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内外政策評論 TheOpinion on Global & Domestic Issues

このブログは、広い視野から内外諸問題を分析し、提言を試みます。
Policy Essayist

Exert more Wisdom than Weapons for Ukraine!

2024-10-16 | Weblog

Exert more Wisdom than Weapons for Ukraine!

 Over three-months long armed conflicts persist in Ukraine, and the Russian military forces seem to focus on the consolidation of the control in the two eastern provinces, namely Donetsk and Luhansk, in collaboration with the pro-Russian groups there. At the initial stage, the Russian leadership misjudged that the Ukrainian military might be unwilling to fight back against the Russian troops, keeping distance from President Zelensky, and decided to invade in Ukraine towards Kiev immediately after the air strikes on their Air Force facilities. But the Russian troops met severe resistance as they marched forward to Kiev and resulted in unforeseen damages. The Russian leadership, noticing their misjudgment based on some inaccurate information or wishful analysis, decided to withdraw the troops from the western front and shifted their attack in the eastern provinces and the southern provinces adjacent to Crimea. That would have been the initial military objectives after the expiration on 21st January, 2022, of the Minsk Truce Agreement of 2014.

During the eight-year long Truce Agreement, it was designed to settle the autonomy issue of the two eastern provinces. But such efforts failed, and President Zelensky, instead, openly expressed his intention to become a member of NATO. 

For Russian, the constant east-bound expansion of NATO has been seen as a threat. President V. Putin expressed his view at a press conference in April, 2008, on the occasion of the NATO summit that “any attempt to expand NATO to the Russian borders would be seen as a direct threat”. At that time, NATO expanded its membership from 16 to 26 after the Soviet Union, therefore the East-West Cold War, was over. Now it is embracing 30 countries with the U.S. military bases and the THAAD missiles in Romania.

  1. No justification for the Russian aggression in Ukraine

 Russian invasion in Ukraine cannot be tolerated and should be condemned. In particular, the initial Russian invasion in the western region leading to Kiev invited a strong criticism in the World, in addition to the damages inflicted on the Russian troops.

Every sovereign country has the right to defend itself against any aggression.

In support of such Ukraine’s efforts to defend itself, many NATO member countries including the U.S. and others have been sending weapons after weapons together with other civil support upon request from Ukraine. Also a wide range of economic sanctions against Russia have been imposed by many countries.

Such a support is necessary. But we should exert more wisdom than weapons. Wisdom to stop the armed conflicts and the bloodshed. And wisdom to bring about a peaceful settlement in Ukraine. Further military support, in particular,  sophisticated missiles and other weapons from the NATO countries to Ukraine seems to lower a threshold to a war in Europe. Also a wide ranging sanctions against Russia would adversely affect the World economy sooner or later like a boomerang.

 

  1. Needed recognition of the Co-Existence in the face of the differences in basic values and governing systems in the World

At a time of apparent differences in basic values and governing systems in the World seen in such cases as the Russian invasion in Ukraine and the trade issue with China, we need a practical philosophy governing the World now. There are basically 3 alternatives. Namely, 1) defeat the opponent, completely, if possible, 2) accept the domination by the opponent, or 3) co-existence with different values and governing systems.

The first two alternatives will not be accepted by the other side. The World is divided in these two cases, and a fear of a war lingers. If the World is to be one globe, therefore, Co-Existence seems to be the only realistic alternative.

Democracy is based on human equality, acceptance of diverse values and belief, and pluralism. And given the present nation-to-nation relations which are based on the territorial sovereignty with its own basic values and governing systems, Co-Existence is the realistic philosophy governing the present international relations, if a democratic method is to be applied in handling international affairs as well.

And sometime in the future, the World of Co-Prosperity may happen.

(2022.6.10. All Rights Reserved.)

