内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

WION TV主催Global Summit 2022への参加

2022-06-30 | Weblog

WION TV主催Global Summit 2022への参加

 2022年5月16日にドバイで開催された“平和”をテーマとするGlobal Summit に、主催者WION TVよりパネラーとして招待され参加た。本グローバル・サミットには、米国から国土安全保障省リュート元次官他が、欧州からはアイルランド、ベラルーシからは元大臣、エストニアから同国議会外交委員長など、途上国からはアフカニスタン、ジンバブエ他が参加し、ウクライナ等からオンライン参加。

 1、冒頭、チョードリーWION TV代表より、“持続可能な平和”をメイン・テーマとして5年目となるグローバル・サミットの趣旨が説明された後、シャヒッド国連総会議長とアフマデイネジャド元イラン大統領がビデオメッセージを寄せた。シャヒッド総会議長よりは、ロシアのウクライナ侵攻という事態が生じたが、安保理における拒否権行使により機能しなくなったものの、拒否権行使の場合は総会にその理由を説明することとされたことは初めてのことであり、今後改革を進めたいなど、国連が直面する問題が報告された。またアフマデイネジャド元大統領からは、米国の価値観とルールの強要により経済制裁が課され、一方的であるなど、従来の主張が繰り返された。インドなど、アジアからの参加者の中には、米国が力を背景に価値観やルールを世界に押しつけてはいないかとの感情やロシアのウクライナ侵攻についても、支持はしないものの、米国を中心とするNATOが東西冷戦後急速に東方拡大し、緊張を作り出しているのではないかとの疑問も散見された。

 2、次いで討論セッシオンに移り、1)武力紛争に休戦の旗を、2)迫り来る細菌兵器の脅威、3)貿易戦争:長期の勝者はいない、及び4)デジタル・ウオー:世界のウエッブ安全保障のためには の4セッションが順次行われた。対面で参加した各国の発言者が各セッションに分かれ、WION TVの編集長他が司会を務める形で進められた。

 第2セッション‘迫り来る細菌兵器の脅威’で発言したところ、その模様は次のサイト(YouTube)でご覧頂けます。

WION Global Summit 2022: Covid-19 pandemic highlighted threat of biological weapons - World News (wionews.com)

また会合全体をご覧になりたい方は、wion global summit 2022を検索下さい。

 なお、WION TVは、ニューデリーを拠点とする英語TV局で、世界各国で取材、配信を行っているので、欧米のニュースが世界各国にネットワークを広げ、国際世論に影響を与えている今日、アジアの目で世界各国に情報発信するネットワークとして注目される。5月24日のクアッド(Quad)首脳会議、及びそれに伴うモデイ首相の訪日の模様もWION TVのアンカーが訪日取材し、インドのみならず世界各国に配信している。

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Ukraine and Russia should agree on a neutrality of Ukraine with immediate truce !

2022-06-30 | Weblog

Ukraine and Russia should agree on a neutrality of Ukraine with immediate truce !

 While admiring the courage of Ukrainian people to stand against Russian troops, it seems to be imperative for Ukraine and Russia together with France, Germany, and the United States to start negotiating over a neutrality of Ukraine at the top level to avoid further death tolls and damages in Ukraine and avert a total war in Europe.

Neutrality of Ukraine is a commendable solution to avert a total war in Europe

 Russian President V. Putin demands a “Neutrality of Ukraine”, furiously opposing Ukraine’s request for a NATO membership. President Putin does not ask for a pro-Russian Ukraine. In the light of the Ukraine historical and geopolitical position as a former core country of the Soviet Union and a neighboring country of Russia, a neutrality of Ukraine, which will not join the NATO group nor the Russian camp, could be a practical alternative for the Ukrainian people as well as European countries and Russia.

 Under the circumstances, most countries in the World cannot tolerate the Russian military invasion in Ukraine and its occupation if so happened. On the other hand, if Ukraine would become a member of NATO, Russia could not tolerate either. In either case, severe feud and hatred will persist for a long time between Ukraine and Russia, and between NATO Europe and Russia. Ukrainian people will be always uneasy and feared with a sudden attack.

 Although the security of Ukraine must be guaranteed jointly by Russia and NATO in an agreed way, it seems that President Putin’s demand for neutral Ukraine is realistically calculated to balance the security requirement of each party, namely, Russia, Ukraine, and NATO.

Initiatives of U.S., France, and Germany are welcome for a top-level meeting with Russia and Ukraine with an immediate cease-fire.

