有言実行三姉妹シュシュトリアンの24年越しの追っかけ視聴。第33話は「妖怪・米ツキバッタ!」です。
新装開店のパチンコ屋の前を走っていく、篠山、加納、荒木の三人組。しかし荒木は店の前に立っている人形が気になり、立ち止まります。
その人形は、「出血大サービス いらっしゃいませ」という看板を持って、お辞儀を繰り返しています。荒木はこの人形は人間だと言いますが、加納は良くできた人形だと主張。真偽を確かめるべく、三人は人形をぺたぺたぺたぺたといじくります。
何をされてもまったく反応しないので、やっぱりこれは人形だと結論付けた三人は立ち去ろうとしますが、人形は「待ちな」と呼び止めます。そして上着を脱ぎ、加納におろされたソックスを上げ直すと、妖怪米ツキバッタの正体を現したのです。
その手には、オジギソウの鉢植えが出現。お辞儀をしながら三人組に近づいて鉢植えに手をかざすと、オジギソウが怪しく光りながらお辞儀するのでありました。果たして三人組の、運命や如何に。
談笑しながら歩いていく月子と花子は、さきほどのパチンコ屋の前を通りがかります。するとその店先で、篠山、加納、荒木の三人組が、看板を持ちながらお辞儀をしているではありませんか。ちょうどさっきの妖怪米ツキバッタと同じような感じですね。
花子が声をかけても、三人は何の反応も示しません。人形ではないかと疑いますが、体温もあるし、やっぱり本人のようです。しかし花子が頭を叩いたりしても、三人はひたすらお辞儀を繰り返すばかりです。
そこで月子が、消火栓にホースをつないで、三人に水をかけます。おいおい、ちょっと、いくらなんでも酷くない? しかしびしょぬれになりながらも、三人はひたすらお辞儀するのみ。今度は花子が、落ちていたパチンコ玉を荒木の鼻の穴につめますが、やっぱり無反応。もう、手の施しようがありませんね。
そこへ現れたのが、紙袋を手にしながらパチンコ屋から出てきたフライドチキン男です。実は一部始終を見ていたというフライドチキン男。何が起こったか話すから、うまいものでも食べながら話そうと、二人を蕎麦屋へ連れて行きます。ただし、月子たちのおごりで。堂々と天ぷらそばを注文するとか、中学生と小学生におごらせるにしては、ちょっと高いのを頼みすぎてない?
フライドチキン男が語るところによると、加納たちがああなったのは妖怪米ツキバッタの仕業なのです。妖怪米ツキバッタはやたらと人にお辞儀をさせたがる妖怪で、手にしたオジギソウの光を見た人は、お辞儀をしたくなってしまうのです。この妖怪米ツキバッタを退治しろというのが、今回のお酉様からの指令ですね。
妖怪米ツキバッタに狙われやすいのは、絶対にお辞儀をしたくないという礼儀知らずや、威張り腐った人間とのこと。逆に、妖怪米ツキバッタに襲われても、ぺこぺこ頭を下げれば大丈夫なのだそうです。うーん、こちらに落ち度があるのなら頭を下げるのも当然ですけど、理不尽に襲われたときに、助かりたいがために頭を下げるというのは、ちょっと嫌ですね。
しかし花子は、妖怪米ツキバッタは、実は良い妖怪なのではないかと疑問を呈します。世の中には人に頭を下げさせるのが好きという嫌なヤツが大勢います。逆にそいつらに頭を下げさせるのなら良いことではないか。だから、たとえお酉様の指令と言えども、今回は聞けないというのです。……いやいや、頭を下げるべき場面で頭を下げられない人はおかしいけど、単に無理やり頭だけ下げさせたって意味が無いでしょうに。だいたい、無理やり頭を下げさせる妖怪米ツキバッタだって、花子の言う「人に頭を下げさせたがるヤツ」と同じでしょ。
月子は花子に、あなただって人に頭を下げるのが嫌いだから、妖怪米ツキバッタに狙われると脅しますが、花子はこっちからお会いしたいくらいだと言って、外へ飛び出してしまいました。
ビルの屋上から、「おーい! 妖怪米ツキバッタ!」と叫ぶ花子。するとそれに応えて、ぐふふふふという笑い声と共に、妖怪米ツキバッタが現れます。ずいぶんお手軽だなぁ。
花子は篠山、加納、荒木の三人組を助けてやって欲しいと頼みます。しかし妖怪米ツキバッタ、あの三人が将来サラリーマンになるのなら、人にぺこぺこぺこぺこ頭を下げることに変わりはないのだから、ほっとけと言い放ちます。尚も「かわいそうだから」とウインクしてお願いする花子ですが、「なれなれしい」と一蹴されてしまいます。
