元市長主導で推進か
企業代理店代表は元市長の妻
性加害問題を巡り2度の不信任決議を受けて17日に失職した、維新の永野耕平元大阪府岸和田市長。同氏の指示で2024年、岸和田市はエックスモバイル社と包括連携協定を結びました。その直前に妻の永野紗代市議が開いたエックスモバイルの代理店が、協定に基づく公民連携事業に関与していることがわかりました。事業を巡り市長とその妻、企業の関係性が問われています。(西森知弘)
![]() (写真)市長室で握手を交わす(右から)永野市長と木野社長=ITmedia記事から |
岸和田市は24年8月19日、エックスモバイル株式会社と子ども・学び・福祉や市政のPRに関し包括連携協定を結びました。取り組みの第1弾として、25年1月からエックスモバイル岸和田店と共に市内の公民館で高齢者向けにスマホ教室を開催しています。
エックスモバイル岸和田店は永野耕平氏の妻の永野紗代氏が代表を務め、24年4月20日に開店。同年8月に協定が締結されました。
具体化を指示
そもそも同市は20年9月23日、エックスモバイルから市民病院向けにWiFiルーター3台、タブレット3台、1年間の通信費と、学校向けにルーター40台と通信費の寄付を受けています。その約1カ月前には「ITmedia」の記事が永野市長(当時、以下同)とエックスモバイルの木野将徳社長が市長室で写る写真を掲載。記事は同社のGIGAスクール構想に関する行政向けプランを紹介しつつ、木野社長が永野市長を介し大阪や全国の自治体とのつながりが生まれたことを述べています。
市の公文書等によると、協定締結までの市とのやりとりで木野社長は、高齢者へのスマホ配布やプラン料金の一部が市の収入となる格安SIMの販売、生活保護世帯にエックスモバイルを勧める等を提案。23年8月の打ち合わせ記録には「自治体が特定の事業者と、このような取り組みをしてよいのか」との市側の所見が書かれていますが、24年5月10日までに市長から職員に連携について具体的に進めるよう指示が出ています。さらにメールには、木野社長と永野市長が直接やりとりしていることも示されています。
審査の公平性
![]() (写真)昨年12月、N国の立花孝志党首の動画に出演する永野元市長(右)=立花氏のユーチューブチャンネルから |
市側は初期の段階からスマホ教室を提案していましたが、木野氏はSIM販売にこだわり、協定締結の翌日、Xに「エックスモバイルと岸和田市は包括連携協定を締結しました。今後自治体とコラボしたモバイルを検討していきます。岸和田市を大阪で1番通信代が安い地域にしたいと思います」と投稿しています。
包括連携協定に関する市のガイドラインで公民連携事業は「審査の公平性に影響を与える行為があった場合」取りやめるとありますが、今回の協定締結は市長主導で行われた可能性が高く、事業には市長の妻が関与しています。エックスモバイルが市と協業のSIM販売を狙う中で進められた協定でもあり、審査過程の検証が必要です。
17日、本会議後の会見で永野市長に木野社長との関係について質問しましたが「あとでその話します」と答えず、終了後、取材を申し込みましたが、秘書課は残務を理由に断りました。
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