待った無しの地球温暖化対策 -どこまで踏み込めるかG-8サミットー(その2)
3、必要とされる新しい生活スタイルと国家ビジョン
急速な温暖化と猛威を振るう異常気象への対応として温暖化ガス、炭酸ガスの削減のための目標や排出権取引などを設定することは不可欠であり、取り組み姿勢は評価される。しかし温暖化ガス、炭酸ガスの削減は産業側のみで実現出来るものではなく、生活スタイルや消費の方法などを含め、どのような国家、世界にして行くかという将来ビジョンが必要であろう。そうでないと目先の技術的な対応策となり、国民や産業には国、地方による「規制」と映るため、国民的理解を得られず効果的な対策が打ち出せない可能性がある。
気候変動枠組みに関連する京都議定書において、関係先進工業国は08年より12年までに温室効果ガス排出を1990年に比し6%削減しなくてはならない。しかし07年には逆に7%超の増加となっており、12年までに同年比14%以上削減しなくてはならない。この点で、6月25日、東京都議会で採択されたCO2削減条例は注目されるが、住民、産業の理解と協力が得られなければ規制色が強くなり、円滑、効果的な実施が困難になる恐れもある。
現在の大量生産・大量消費の生産・消費スタイル、高成長志向、24時間営業志向、一日中電光が必要なビルの構造など、膨大なエネルギー消費を前提とすれば今後もエネルギー消費は増加の一途を辿る可能性が強い。
将来においては、省エネ・省資源の生産体制、生産、消費の両面において適量生産・最適消費、再利用・リサイクルの徹底と産業化、低位ではあるが安定的な成長を基盤として、“高度科学技術立国”、“ゆとりのある質の高い社会”を目指すなど、新たな国家ビジョンが必要とされている。営業時間については自由とはするが、例えば原則1日16-20時間営業(それ以上については排出権獲得か超過税賦課など)とし、電車・地下鉄、船舶・フェリーなどの大量輸送手段の充実と電気・水素燃料などの非化石燃料車の開発、実用化を促進するなど、生活スタイルの転換とそれに対応した総合的な対策が必要であろう。一例ではあるが、外食産業においても、量を大、中、小に分けて注文出来るようにしたり、日常生活において自転車をもっと活用するなども効果があろう。また建物については採光を考慮した設計とし、屋根や屋上に太陽電池パネルを設置し、或いは太陽電池パネルの機能を持つ瓦や壁タイルを開発するなど、自然エネルギーを最大限に活用する技術とシステムを築いて行くことも効果があろう。原油高が代替エネルギーの開発を後押しする。国民、消費者の生活スタイルや消費パターンが変われば生産も転換して行こう。自分自身の、そして将来世代の唯一つの地球であり、一人一人の行動が地球の将来を決めることにもなる。
7月のサミットが世界に向けて新たなビジョンと決意を宣言することを期待したい。(08.07.) (Copy Right Reserved.)
3、必要とされる新しい生活スタイルと国家ビジョン
急速な温暖化と猛威を振るう異常気象への対応として温暖化ガス、炭酸ガスの削減のための目標や排出権取引などを設定することは不可欠であり、取り組み姿勢は評価される。しかし温暖化ガス、炭酸ガスの削減は産業側のみで実現出来るものではなく、生活スタイルや消費の方法などを含め、どのような国家、世界にして行くかという将来ビジョンが必要であろう。そうでないと目先の技術的な対応策となり、国民や産業には国、地方による「規制」と映るため、国民的理解を得られず効果的な対策が打ち出せない可能性がある。
気候変動枠組みに関連する京都議定書において、関係先進工業国は08年より12年までに温室効果ガス排出を1990年に比し6%削減しなくてはならない。しかし07年には逆に7%超の増加となっており、12年までに同年比14%以上削減しなくてはならない。この点で、6月25日、東京都議会で採択されたCO2削減条例は注目されるが、住民、産業の理解と協力が得られなければ規制色が強くなり、円滑、効果的な実施が困難になる恐れもある。
現在の大量生産・大量消費の生産・消費スタイル、高成長志向、24時間営業志向、一日中電光が必要なビルの構造など、膨大なエネルギー消費を前提とすれば今後もエネルギー消費は増加の一途を辿る可能性が強い。
将来においては、省エネ・省資源の生産体制、生産、消費の両面において適量生産・最適消費、再利用・リサイクルの徹底と産業化、低位ではあるが安定的な成長を基盤として、“高度科学技術立国”、“ゆとりのある質の高い社会”を目指すなど、新たな国家ビジョンが必要とされている。営業時間については自由とはするが、例えば原則1日16-20時間営業(それ以上については排出権獲得か超過税賦課など)とし、電車・地下鉄、船舶・フェリーなどの大量輸送手段の充実と電気・水素燃料などの非化石燃料車の開発、実用化を促進するなど、生活スタイルの転換とそれに対応した総合的な対策が必要であろう。一例ではあるが、外食産業においても、量を大、中、小に分けて注文出来るようにしたり、日常生活において自転車をもっと活用するなども効果があろう。また建物については採光を考慮した設計とし、屋根や屋上に太陽電池パネルを設置し、或いは太陽電池パネルの機能を持つ瓦や壁タイルを開発するなど、自然エネルギーを最大限に活用する技術とシステムを築いて行くことも効果があろう。原油高が代替エネルギーの開発を後押しする。国民、消費者の生活スタイルや消費パターンが変われば生産も転換して行こう。自分自身の、そして将来世代の唯一つの地球であり、一人一人の行動が地球の将来を決めることにもなる。
7月のサミットが世界に向けて新たなビジョンと決意を宣言することを期待したい。(08.07.) (Copy Right Reserved.)