻害するようなこともなかった。さすがは女神の授けし鎧といったところだろうか。もしかしたら、ギルとペアルックなのかもしれない。
いしたーはあたしにドルアガノンの6フロア分の地図を手渡すと、出現したときと同様に光を纏いながら天空へと帰っていった。
見えなくなってしまったイシターの光跡を追いながら、あたしはイシターの言葉を噛みしめる。
ギルを想う限り、恐れるものはない。
確かにその通りだ。できる、できないは関係ない。是が非でもやらなくてはならないのだ。
ドルアガノンを観察していると戦車の横腹辺りに入り口らしき扉を見つけた。あそこから内部に侵入できそうだ。
あたしはざっと装備を確認する。愛用の剣と、イシターから授かった金の鎧。そして幾つかの小物が入ったザック。よし、大丈夫だ。
あたしはゆっくりときしみ音とあげながら走るドルアガノンに飛びついた。以外にも見張りなどの姿は見えない。荒野を移動中だということで、油断でもしているのだろうか。
落ちないように外壁を移動して、あたしは扉の前にたどり着いた。そしてひとつ大きく息を吐くと、扉に手をかけ、ドルアガノン内部へと侵入した。
(つづく)
話、かなりいじくりました。
![](/images/clear.gif)
![](/images/clear.gif)
|
|
見事に、主人公がノヴァ君からレイン嬢に変わっているのに驚愕です。さりげなく、ギルに恋心を抱いていたという設定が加わっているのも面白いですね。昔の記憶と照らし合わせて、三話一気に楽しませて頂きました。
完結後は是非、ドルアガドン編を――。(笑)
トラックバックさせて頂きました!
主人公が「君」のゲームブックだとリプレイも好き勝手に書けるのですが、これはある程度設定が決まっているゲームブックをどこまでいじれるかという実験のようなつもりで書いています。無駄に時間がかかって大変です。