 It is President V. Putin who strongly opposed to Ukrainian President’s intention to become a NATO member and ordered to invade in Ukraine asking for its neutrality on top of his demands. Therefore, it is President Putin who could stop fighting and order to withdraw Russian troops from Ukraine.

  And it is Ukrainian President V. Zelenskyy who could avoid further deaths of his fellow Ukrainians and decide the fate of his country as a neutral country withdrawing a NATO membership bit.

 Russia is blamed for its military attacks in Ukraine, and President Putin as well as Russia itself faces severe economic and financial sanctions together with personal punishment. At the same time, Ukrainian President Zelenskyy may be blamed for his inability to materialize the Minsk Protocol of 5th September, 2014, in particular, the “local self-government” issue of two eastern districts, namely, Donetsk and Luhansk and the observation of no armed campain against the two districts, by the time of its expiry date which was 21st February, 2022. Russia started its military operations on 24th February, 2022, about one month after the expiry of the Protocol. President Zelenskyy must have known the expiry of the Protocol, after which there would be a recurrence of armed conflicts so that he would risk lives of Ukrainian nationals. At the moment, he has no clear prospect for winning, but waiting for a total attack in Kiev by Russian troops.

 It is Imperative to avoid further death toll in Ukraine, while averting a war in Europe.

 To facilitate a meeting between President Zelenskyy and President Putin, it would be necessary for three leaders of U.S., France and Germany to ask both Presidents to meet with a view to realizing a truce immediately to be followed by a withdrawal of the Russian troops from Ukraine, and also working out a neutrality of Ukraine. Nobody else could this but the tree leaders above who are able to talk with both President Zelenskyy and President Putin. Time is really pressing. Prompt initiatives are needed before it’s too late. (2022.3.12.) (All Rights reserved.)

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地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか <その2 再掲 >

2022-06-30 | Weblog

地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか <その2 再掲 >
 2015年3月14日から18日まで、第3回国連防災世界会議が仙台で開催された。東北大地震・大津波から5年目を迎えるこの時期に、大震災の経験と教訓をこの地から世界へ伝え、対応を考えることは大変意義があったと言えよう。他方、折しも南太平洋のバヌアツを大型サイクロン「パム」が襲い大きな被害を出していたが、根本的な原因の一つである荒れる気候変動、温暖化への対応については、途上国側は先進工業国の責任を強調し、国際的な対応を主張する先進工業国と対立し、抜本的な対応については平行線のままで終わった。しかしその間にも海水温は上がり、海流は変化し、地球の気候は悪化している。地殻変動は止められず、被害を防ぐしかないが、気候の劣化については世界が協力すれば止められる。気候の劣化に大きく影響する海や海流の温度や流れは、温度差に敏感な漁業資源にも影響する。何時までも平行線の議論をしている時ではなく、世界が具体的に行動する時期ではないのだろうか。世界のリーダーがこの問題に真剣に向き合うべき時のようだ。
 国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は、横浜で地球温暖化の影響を検討し、2014年3月31日、報告書を取りまとめた。その中で「全ての大陸と海洋で、温暖化の重要な影響が観測されている」との認識の下で、“北極海の海氷や世界各地域における珊瑚礁は後戻り困難な影響を既に受けている”などとして生態系や人間社会への影響を指摘している。そして温暖化が進むリスクとして、世界的な気温の上昇、干ばつなどによる食糧生産の減少、大都市部での洪水、異常気象によるインフラ機能の停止などを盛り込んでいる。当コラムも、北極海の海氷の融解と縮小ブログでもこのような状況を2008年頃から指摘して来ているが、それが国際的に理解され始めたと言えよう。
日本の地球温暖化への取り組みについては、環境省は、日本の温室効果ガスの削減目標を2020年度までに2005年度比で3.8%減とする方針である。温室効果ガスの削減目標については、民主党政権が2020年度までに“1990年度比で25%削減”との目標を提示し、国連総会でも表明している。環境省の上記の目標は、基準年を2005年としているが、1990年度比で換算すると逆に約3%増となるとされており、後退感が否めない。政府当局は、‘原子力発電が再稼働されれば高い目標に修正する’としている趣であるが、果たして原子力発電頼みで良いのであろうか。
1、意見が分かれる地球温暖化の原因       <その1で掲載>
2、荒れる世界の気候 <その1で掲載>
3、国際的な保護を必要とする北極圏と南極大陸 <その1で掲載>
4、必要とされる政府レベルの対応と生活スタイルの転換
それ以上に、地球温暖化の進行や気候変動の激化を食い止め、地球環境を保護、改善する必要性に今一度目を向けることが緊要ではないだろうか。それはこの地球自体を人類共通の遺産として保全することを意味する。
地球環境は、政府に委ねておけば良いというものではなく、家庭や産業自体が工夫、努力しなくては改善できない。比喩的に言うと、家庭で使用する電球を10個から7個にすれば日常生活にそれほど不自由することなく節電できる。企業やオフィスビルなどについても同様で、節電を図ればコスト削減にもなり、企業利益にもプラスとなる。レジ袋や必要以上の過剰な食物などを少なくして行けば生産に要するエネルギーの節約となる。また日本が環境技術先進国と言うのであれば、自然エネルギーの組織的な開発、活用や節エネ技術の更なる開発などで温室効果ガスの削減にそれぞれの立場から努力、貢献することが出来るのではないだろうか。またそのような努力から、地球環境にもプラスとなる生活スタイルやビジネスチャンスが生まれることが期待される。
しかし、政府や産業レベルでの対応は不可欠であろう。経済成長についても、温室効果ガスの減少を目標とし、再生可能エネルギーに重点を当てた成長モデルを構築する事が望まれる。原子力発電については、段階的に廃止することを明確にすると共に、再稼働に関しては、施設の安全性を確保する一方、各種の膨大な原子力廃棄物の最終的な処理方法を確立することがまず必要であろう。
 その上でリーダーシップが期待されるのは、環境問題に関心が強い欧州諸国であるが、温暖化ガス排出量が世界の1位、2位を占める中国と米国の積極的な姿勢と取り組みが不可欠である。特に2期目を目指すトランプ米大統領が、地球環境問題について具体的な取り組み姿勢を示すべきと言えよう。


