内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

2011-03-24 | Weblog
被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

2011-03-24 | Weblog
被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

2011-03-24 | Weblog
被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

2011-03-24 | Weblog
被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

2011-03-24 | Weblog
被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

2011-03-24 | Weblog
被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

2011-03-24 | Weblog
被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

2011-03-24 | Weblog
被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

2011-03-24 | Weblog
被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!
 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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被災地救済・復旧に一つになろう、日本!

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 3月11日午後に発生した東日本大震災は、被災地の甚大な被害に加え、福島原発における一連の原子炉の冷却機能停止により放射線被害の可能性と電力供給不足が現実のものになってきており、影響が首都圏にまで及ぶ非常事態となっている。
 被災された皆様に心からのお見舞いをお伝えすると共に、現地で救済・救援活動を行われている自治体の皆様はじめ、政府、行政各部、関係団体、そして健康を掛けて努力されている東電社員、関係者の皆様の努力に感謝の意を表明したい。
 しかし今回の大災害を見ると、マグニチュード9.0という予想外の大規模地震とは言え、過去しばしば指摘、検討されて来たにも拘わらず、津波の備えを含め大規模災害への対策が十分ではなかったことが明らかになった。また原子力発電所については、大規模災害に伴う停電への備えや冷却システムの損傷への備えなど、いわば基本的な防災、危機対策が十分では無く、“クリーンで安全なエネルギー”という標語に疑問を抱かせる結果となった。
 また災害時の報道についても、テレビ放送が効果を発揮しているが、NHK他、主要民間テレビ5局が同じような情報を競うように連日深夜まで放送し、有用ではあるが重複が多く、役割分担、情報の共同使用など、緊急時の報道体制にも工夫が必要のようだ。また主要紙も連日大きく報道し、事実を伝える面では評価出来るが、一部保守系紙は「政権無策」など政権批判を行い、また「募る不安」など、それでなくても不安を持っている読者ににがにがしさと無用な不安を抱かせている場合がある。
 1、戦後最大の震災への救援・復旧に一つになろう
 今回の災害は三陸地方から福島、東日本に掛けて広範囲に亘り、津波による根こそぎ被害に加え福島原発における核燃料棒、使用済み燃料棒の溶解危機という深刻な事態となっている。その影響は、地震・津波被害へ救済・復旧と福島原発障害への対策、及び電力供給や公共交通の確保など、首都圏を含む経済、社会活動全般に及ぶもので、復興にはかなりの期間を要するものと予想される。
 このような超大規模災害の発生は、誰の責任でもなく、またその対応についてもシナリオがあるわけでもないので、多くの場合、場当たり的、芋づる式になることは避けられない。1995年1月の阪神淡路大震災においても、初動段階においては場当たり的であったと言われ、諸外国からの支援提供についても金は受け入れたが「人的応援」を固辞し世界のひんしゅくを買った。諸外国の支援は100カ国を越え、また著名人の応援も多く、この面では過去の経験が生きている。
 このような災害においては、官邸を中心とする関係閣僚、行政各部、被災地の地方公共団体、及び原発を運営する電力会社を中心として、関係者がそれぞれの英知と責任感を発揮して、小異を捨てて一丸となって対応するしかない。
 一方現政権は“官僚をうまく使っていない”との紋切り型の批判をされており、肌合いの問題があるのでそのようなことはあろうが、公務員は国家、国民のために奉仕し、行政を届けるために居るのであろうから、政権はどうあれ、被災した地域、住民の救済・復興のために必要なこと、出来ることを行政各部が取りまとめ大臣に上げ、各大臣は省庁の権限に縛られず、官邸と協議し、必要な省庁間の協力関係を構築し、出来ることから実施して行くことが望まれる。鍵は、関係省庁の調整と官邸、閣僚の責任ある指示である。