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リニアモーターカー(リニア新幹線)、越すに越されぬ大井川! ― 大井川陸上(空中)トンネル化を提案する ― (再掲)

2024-10-16 | Weblog

(はじめに)JR東海は2024年3月29日、リニア新幹線の品川―名古屋間について、2027年の開業を断念する方針を明らかにた。最難関工区とされる南アルプストンネル(全長25キロ)のうち、静岡県内での工事を同県が認めず着工できていないためだ。同工区の工事は約10年掛かるとされているので、開業は早くても2034年以降に大幅に遅れる。

 静岡県との協議は既に数年間行われてきており、同県が合意しても少なくても更に10年遅れ、そのための膨大なコストが漫然と掛かる上、大衆交通の利便性が進まないことになるので、社会的コストは計り知れない。現在案では、大井川の下にトンネルを通す方式だが、沿線及び下流の水資源の確保や環境への悪影響が懸念され、それを回避するための上流に人造湖を建設し水を大井川戻す工事も莫大な費用が掛かり、更に今後の急速な気候激変を考慮すると効果と安全性などに疑問が尽きない。

 何故、計画を速やかに変更し、大井川の横断については空中トンネルとしないのか。何事も日本では1度決めると是正できないことが多い。それは官民とも同様の要だ。

このような観点から本稿を再掲する。(追補:2024年3月30日)

 

リニアモーターカー(リニア新幹線)、越すに越されぬ大井川!

         ― 大井川陸上(空中)トンネル化を提案する ― (再掲)

 超伝導リニアモーターを利用したリニア中央新幹線は当初東京―名古屋間の2027年開業を目指して建設が開始された。東京―名古屋間40分の夢の超特急だ。

 しかし大井川の地下に通すトンネルが水の流れに影響し、静岡県の下流への水資源を枯渇させ、流域の農業や生態系等の環境に大きな影響が出るのではないかと懸念され、同県知事が着工を了承していない。各種の環境影響調査、協議等が行われているものの、大井川トンネルの着工が出来ないままとなっている。2029年以降の開業についても見通せず、総事業費は約10.5兆円に増加するとされている。正に、越すに越されぬ大井川だ。

 大井川の下にトンネルを通すことにより流れ出す大量の水を川に戻すなどの案が検討されている。しかしそれには莫大な費用と時間が掛る上、それにより下流での従来の水量が確保出来るかは明らかでない。更に将来予想出来ない豪雨に見舞われた場合、水還流設備は対応出来るのか、またトンネル自体が絶え得るかが懸念される。悪化する気候変動の中で自然の力を見くびることは出来ない。

 そこで大井川の工区だけ陸上トンネル(大井川空中トンネル仮称)とすることを提案したい。恐らく景観の問題等で反対はあるだろうが、景観になじむデザインにするなどにより解決出来るだろう。例えば、トンネルの一部を硬質ガラスでリニア新幹線の通過を可視化すれば、撮り鉄ファンにとっては格好のスポットとなろう。乗客も一瞬の外の景色にほっとするだろう。トンネルの上部に遊歩道を築いて観光化することも考えられる。本件は経済社会問題として検討されるべきであろう。

 大井川工区の陸上トンネル化を行い、リニア新幹線の早期開業を期待したい。

(2023.1.9.) (Copy Rights Reserved.)

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社会保障と税の一体改革に欠ける視点 (改定版、総合編)<再掲>

2024-10-16 | Weblog

社会保障と税の一体改革に欠ける視点 (改定版、総合編)<再掲>

  <はじめに>

 2013年1月、野田民主党政権が打ち出した社会保障と税の一体改革を政権交代を受けて引き継いだ形の安倍自・公政権は、消費税10%への引き上げを実施したものの、社会保障改革につ社会保障の財源を目的税的に消費税に特化しつつ、その余剰を社会保障以外の歳出財源に振り替える一方、年金の支給年齢の引き上げや介護委保険料の引き上げを図りつつ国民年金から天引きし、また支給基準自体の引き下げを図るなど、社会保障費の圧縮を行う結果となっている。これは、社会保障費の圧縮を図りつつ社会保障以外の歳出財源を捻出するとの観点からは評価されるのであろうが、消費増税は行われても社会保障自体は改善するどころか、国民年金は圧縮され介護保険料など国民の実質負担は高くなるという結果を招いている。消費増税により期待された社会保障を通じる所得の再配分が適正に行われていないことを意味する。