5、途上国開発援助の在り方の抜本的見直しの必要性
また途上国援助においても、従来型の重厚長大なインフラ開発・整備ではなく、再生可能エネルギーを使用するなど、温室効果ガスの排出が少ない経済社会の構築を目標とする開発モデルや政府開発援助(ODA)モデルとして行くことが望まれる。
国連自体も、経済社会理事会を中心として、アフリカ諸国の安定を含め必ずしも成功とは言えない「開発の10年」の見直しなど、途上国援助の在り方を抜本的に見直すと共の、世界食糧計画や難民高等弁務官など各種の専門機関を通じて相対的に潤沢に行われて来た人道援助や食糧援助についても、人口抑制の側面を含め抜本的、総合的に再検討する必要がありそうだ。そもそも援助する側もこれまでの高成長の維持は困難であり、経済的体力が低下しているので、これまでのような援助を継続して行くことは困難であろう。それに加え、温暖化問題への対応が必要となるので、国際的な調整が必要になっている。
各国ごとの援助姿勢についても、現在中国が、アジアインフラ投資銀行(AIIB)が設立され、中国主導の「一帯一路」政策が推進される体制が整った。それが途上国における従来型の長大重工型、大量のエネルギー消費型のインフラ建設に投資されていくとすると地球環境の悪化に繋がることになるので、温室効果ガスの減少につながる環境改善インフラへの投資促進となることが望ましい。「一帯一路」政策もその在り方が再検討される必要があろう。中国自体も、これまでのような高成長、高エネルギー消費の経済成長を継続すれば、いずれ住めない大陸となる恐れもある。(2014.3.31./15.4.3.改定/19. 6.12.再改定)(All Rights Reserved.)

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地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか <その1 再掲>