それどころか、さっきから一度も頭を下げていないということを、妖怪米ツキバッタに指摘されてしまいます。まあ、人に物を頼むんだったら、頭くらい下げてもいいよね。
オジギソウで花子をお辞儀人形にしようと迫る妖怪米ツキバッタですが、花子は「もっと生意気でもっと威張っている人がいる」と矛先をかわします。それは、代議士の山縣博文です。凄く威張り腐っていて、汚職の噂もあるのだとか。
早速、山縣の元へ向かう花子と妖怪米ツキバッタ。山縣にオジギソウの光を見せて、その場で土下座させてしまいます。あれ? お辞儀じゃなくて、土下座なの?
更に花子は、お辞儀するならもっといい場所があると、山形をショッピングモールへと連れてきます。その入り口で土下座しながら、「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」と、客にひたすら頭を下げ続けるのでありました。
面白かったね! と、楽しそうに話す花子なのですが……。えーと、この山縣さん、代議士としてどうなのかとか、人間的にどうなのかとかは、まったく描写されていないのでわかりませんけど、威張り腐っているとか、汚職の噂があるとか、それだけの理由でここまでさせるのはどうなの? 少なくとも、正義のヒロインのやることじゃないと思うんですけどね。
それはさておき、今回は冒頭から、妖怪米ツキバッタは常に頭をぺこぺこ下げ続けているのですが、実はそれには深い理由があったのです。
妖怪米ツキバッタが涙ながらに語るところによると、彼の一族は2000年前のご先祖様から、代々人に頭を下げ続けて生きてきたと言うのです。古くは日本武尊から、菅原道真、さらには印籠を見せた水戸黄門など、時の権力者にひたすら頭を下げています。頭は下げているかもしれないけど、なに気に有名人と絡んでいるんだから、それなりに凄いご先祖様なんじゃない? それから、妖怪米ツキバッタの先祖っていかにも農民みたいな格好をしているのですが、なんで黄門様はわざわざ印籠まで見せて平伏させているんだろう?
そんな先祖代々の遺伝で、妖怪米ツキバッタはお辞儀ばかりしてしまう運命を背負っているのです。先祖代々の墓も、お辞儀をしているように前に傾いて建っていますし、その周りにはオジギソウしか生えません。これもう、遺伝と言うか、呪いだよね。
そんな先祖代々の恨みを晴らし、世の中の連中にお辞儀させたいとう思いから、男は妖怪米ツキバッタとなったのです。
ちなみに、家系図によれば、一族の初代は「米付人」という人物です。その子供は、「米付彦」、「米付助」、「米付平」、「米付郎」の四人。これ、名前なの? さらに、「米付助」の子供には「米付麿」とか「米付式部」、「米付太夫」とかいるし、ここの家、一体どういう家系なんだろう? 新しい方には、「米付嘉挧」の子供に「米付亮」、「米付大五」、「米付将児」、「米付知」、「米付リン」と、当時放送していた五星戦隊ダイレンジャーの名前もあったりします。その近くには、「米付転身」とか「米付大連」、「米付龍星」なんかもいますね。
ここで再び、花子がまだ頭を下げていないことを思い出した妖怪米ツキバッタ。しかし花子は、あくまでも頭を下げることを拒否。なんとしても花子に頭を下げさせようと、妖怪米ツキバッタは花子を追い回すのでありました。
その頃山吹家では、英三郎がテーブルの上の平和鳥を眺めていました。「お辞儀ばっかりしているなぁ、この鳥」と、いつも職場で頭を下げてばかりいる自分と重ね合わせてしまうのでありました。平和鳥を買ってきた恵も、そんな英三郎を複雑な表情で見つめます。
私はこれ、平和鳥という名前で憶えていたのですが、普通名詞としては水飲み鳥って言うんですかね。頭とお尻がシーソーのようになっていて、水の入ったコップにくちばしを突っ込んで、いつまでも頭を振り続けると言うおもちゃです。子供の頃、友達の家に置いてありましたけど、当時はどういう理屈で動いているのか、不思議に思っていました。
妖怪米ツキバッタから逃げる花子は、シュシュコロンを取り出し、阿波踊りを踊る人に変身します。あれ? シュシュコロンって、もっと攻撃的なアイテムだったと思うんだけど……。変身能力は月子のシュシュリップの専売特許じゃないの?