 子育て支援の拡充や出産費の保険適用なども社会保障の対象分野であるが、10%への消費増税により社会保障がどのように改善されたかを点検すると共に、社会保障と税の一体改革においていわば冷や食を食べさせられて来た社会保障の改善を図ることが必要になって来ているようだ。このような観点から本稿を再掲する。(2023/04/26追記)


 野田政権は、社会保障と税の一体改革大綱の素案を取りまとめるため、2011年12月12日、関係5閣僚会議で社会保障分野の検討を開始した。これに先立ち厚生労働省は社会保障改革案の中間報告を公表した。
  中間報告は、年金、医療・介護、及び子育て分野まで網羅しており、受給資格期限の10年への短縮、低所得層に対し年金加算、国民健康保険料や介護保険料の軽減(給付増要因となる)など、低所得層、パート、主婦などに一定の配慮をしているが、高所得者の年金減額、70-74歳の窓口負担引き上げ、外来患者への1回100円の負担上乗せ(料金収入増要因となる)など、収入を図る一方給付水準を下げ、利用者に負担を掛ける内容となっている。他方、年金支給開始年齢の引き上げ、デフレ下での年金給付額調整(給付水準引き下げ)、厚生年金保険料上限の引き上げなどについては法案提出を先送るとしている。
 一方消費税増税を中心とする税制改革については、年末の12月29日、民主党税調と一体改革調査会の合同会議を野田首相出席の下で開催し、消費税を「2014年4月に8%、15年10月に10%」に引き上げることなどを決定した。
 そしてこれら一連の検討を経て野田内閣は、2月17日、消費税増税を軸とした社会保障と税の一体改革大綱を決定した。
  同一体改革大綱は、1月に政府・与党が決定した素案とほぼ同様の内容で、消費税増税を含むものであり、社会保障制度自体の改革については現行制度を前提とした若干の手直し程度となっている。基本的な制度として、破綻状態の国民年金の改革には一切言及がない。一方厚生年金と共済年金の統合を検討するとしているものの、厚労相はそれは時間の掛かることであり、且つ“消費税増税には関係しない”と説明しており、そうであるなら何故わざわざ異なる給与体系・労働条件の厚生と共済を統合しなくてはならないのか疑問が残る。
 増税方針の決定は一つの政治的リーダーシップの発揮として評価されるところであり、その責任はいずれ国会で審議され、最終的には選挙において問われ、国民の審判に委ねられることになろう。だが増税案が示されても、年金制度などの社会保障制度改革について実質的な方針が示されなければ「一体改革」にはならない。しかしそのベースとなる大綱において低所得層、パート、主婦などに一定の配慮をしており評価されるものの、基本的に次の諸点が欠けている。
 1、欠けるコスト削減の側面
 昨年末の民主党合同会議においての上記の増税方針を決定した際、09年8月の総選挙で約束したマニフェストを重視するグループよりの意見を踏まえて、議員定数の削減と公務員給与の引き下げの実施や景気が好転していない場合の増税凍結などを了承し、公務員給与の引き下げについては4月より平均7.8%の削減(2年間)ているが、年金や医療等の社会保障制度を実施・管理するためのコストなどには触れられていない。今回採択された国家公務員給与の引き下げについても2年間の削減であるので、いわば福島原発事故に伴う賠償や被災地の復旧・復興のための当面の財源を確保するための財源と見られるところであり、年金や医療など、中・長期に必要なコスト削減にはならない。
 拠出を前提とする国民年金、厚生年金、共済年金は、拠出者が6割内外に激減している国民年金を中心として破綻状態にあり、少子(拠出負担者)の漸減と高齢化・長寿化(受給者)の漸増という今後の傾向を考慮すると、現行体制では年金勘定の赤字は更に悪化することが予想される。