2022-06-30 | Weblog

地球温暖化ー融ける氷海、氷河と荒れる気候変動は止められるか <その1 再掲>
 2015年3月14日から18日まで、第3回国連防災世界会議が仙台で開催された。東北大地震・大津波から5年目を迎えるこの時期に、大震災の経験と教訓をこの地から世界へ伝え、対応を考えることは大変意義があったと言えよう。他方、折しも南太平洋のバヌアツを大型サイクロン「パム」が襲い大きな被害を出していたが、根本的な原因の一つである荒れる気候変動、温暖化への対応については、途上国側は先進工業国の責任を強調し、国際的な対応を主張する先進工業国と対立し、抜本的な対応については平行線のままで終わった。しかしその間にも海水温は上がり、海流は変化し、地球の気候は悪化している。地殻変動は止められず、被害を防ぐしかないが、気候の劣化については世界が協力すれば止められる。気候の劣化に大きく影響する海や海流の温度や流れは、温度差に敏感な漁業資源にも影響する。何時までも平行線の議論をしている時ではなく、世界が具体的に行動する時期ではないのだろうか。世界のリーダーがこの問題に真剣に向き合うべき時のようだ。
 国連の「気象変動に関する政府間パネル(IPCC)」の第2作業部会は、横浜で地球温暖化の影響を検討し、2014年3月31日、報告書を取りまとめた。その中で「全ての大陸と海洋で、温暖化の重要な影響が観測されている」との認識の下で、“北極海の海氷や世界各地域における珊瑚礁は後戻り困難な影響を既に受けている”などとして生態系や人間社会への影響を指摘している。そして温暖化が進むリスクとして、世界的な気温の上昇、干ばつなどによる食糧生産の減少、大都市部での洪水、異常気象によるインフラ機能の停止などを盛り込んでいる。当コラムも、北極海の海氷の融解と縮小ブログでもこのような状況を2008年頃から指摘して来ているが、それが国際的に理解され始めたと言えよう。
日本の地球温暖化への取り組みについては、環境省は、日本の温室効果ガスの削減目標を2020年度までに2005年度比で3.8%減とする方針である。温室効果ガスの削減目標については、民主党政権が2020年度までに“1990年度比で25%削減”との目標を提示し、国連総会でも表明している。環境省の上記の目標は、基準年を2005年としているが、1990年度比で換算すると逆に約3%増となるとされており、後退感が否めない。政府当局は、‘原子力発電が再稼働されれば高い目標に修正する’としている趣であるが、果たして原子力発電頼みで良いのであろうか。
1、意見が分かれる地球温暖化の原因
温暖化の速度、原因などについては議論が分かれている。スイスを本拠とする民間団体「世界自然保護基金」(WWF)は、2013年から40年までに、北極圏の氷は夏期には全て消えるとの報告を出している。国連の「気候変動に関する政府間パネル」が出した07年の第4次評価報告書でも、“ヒマラヤの氷河は2035年までに解けてなくなる可能性が強い”と指摘している。同グループはゴア米元副大統領と共にノーベル賞を受賞したが、氷河学者からは300mもの厚さの氷河がそんなに早くは融けないとの疑問が呈され、同グループがそれを認めるなど、信憑性が疑われている。地球がミニ氷河期に入っているとの説もある。
 
 2、荒れる世界の気候
どの説を取るかは別として、着実に進んでいる事実がある。北極海の氷原が夏期に融けて縮小していることだ。衛星写真でも、08年においては6月末頃までは陸地まで氷海で覆われていたが、8月20日頃前後から氷海は陸地を離れ、海路が開け、砕氷船を使用すれば年間5ヶ月内外は航行可能となる。その期間は毎年伸びている。8月中旬には2-3週間程度砕氷船無しでも航行可能のようだ。6、7年前には、氷海が最も小さくなる8月下旬でも氷海は陸まで張り出ていた。また南極大陸などでは氷原がとけ、南極海に流れ出し海洋の水位を上げている。
これは今起きている現実である。短期的には夏の一定期間航行が可能になり、商業航路や観光、北極圏開発のビジネスチャンスが広がる。
 他方それは温暖化への警告でもある。北極の氷海縮小は、気流や海流による冷却効果を失わせ、地球温暖化を早め、海流や気流が激変し気候変動を激化させる恐れがある。氷海が融ければ白熊や微生物などの希少生物も死滅して行く。取り戻すことは出来ない。北極圏の環境悪化は、米、露など沿岸5か国のみの問題では無く、この地球の運命にも影響を与えている。
 現在、日本はもとより世界各地で気流や海流の動きや温度がこれまでのパターンでは予測できない荒々しい動きを示しており、局地的な豪雨や突風・竜巻、日照りや干ばつ、豪雪や吹雪などにより従来の想定を越えた被害を出している。それが世界各地で今起こっている。地球環境は、近年経験したことがない局面に入っていると言えよう。
 
3、国際的な保護を必要とする北極圏と南極大陸
同時に忘れてはならないのは、反対側の南極大陸でも氷河、氷原が急速に融けているという事実だ。またヒマラヤやアルプス、キリマンジェロ等の氷河も融け、後退しているので、これらの相乗効果を考慮しなくてはならない。
 北極圏も南極同様、人類の共通の資産と位置付け、大陸棚の領有権や「線引き」の凍結や北極圏の一定の範囲を世界遺産に指定するなど、国際的な保護が必要だ。
 
4、必要とされる政府レベルの対応と生活スタイルの転換  <その2 に掲載>
 
5、途上国開発援助の在り方の抜本的見直しの必要性    <その2 に掲載>

(2014.3.31./15.4.3.改定/19. 6.12.再改定)(All Rights Reserved.)

 

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北朝鮮は休戦状態の朝鮮戦争終結宣言を望まず?

