デマ拡散 意図した行為は重大
昨年11月の兵庫県知事選で日本維新の会の3人の県議が、真偽不明の怪文書や、非公開とされた百条委員会を密(ひそ)かに録音した音声データを意図的に漏らし、拡散させたことが明らかになりました。
■議員辞職に値する
この行為によりSNSや街頭で臆測にもとづくデマが氾濫し、選挙の公正が損なわれました。百条委委員への誹謗(ひぼう)中傷・脅しも広がり、結果として攻撃を受けた竹内英明・前県議の自死を招きました。
兵庫維新の会は、情報漏洩(ろうえい)した元百条委副委員長の岸口実県議を除名、元百条委委員の増山誠県議を離党勧告、白井孝明県議は継続協議としましたが、重大な結果を考えれば議員を辞職すべきです。
岸口氏は知事選期間中に、斎藤元彦氏を応援するとして立候補していた立花孝志氏に出所不明の文書を渡し、立花氏はそれを使って、臆測で斎藤知事のパワハラや県政私物化を告発した元県民局長への中傷をふりまき、竹内県議らを「斎藤知事を追い落とす黒幕」などと攻撃しました。
増山氏は、自ら立花氏に連絡を取り昨年10月25日の百条委の音声データを渡しました。この日の百条委は知事選に影響を与えないようにとの理由で非公開とし、後日公開するとされていました。
この会議で片山安孝元副知事が、元県民局長の公用パソコンの中にあったとされる私的情報について発言しました。百条委委員長は、この情報は百条委の調査対象ではないと、強引に発言する片山氏を制止しました。
これを密かに録音した増山氏から音声データを受け取った立花氏は、街頭演説などで公開し「百条委は都合の悪いことを隠している」との臆測を広げました。
秘密会の情報漏洩は会議規則で禁じられ、破った場合は地方自治法にもとづき議会が議員除名などの懲罰を科すことができます。
増山氏は情報漏洩については謝罪したものの、「県民の知る権利を確保するためだった」「他のメディアでは握りつぶされると思った」などとまったく無反省です。
白井氏も情報提供を目的に立花氏に電話していました。
■表と裏を使い分け
真偽不明な情報、不当に得た情報をまともなメディアが報じないのは当然です。その種のものを拡散させることを意図して立花氏に渡し、世論を誘導して知事選に影響を与えようとしたのは明白です。
岸口、増山両氏は10月25日の百条委を非公開とする議決に賛成。一方、竹内県議は反対しており「情報隠し」と非難されるのは筋違いです。
維新の会は斎藤知事の不信任案を提出し、全会一致で可決されました。県知事選では、維新の会の参院議員だった清水貴之氏(無所属で立候補)を支援し、維新会派の団長だった岸口氏は選対本部長代理でした。その裏で、密かに立花氏を使ってデマを拡散させていたわけです。有権者を欺くもので許されません。
増山氏の行為について、維新の吉村洋文代表が「思いはわかる」と理解を示したことも重大です。維新という政党のあり方が問われます。
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