 菅首相が、野党自民党の谷垣総裁の副首相兼災害担当相としての入閣を要請し、自民党側が拒否した。政治的な思惑が絡んだ大連立と見られたのであろうが、大連立についてはそれぞれの判断があろう。しかしそれは別次元の問題として検討されるべきものであり、福島原発問題を含む災害対策については、少なくてもここ2、3ヶ月の間は党利党略や政局がらみの思惑を排し、「超党派の体制」を構築すべきであろう。例えば、首相の下に「超党派災害対策本部」(仮称)を設け、救済・復旧策を検討し、実施して行く体制を発足させることが望ましい。恐らく国民もそれを望んでおり、世界もそれを評価するであろう。
 今回の大災害を招いた防災制度は、自・公政権の時代に築かれたものであるので、災害対策においても一定の責任があるのではなかろうか。
 2、不十分だった防災対策
 三陸沖の地震がマグニチュード9.0という戦後最大規模のものであり、マグニチュード7~8程度を想定していた防災対策は、防波堤などのハードの面でも、また避難警報や避難方法などのソフトの面でも不十分であったことが明らかになった。三陸沖の地震や津波の危険性については、従来あれだけ頻繁に取り上げられ、多額の予算を投じて対策が採られて来た。しかし死者・不明者を含め2万人以上の被害を出し、多くの町村が瓦礫と化した。防災のあり方の再検討が迫られている。自然の驚異が人間の想定を上回ったということであり、過去の対策の不十分さを批判をしても何の成果も生まないが、野党側も謙虚に過去の施策を再評価し、より安全な社会作りに協力すべきであろう。
 また市町村の復興においては、中長期の安全性を考えた新たな市街地の場所を選定することが望ましく、先祖代々の土地への愛着は愛着として何時でも訪問出来るような形としつつも、より安全で受け入れ可能な場所への移転も選択肢として検討し、その上で計画的に復興を推進して行くことが望ましい。
 3、脆弱だった原子力発電所の安全対策
 従来“クリーンで安全なエネルギー”と言われ、地球温暖化対策の切り札の一つとされて来た原子力発電所が基礎的な脆弱性を露呈した。原子炉には燃料棒と使用済み燃料棒を水で冷却する装置があるが、大規模地震により停電となり、モーターが止まり冷却装置が作動しなくなった。それをバックアップする自家発電装置が津波によりこれも作動しなくなったためだ。大規模地震などの自然災害で停電になるのも、また海沿いにある施設であるので津波被害が出ることもいわば基礎的なことであろう。高度な技術設備でありながら、基礎的な安全対策が不十分であったと言えよう。
 また原子炉の構造に置いても、使用済み燃料棒を冷却するプールが原子炉本体の上部に隣接する形で設置されており、一方に障害が出ると他方にも重大な影響を与える構造となっている。使用済み燃料棒の冷却・保管には便利であろうが、安全上に問題があることは明らかであり、再検討が不可欠であろう。
 放射線漏れの事故が起きた場合の備えについても、作業員の放射線防護服や防護車・防護盾、防護マスク・酸素マスク、自動消火装置や無人消火装置・ロボットなどの基本的な備えがないのも驚きである。
 今回の事故で6基ある原子炉の内既に3基は冷却水として海水を注入しており、廃炉が避けられない。原子炉1基の建設費は数千億円掛かるので、原子力発電は結果として高コストとなる。
 今後のエネルギー政策と途上国への原子力発電所建設援助のあり方が再検討を迫られることになりそうだ。
 4、自衛隊の災害時の対応
 自衛隊は日本各地に駐屯基地を持っているが、今回航空自衛隊の松島基地も津波被害を受けた。滑走路などの施設はもとより、F2戦闘ジェット機(1機約122億円)18機の他、救難ヘリ(1機約47億円)4機を含む28機が津波で被害を受けた。
2千億円を越える被害もさることながら、他国からの攻撃や災害時の救難に備えていなくてはならない自衛隊が、津波で戦闘ジェット機や救難ヘリを失うのでは任務は果たせない。地震、津波情報など緊急事態の情報にも常に注意し、航空機等を事前に安全な貴地に移動させ、迅速な任務に備えるべきであろう。
 一方、多くの自衛隊員が被災地に入り救助や復旧に大きな力を発揮し、また危険を犯し福島原発事故に対応している。自衛隊がどのような緊急事態にも即応できる自衛隊として進化し、国民から信頼され、頼りにされるようになることを期待したい。
5、望まれる報道各社間の役割分担と連携
 巨大地震と津波発生以来、各紙、各テレビ局等がほぼ1週間に亘り昼夜被災状況と政府の対応等を報道した。それぞれ有用ではあったが、被災状況や政府や東京電力の対応などにつき重複が多く、また解説も各局が異なる専門家、識者ではあるが同じようなことを繰り返している。各メデイアの独自性と言えばそうであるが、緊急時の人手の必要な時期だけに重複を無くし、その余力を生存者の確認や不明者の捜索、物資の救援活動などに生かせないものだろうか。民放各社や主要紙が大規模災害臨時合同報道センター(仮称)を適当な場所に設置し、役割分担を行い、情報や映像を共同使用などして取材等における重複を避けられないものだろうか。そしてその余力を被災地域の安否確認や救援活動などに振り向ければ効果的であろう。

 今必要なことは、出来るだけ速やかな被災地の救援、復旧であり、それを各分野、各層が事態がある程度落ち着くまで、小異を捨て一つになって対応することが望まれる。(03.2011) (All Rights Reserved.)(不許無断引用)
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