2022-06-30 | Weblog

北朝鮮は休戦状態の朝鮮戦争終結宣言を望まず?

 北朝鮮(DPRK)は2022年に入り、1月5日(日本時間)に巡航ミサイルの発射実験を皮切りに、同月11日弾道ミサイル(極超音速ミサイルと公表)、14日弾道ミサイル、25日巡航ミサイル、及び27日短距離弾道ミサイルの発射(各2発)を行った。更に30日、中距離ミサイルとみられる発射実験(1発)を行い、ミサイル発射実験・訓練の実施をエスカレートさせている。30日の中距離ミサイルの発射実験は、2017年11月以来のものである。

 いずれも東方向に発射され日本の排他的経済水域(EEZ)の外側(公海上乃至北朝鮮、ロシア沖の水域)に落下したものと見られている。日本への直接の影響を避け、また長距離弾道ミサイルではなく、短・中距離ミサイルの発射実験であり、一定の抑制的配慮をしているものと見られる。従って日本については、それをわきまえた対応が望ましい。

しかし今回の一連のミサイル発射は「発射実験」と言うよりは「実戦配備」を前提とした周到な「ミサイル発射訓練」とも言えるものもあり、朝鮮半島を中心とする北東アジアの安全保障情勢に現実的な影響を与え、緊張を煽ると共に、国連安全保障理事会の累次の決議に反するものであるので、自制を求めたい。

 1、北朝鮮は「朝鮮戦争終結宣言」を望んでいない?!

 (1)膠着状態の北朝鮮の非核化交渉

 北朝鮮の非核化については、米国のトランプ前大統領の下で劇的な進展が期待された。しかし、2019年2月27、28日にハノイで行われた米朝首脳会談において、米国側は核施設の廃棄・査察と大陸間弾道ミサイル(ICBM)などミサイルの撤去を求め、朝鮮戦争の終結を視野に入れた全面的解決を意図していた。これに対し北朝鮮側は、一部核施設の廃棄の見返りとして国連安保理決議による経済制裁の解除、特に民生用、民需用物資への制裁解除((安保理決議2270号、2375号など5決議関連)を求め、段階的な対応を期待していた。しかし両者間の溝は埋まらず、「取り引き無し」(‘ノーデイール’)で終わり、休戦状態の終了、朝鮮戦争終結の期待も遠のき、非核化交渉は膠着状態となった。

 (2)北朝鮮は休戦状態にある朝鮮戦争の終結を望んでいない!?

2021年1月に発足したバイデン政権は、「前提条件無しの会合」を呼びかけているが、北朝鮮側は応じていない。

 このような中で、韓国の文 在寅(ムン・ジェイン)大統領は2021年9月の国連総会において、北朝鮮、米国、中国に対し韓国と共に「戦争終結宣言」に向けて措置をとることを呼びかけた。同大統領は、2022年5月の大統領任期満了までに南北間の平和プロセスの再活性化と“実質的進展”を希望するとした。

 これを受けて韓国と米国の外交当局が宣言案につき協議し、2021年12月11、12日に英国で開催されたG7外相・開発相会議に際し、鄭義溶(チョン・ウィヨン)韓国外交部長官とブリンケン国務長官との間で「朝鮮戦争終結に関する宣言案」に原則として合意した。

 本来、朝鮮戦争終結のためには、相互に敵対行為を行わないこと、境界の確定と経過措置としての緩衝地帯の設置、国連監視団駐留、北朝鮮の核兵器・ミサイルの撤去と駐留米軍の撤退、相互査察、南北交流の条件など詳細な取り決めが必要になる。しかし今回米・韓両国で原則合意された宣言案は、未だに休戦状態にある南・北間の敵対関係を終了させ、正式に朝鮮戦争を終結させ、和平のための対話を図るというシンボリックな宣言と見られる。

 この文韓国大統領の呼びかけに北朝鮮は応じておらず、「宣言案」起草作業にも参加していない。北朝鮮の金与正国務委員(キム・ヨジョン、金正恩総書記の妹)は、9月に韓国大統領の「戦争終結宣言」提案を受けて、「前提条件が整えば、対面で会い、重要な“戦争終結”を宣言することも可能だろう。そうでなければ、“戦争終結宣言”は紙切れに過ぎない。」と論評している。

