内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

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Policy Essayist

 再出発の民主党- 2政党制は確立出来るか -

2007-11-08 | Weblog
     再出発の民主党
 - 2政党制は確立出来るか -
 11月4日、民主党小沢代表は党代表を辞任する意向を表明したが、7日、民主党の両院議員懇談会で、党員、支持者の強い期待を踏まえて代表に止まり、政治生命を掛けて来るべき衆議院総選挙に臨み、政権交代を前提とする2大政党制を確立したい旨表明した。
 辞任の意向は、2度に亘る福田総理との党首会談において、総理側から、日本の国際貢献、安全保障問題での柔軟姿勢の下での自民・民主両党の政策協議と大連立構想が提案されたが、民主党役員会で拒否されたことを受けて表明されたものだ。
小沢代表は、4日の記者会見で、「党首会談を呼び掛けたとか、自民、民主両党の連立を持ち掛けたとか」いずれもまったくの事実無根だとして明確に否定すると共に、多くの保守系報道機関がそのような一方的な報道をしたことに強く抗議する姿勢を示した。
他方、福田総理は、5日、首相官邸での記者団の質問に答え、いろいろな話をしたが、「阿(あ)吽(うん)の呼吸」であるなどとして、明確に答えていない。7日の記者団の質問に対しても、終わったことであり言わないほうがよいなどとしている。
また、インド洋での給油問題、安全保障問題に関連し、小沢代表は、国際平和協力のための自衛隊の海外派遣は、国連安保理、総会での決議に基づいて決定された活動への参加に限るとしている。これに対し、福田総理は、新テロ特措法案については、できれば通して欲しいが、「両党が連立し、新しい協力態勢を確立することを最優先と考えている」、「連立が成立するならば、敢えてこの法案の成立にこだわることはしない」との点を確約した旨明らかにされている。
この点に関する記者団の質問に対しても、福田総理は、いろいろな話の中でそのようなことは出たが、具体的には政策協議次第であり、また、新テロ特措法案については一貫して成立を希望している旨述べ、明確な説明を避けている。7日の国会での質疑応答でも、同じような答弁に終始した。
インド洋での自衛隊の米国艦船などへの給油活動については、日本の補給船などの航海日誌が特定期間処分さていたり、給油がどのような活動に使われているかも実体上米国他の艦船任せの状況に近く、政府当局は十分把握していないように見える。効果についても、具体的なことについては軍事上の活動であり、公開していないとしつつ、「海上阻止行動」を通じ抑止的効果もあるとしている。他方、米国当局は、アフガニスタンにおける治安状況は悪化しており、国際テロ活動は拡大しているとしており、6年間の効果などについて説明が分かれているようにも見える。
与党系、保守系識者の中にも、インド洋での自衛隊の給油活動が日本のタンカーの海路の安全を確保しているなどとして、国益としている。そのような面はあるであろう。しかし、日本の貢献は、200億円強の小額であり、米国内でも「政治的意義」しかなく、実質的な軍事作戦上の意義は小さいとする見方もある。確かに、ブッシュ政権は、2008会計年度(07年10月~08年9月)のイラク、アフガニスタンでの軍事費として423億ドル(約4兆8千億円)を議会に追加提案しており、200億円強程度の日本の給油支援は、軍事的には小さな額でしかない。また、インド洋での米国艦船等の活動は、タンカーの安全確保などは副次的な効果でしかなく、「テロとの戦争」の一環としての軍事行動(「不朽の自由作戦」)であり、この点を曖昧にすべきではない。だからこそ給油活動は「良い案だ」とする声も無いではない。米国政府・国民、そして国際社会は、これをどの程度評価しているか問うて見る必要がある。また、日本として、現行憲法の曖昧な解釈を含めこれで良いのか、国際貢献として何処まで踏み込めるかなど、正面から問い、議論する必要があるのではなかろうか。
更に、日本の防衛活動について国民に正しい情報が開示されることが、新の文民統制(シビリアン・コントロール)の確保にとって不可欠なことだ。数値を誤ることなどは誰にでもあることであり、それ自体を云々するものではない。適切な情報を開示しない上、資料を隠したり、操作等するようなことがあれば、国民はその安全を安心して託せなくなる。それは、防衛当局に対する管理、監督の問題でもある。年金問題にしても、Ⅽ型肝炎被害問題にしても、各省庁の談合や各種の不祥事にしても、同様だ。
国民への責任ある説明が政権側からも必要なのであろう。大連合を両党だけで決めるのではなく、国民の審判を受けるのが先決ではないか。両党が、国民に対してきちんと政策を提示し、国民がその政策を基に政党を選ぶのが民主主義の原点だ。
同時に、それまでは、明年度予算を含め、国民生活に直結する事項については自民、民主の2大政党間の政策協議に努めるべきであろう。前政権時代に、衆参両院での多数を利して、教育基本法や国民投票法など、国民全体にとっての重要法案については、強行採決が多用されていたが、本来であれば政党を超えて協議する努力が望ましく、普段から、国民の利益に沿った国会運営が行なわれていることが望ましい。
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