阿波踊りを踊りながら逃げる花子ですが、そんなことをしていたら当然、妖怪米ツキバッタの目にもとまりやすくなります。妖怪米ツキバッタも怪しんで花子の顔を覗き込もうとしますが、頭にかぶった笠で顔を隠しながら、なんとか家までたどり着くことができました。やれやれ。
家に帰ってみると、雪子と月子が廊下に立っています。なぜこんなところにいるのかといえば、英三郎と恵の様子がおかしいから。英三郎が殿様、恵は腰元に扮し、恵にお茶を入れさせたり、「ういやつじゃ、ういやつじゃのう」などと戯れてみたり、殿様ごっこを楽しんでいます。
いつも上司にぺこぺこしてストレスのたまっている英三郎のために、せめて家では殿様のように振舞わせたいと恵が一肌脱いだのですが……。こんなこと、娘の前でやるなよなぁ。
こんなに威張り腐った様子を妖怪米ツキバッタに見つかったら大変だと花子が心配しますが、案の定、庭先からこのお戯れを見ていた妖怪米ツキバッタが家の中へと入ってきます。そして恵を相手に威張り腐っていた英三郎にオジギソウの光を見せ、お辞儀人形にしてしまいました。
これには恵が食ってかかります。妖怪米ツキバッタに頭を下げて謝れと迫りますが、妖怪米ツキバッタにとって、「頭を下げろ」はNGワード。恵みもオジギソウの光でお辞儀人形にされてしまいます。
続いて、廊下にいる三姉妹も毒牙にかけようとします。「顔を見ればわかる。お前たちも、頭を下げるのが大嫌いな娘たちのようだな」なんて言ってますけど、花子はともかく、雪子と月子もそうなの?
花子からオジギソウの光を見てはいけないという情報を得ていたので、目をそらしてなんとかお辞儀人形にされることは回避。三姉妹は外へと逃走していきます。
妖怪米ツキバッタはオジギソウの光で、道路標識の柱を曲げて、三姉妹の行く手を遮ります。このオジギソウは、人間だけでなく、物にもお辞儀させることができるのです。人に対しては、一応お辞儀をさせたいと思わせておいてお辞儀させていたけど、物は単純に折り曲げてるだけだよね。まあシュシュトリアンの世界だから、物にも意識があって、お辞儀させたいと思わせているのかもしれませんけどね。
一体何がしたいのかと問われた妖怪米ツキバッタは、「世の中で一番のえらいさんになりたい」と宣言します。要するに、たくさんの人間にお辞儀させるのが、一番偉い人間だと言うのです。ただ、偉い人は偉いからお辞儀をされるのであって、お辞儀をされるから偉いわけではないのです。お辞儀させること自体を目的にしちゃうと、いろいろまずいんですよねぇ。総理の退陣を最大の目的にしちゃう野党みたいなもんですね。
曲がった標識を潜り抜けて更に逃走する三姉妹。ある程度距離を稼いだところで、シュシュトリアンに変身です。
「乙女盛りに命をかけて」
「風に逆らう三姉妹」
「花と散ろうか、咲かせよか」
「「「有言実行三姉妹、シュシュトリアン!」」」
「古人曰く、『天は人の上に人を作らず』」
「「『人の下に人を作らず』」」
いつもは雪子の言った諺を月子と花子が復唱するのですが、今回は雪子が前半部を、月子と花子が後半部を述べています。言葉が長いからですかね。
もっとも、ずっと人に頭を下げ続けてきた妖怪米ツキバッタにとっては、全ての人が平等だなどということは信じることができません。オジギソウを光らせて、シュシュトリアンと戦闘開始です。
とにかくオジギソウの光を見てしまったらアウトなので、シュシュトリアンはまともに戦うことができません。なんとか鉢植えを奪い取ろうともしますが、妖怪米ツキバッタの格闘能力も案外高く、振り払われてしまいます。
そこでシュシュトリアンは、アイマスクを装着。これで光を見る心配はありません。でもこれじゃあ前が見えないんじゃないの、と思っていたら、本当に見えておらず、妖怪米ツキバッタの攻撃をほぼ一方的に受けてしまいます。え? 何の作戦もなかったの?