 他方バイデン政権は、「前提条件を付さず、何処でも何時でも北朝鮮と会う用意がある。」旨繰り返し述べており、北朝鮮側にもその趣旨は届いているであろう。一般的には、「前提条件無しの対話」はオープンな呼びかけとして好意的に受け止められる。しかし「前提条件」が現在の、と言うよりトランプ大統領時代のハノイでの「取り引き無し」以来の米・朝関係のキーワードである。北朝鮮は、経済制裁の一部解除、特に石油を含む民生用物資への制裁解除が交渉継続の「前提条件」としている。米国が「前提条件」を付さず外交的対話に応じると表明しても、取引には応じないとの意図と受け取られてしまう。

 北京で2022年2月に開催されているオリンピックには、北朝鮮は参加しないことを中国側に正式に伝えている(2022年1月7日)。いずれにしても北朝鮮は、2021年7月から9月に開催された東京オリンピック・パラリンピックに参加しなかったため、国際オリンピック委員会(IOC)により北朝鮮オリンピック委員会の資格が1年間停止する懲戒措置(2021年9月)が課されているので、今回の北京冬期オリンピックにはいずれにしても参加出来ない。北朝鮮が中国側に不参加の正式通報したのは、中国側の面子を潰すことなく金正恩総書記を含む代表団がオリンピック期間中に訪中しないことを示唆するためであったのであろう。同時に、これにより北京における南北首脳会談の機会は消え、「戦争終結宣言」も拒否されたものと見られる。

 米・韓によりまとめられた「戦争終結宣言」は、シンボリックな宣言であっても、朝鮮半島の和平と非核化の出発点として重要な宣言と言えよう。現在の「休戦状態」が継続する限り、敵対関係は継続し、相互に挑発や核兵器やミサイル開発を含む軍拡競争は続けられることになろう。北朝鮮にとっては、「休戦状態」の継続は軍部を含む政権にとって国内引き締め、団結を維持するための都合の良い状態と言える。「戦争終結宣言」は敵対関係から和平に転換する契機となると共に、それが無ければ何時までも敵対関係に呪縛されたままになる恐れがある。

 1月に入ってからの一連のミサイル発射実験・訓練は「戦争終結宣言」を当面望んでいないとのサインと受け取れる。核、ミサイルの排除を巡る北朝鮮との関係は、新たな局面に入っていると理解すべきなのであろう。交渉再開への門戸を開き、外交努力を継続する一方、国連の場で経済制裁の強化、拡大し、それに向けての国際世論の醸成と支持国の一層の拡大努力が必要となっているのではないだろうか。また韓国には戦域高度防衛ミサイル(THAAD)が配備されているが(2017年)、圧倒的な防衛網の整備が急務と言えよう。

 

 

 

 2、北朝鮮労働党にとって「特別に重要な年」に誇示したい軍事力

 北朝鮮は、2022年には、2月16日に故金正日(キム・ジョンイル)総書記の生誕80年、そして4月15日に故金日成(キム・イルソン)主席の生誕110年を迎え、「革命的大慶事の年」として輝かせるとしている。

 この「大慶事」に際し、今日の北朝鮮の基礎を築いた祖先の意志を継ぎ、国力を増進させたことを内外に誇示するため、長・中距離弾道ミサイルや短距離戦術兵器を含む軍事パレードを行うと見られる。1月の一連のミサイル発射実験・訓練はその前哨戦と言えそうだ。

 3、慣例となっている米韓合同軍事訓練への北の恒例の激しい反発

 米韓合同軍事訓練は、毎年春と夏に行われるのが慣例になっており、米国が未だに指揮権を持っているので軍事的には必要であろう。2019年6月30日にトランプ米大統領(当時)が板門店を訪問し、軍事境界線を挟んで北朝鮮の金正恩委員長と握手し、挨拶を交わし、北朝鮮の非核化を巡る米・朝交渉への期待感が高まって以降は、平和ムード造りのため米韓合同軍事訓練は中止或いは抑制された形で実施され、また北朝鮮は核爆発実験や大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験が中断するなど、相互に行動を抑制していた。

 米韓合同軍事訓練は2021年には3月と8月に実施されているが、2022年3月に実施することで米韓安保協議(SCM)において合意されており、‘演習日程に変更はない’とされている。

 北朝鮮は従来より、米韓合同軍事訓練が実施される毎に激しい批判を繰り返しており、国内的にも、TVや労働党機関紙その他で米国、及び韓国による北朝鮮侵略の準備であり、北朝鮮はそのような攻撃があれば南を焦土とするなどとして、過剰とも思える激しい反応をして来ている。

 北朝鮮にとっては、隣接する韓国で米韓合同軍事訓練が行われることは、米韓両国の敵対的姿勢として国民に訴え、戦争ムードを演出し、国内引き締めのために格好の材料になっている。恐らく今回も同様の反応をするものと予想される。

 北朝鮮のミサイル等の発射実験や訓練は、米韓合同軍事訓練への対抗として実施するという口実を北朝鮮側に与えているとも言える。米韓軍事訓練については、米国が未だに指揮権を有しているので必要であろうが、頻度や期間を縮小することや、机上訓練や訓練場所を北朝鮮から可能な限り遠い場所で行うなど、刺激しない形で実施することも現実的な選択肢となろう。(2022.2.11.)

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首都東京、生かされていない東日本大震災の教訓!

2022-06-30 | Weblog

首都東京、生かされていない東日本大震災の教訓!

 2021年3月11日、東日本大地震・津波災害から10年を迎えた。東京電力福島原発事故への対応を含め、政府関連予算は2020年度までの10年間で約38兆円にのぼり、また日本各地からの応援や寄付等を受け、地元の人々により懸命に復興活動がなされた結果、地区差があるものの、復興はかなりの進展を見せている。地元の方々や支援活動をされた各方面の方々のご苦労に心から感謝し、称えたい。またこの災害により、命を失った方15,899人、行方不明者2,528人となっており、心からのご冥福と行方不明者が1日も早く家族の元に返ることをお祈りしたい。

 復興は進んでいるものの、10年経っても42,685人が避難者にのぼり、当時の巨大地震と津波、そして福島原発の炉心メルトダウンなどの状況を振り返ると、改めてその被害の甚大さを痛感する。

 政府の関連行事やメデイアの報道は、どうしても追悼と被災地の復興活動の継続に焦点が当てられる。しかし大震災は、東日本だけでなく、関東でも首都直下地震や東海、近畿、四国地方では南海トラフ地震による被害が今後30年前後に発生する可能性が高いと伝えられている。日本列島を巻き込む大災害は、その他火山の噴火や異常気象による大洪水などの恐れがあるので、東日本の復興継続と共に、その他の地域、特に諸機能が集中し、人口密度の高い首都東京の震災への備えがこれで良いのかに注目しなくてはならない。

 1、教訓が未だ活かされていない首都東京

 東京を中心とする首都圏については、東日本大地震の教訓を受けて、道路・歩道の渋滞、帰宅難民などへの対策として、一時避難所や備蓄、耐震補強のほか、緊急対応のための道路規制、ハザード・マップの作成など、一定の対応が行われている。しかしこれらの措置は、多くの努力を要しているものの、東日本大地震規模の巨大災害にはほとんど無力とも予想される。

 東京には、1,300万の人々が生活し、近隣から数百万の人々が東京に往来している。また日本経済の中枢部門をはじめ、学校、文化・スポーツなど多くの民間機能が集中している。更に、国会、裁判所の中枢機能に加え、緊急時には東京都などと共にその対応に当たるべき全ての中央官庁が集中している。また国民統合の象徴として皇居があり、その安全を確保しなくてはならない。

 大災害が発生した際には、行政はこれら全ての安全を確保するために膨大な救援、救出活動を集中的、同時並行的にしなくてはならない。シュミレーションなどするまでもなく、とても手が回らないと予想される。何かを守り、何かを座視するしかない。相手は、「経験したことがない大災害」であるので、旧来の常識や既成概念では対応し切れないことを、福島原発事故を含む東日本大災害から学ぶべきであろう。

 政府による『東京一極集中解消』2020年目標は断念された。ある意味で東日本大地震の教訓の風化の象徴とも言えないだろうか。

 2、政府委員会が大規模災害に警鐘

 2014年、政府の地震調査委員会は首都直下地震が「今後30年で70%」との予測を公表している。その後この予測は繰り返し述べられる毎に発生確率は高くなっており、首都直下地震はもはや過去のものや遠い将来のものではなく、今生活している国民の生涯において起こりうる現実となっていることを示している。

 首都圏を中心としたマグニチュード7相当以上の過去の地震は、1703年の「元禄関東地震」(M8.28)と1923年の「関東大震災(大正関東地震)」(M7.9)を挟んで次のように発生している。

1703年12月   「元禄関東地震」(M8.28)

1855年11月 安政江戸地震      (M6.9)

1894年 6月 明治東京地震       (M7.0)

同年10月   東京湾付近の地震   (M6.7)

1895年 1 月茨城県南部の地震   (M7.2)

1921年12月茨城県南部の地震   (M7.0)

1922年 4月 浦賀水道付近の地震(M6.8)

1923年9月  「関東大震災」  (M7.9)