しかし、雪子の呼びかけに応えて、月子と花子が集結します。
「たとえ目は見えなくても」
「心眼を見開き」
「力を合わせ、戦うことはできます」
「「「シュシュファイナル!」」」
なんと、シュシュファイナルでいきなり妖怪米ツキバッタを倒してしまいました。オジギソウの鉢植えも、爆発してしまいます。
……いやまあ、確かにシュシュファイナルなら、発動してしまえばどうとでもなっちゃいそうですけど……。いきなり必殺技をぶっ放して勝負を決めるという、ヒーロー物のお約束破りを平気でやっちゃうのか。もう序盤の格闘なんていらないんじゃないかな。
爆発したオジギソウの鉢植えを手にする、妖怪米ツキバッタ。雪子は彼に、身の上には同情するけど、かといって他人に頭を下げさせるのはいかがなものかと諭します。さらに花子も、そんなことでは妖怪米ツキバッタが毛嫌いする威張り腐った連中と同じだと言うのですが……、お前がそれを言うか! 山縣代議士に土下座させて喜んでいたのは、どこの誰だよ!
人に頭を下げなくても済む、また人に頭を下げさせなくても済む世界へ行きなさい、と雪子は言いますが、それって、結構無茶振りじゃない? そんな世界、どこにあるの? 妖怪米ツキバッタも、「それは無理です」とキッパリ。そんな場所はこの地上に一箇所でもあるでしょうか、と。
妖怪米ツキバッタは、妖怪の世界に戻りますと告げ、姿を消しました。妖怪の世界は、頭を下げたり、下げさせたりしなくてもいい世界なんですかね? 今までシュシュトリアンに出てきた妖怪を考えてみれば、割と自分勝手な連中が多いし、頭を下げなくてもいいなんてことはなさそうですけどね。
妖怪米ツキバッタが姿を消したことで、パチンコ屋の前でお辞儀をしていた三人組も我に返ります。おそらく、山縣博文代議士も解放されたことでしょう。
山吹家でも、英三郎と恵が自由を取り戻しました。二人ともお辞儀のし過ぎで肩や腰を痛めてしまっているので、雪子と月子がマッサージ。お辞儀するのも、楽ではないですよね。
「あんたも、お辞儀ばかりで大変ね。少しは休みなさい」
花子はテーブルの上の平和鳥に話しかけます。そして、平和鳥の前のコップをどけてやると、平和鳥はピッと直立するのでありました。
[次回予告]
「あ、ETおばさん。また地球に出稼ぎに来てるの?」
「不景気なのは地球だけじゃないんだよ」
「で、今度は何をたくらんでるの?」
「そりゃ……、うへへへ。そんなこと、言えるかい」
「ところで、ここは?」
「ここは、宇宙」
「え? じゃあ、空気は?」
次回、有言実行三姉妹シュシュトリアンは、「ETおばさんの帰省」。お楽しみに。
「シュシュトリアン、宇宙へ」
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