  関東地方は、東西に太平洋プレートとユーラシア・プレート、これを挟んで南北に北米大陸プレートとフィリピン海プレートがあり、元禄関東地震と関東大震災はフィリピン海プレートの境目の相模トラフで発生した大地震とされている。首都圏に関係する地震、津波の誘因としては、この他に東日本大震災に関係する日本海溝や東海地方から四国沖に伸びる南海トラフなどがある。

 関東、東海地方については火山爆発も注意を要する。

 3、政府組織・制度においてシンボリックな抜本的措置が必要

 民間組織・団体や東京都及び市区町村において、それぞれ対策を検討し備えることは不可欠であろう。それは誰のためでも無い、自分達や家族、関係者の安全、安寧のためだ。

 しかし東日本大震災レベルの直下地震等が首都圏で発生し、大型津波が発生すると、1995年1月の阪神・淡路地震を上回る被害、混乱が起こるものと予想されている。2011年3月の東日本大地震の際にも首都圏で震度6を超える揺れを経験したが、道路は車道、歩道共に渋滞し、公共交通は止まり、電話・携帯による通信は繋がらず、多数の帰宅難民が発生し、その状況は翌朝まで続いた。電気、ガス、水道などのライフラインが被害を受けていれば被害は更に拡大し、回復には更に時間を要することになる。

 最大の問題はライフラインの確保であるが、大災害に対応し、司令塔となるべき中央官庁の機能をどの程度確保出来るかである。物理的被害は予想もつかないが、災害が深夜や早朝、祝祭日に発生した場合、必要な人的資源の確保は困難で時間を要することになっても仕方が無いであろう。‘経験したことがない大災害’に遭遇し、‘経験したことがない混乱等’が起こったとしても、自然のなせること、誰も責めることは出来ない。それぞれの立場で被害に備え、耐え、命を守る努力が求められるであろう。それも相当期間に及ぶ可能性がある。

 (1)そうなると危険の分散を図ることが最も効果的となる。政府はこれまで幾度となく、東京一極集中を避けるため、中央省庁や大学の地方移転を試みてきたが、部分的な専門部局の分散に留まり、一極集中解消にはほど遠い。

 米国の他、ブラジルや豪州などのように、政治・行政機能を密集地域から切り離し、新たに政治・行政都市を造ることも考えられるが、日本にはそれにふさわしい安全な地域を確保することは難しそうだ。しかし1つの有効な選択肢ではある。

 もう1つの選択肢としては、日本独特の国民統合の象徴機能である皇居を宮内庁と共に京都など近畿地方に戻すことであろうか。天皇の象徴機能については憲法に明記され定着しており、皇居を移転しても機能自体に何ら影響しない一方、ご公務については憲法上国会の召集など10項目に限定されているので、移転は相対的に容易と見られる。更に、京都等に戻ることは歴史的に理解されやすく、また地方に新たな息吹をもたらし、地方活性化にも繋がる可能性がある。

 憲法上公務とされる10の業務については、現在では交通・運輸、通信が飛躍的に便利になっており、国会召集時など限られた折りに東京に行幸されることは可能であろう。宿泊が必要な場合には、年数回しか使用されていない迎賓館(赤坂離宮)に所要の宿泊施設をご用意するなど、対応は可能のようだ。また外国使節(各国大使等)の接受等については、京都の御所にて行うこととすれば、京都や近畿地方の歴史や文化等を外国使節に紹介する機会ともなろう。

 また考えたくはないが、もし将来首都圏がミサイル等で攻撃されると、政治・行政機能と象徴機能が同時に被害を受ける恐れがあるので、これを分離しておくことが安全保障上も意味があろう。

 無論どの選択肢にしても、現状を変更することには困難があろう。しかし、政府地震調査委員会が東京直下地震など経験したことがない大災害が現実に起こりうると考えているのであれば、これまでのような対応では不十分と見られるので、これまで実施されたこともないような措置を本気で検討、実施する必要があるのではないだろうか。

 (2)江戸城趾の活用方法については、城趾内の「江戸の自然」の保護を図りつつ、可能な範囲で復元を行い、歴史観光施設として整備し、また一部を国民の憩いの場として開放すると共に、大災害時や緊急時の避難場所となるよう整備するなどが考えられよう。特に江戸城趾には四方に門があるので、災害時、緊急時には門を開放し、四方から城趾内に避難が出来る。また緊急車両が災害時、緊急時に通行できるよう、城趾内の通路等を整備しておけば、渋滞が予想される一般道を通らずに迅速に移動できるなど、災害時、緊急時への活用も期待できる。

(2021.3.31. All Rights Reserved.)

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