 制度が破綻状態にあり赤字がより深刻化すると予想される場合に、まず行われるべきことは抜本的なコスト削減であり、制度のスリム化であろう。企業であれ、どのような組織、制度であれコストの観念が無くては事業は成り立たず、将来は無いと言って良い。
 景気停滞期に雇用を維持するというワーク・シェアリングの観点からすると、年金事務分野等での給与ベース自体を実質的に引き下げ、抑制しつつ、職務に励んでいる職員には気の毒ではあるが、自主的な希望退職を促しつつ可能な範囲で優先度の低い部局等の人員を削減して行くことであろう。それが困難であれば実質的な人員整理を3年程度の期間掛けて実施するのも止むを得ない。東北地方出身の職員については、被災地の行政事務、復興事業支援などを希望する者を募り、人材の活用、斡旋を図ることなども可能であろう。多くの企業は数年前よりワーク・シェアリングを実施している。それも一つの社会貢献であり、社会的な責任を果たしていると言える。 その他一般管理費、事務費、交通・通信費等の諸費用を抜本的に節減するとの姿勢が望まれる。一度に実施困難であれば、3年間程度で段階的、継続的に行えば良い。それは制度を存続させるための組織の長の責任であり、また政権与党及び野党を含む国会の責任であろう。
 また年金事務の制度的な簡素化が不可欠である。年金事務については、日本年金機構を頂点として、全国の都道府県及び市町村に9ブロックの本部と地区毎に年金事務所が多数設置されている。これらの事務所、施設を全て廃止、売却し、都道府県、市町村に事務を集約するなどの改善が望まれる。国民健康保険事務や国民年金、旅券の交付なども地方公共団体に移管されているので可能であろう。年金は健康保険と同様に地域住民に密着した業務であるので、地方公共団体の業務サービスに適している。公的年金の積立金を管理・運用している年金積立金管理運用独立行政法人についても、民間の投資・金融・保険会社にコンソーシアムを形成させるなどして何らかの形で管理運用を民間専門機関に委託できないかなどを検討することが望まれる。
  因みに、中央官庁は設置法があり縦割りとなっていることから、ハローワークや労働基準局の他、財務局や法務局、河川・道路地方整備局事務所など、多くの省庁が全国に独自の事務所、施設を持っているが、公的債務が1,000兆円を超える状況であり、大幅な財政赤字が継続している今日、各省庁が全国に事務所、施設を抱えている余裕はない。地方自治促進の意味からもこれらの業務、事務を原則地方公共団体に移管し、中央官庁は調整業務のみを行うなど制度の抜本的な簡素化、集約を図ることが時の流れと言えよう。国や地方公共団体が数多くの国・公有地や施設を抱えていることは、多額の人件費、管理費が掛かり財政を圧迫している上、民間移管すれば得られる固定資産税等の機会を放棄していることになるので2重にコストを掛けている。国家レベルでの財政赤字である今日、国・公有地や施設を抜本的に廃止・売却し、民間での活用を図ることが望ましい。それにより地方経済も活性化されることが期待される。ほとんどの地方公共団体の公有地や施設についても同じようなことが言える。
 日本の戦後の行・財政モデルは、各種の制度、社会インフラ等が未整備で、地方公共団体も整っていない状況で高成長期に築かれて来たものであるが、今後少子、高齢化・長寿化により、税の負担者が減り、社会保障関係支出が増加することは避けられないので、未来を見据えた簡素で効率的な行・財政モデルを構築して行く必要もあろう。
 事業的には、年金給付額を引下げたり、給付年齢を引き上げることにより支出を減らすことも可能である。しかしそれは年金事業の本来的な目的である年金給付サービスを低下させることになり、年金への信頼性を著しく失わせる結果となるので、行うとしても最後の手段とも言える。最初に抜本的なコスト削減を行うことが不可欠であろう。
 2、最大の欠陥である国民年金など、見えない抜本改革
 国民、厚生、共済各年金とも拠出形であり、厚生、共済両年金の一本化が検討されているが、最大の欠陥は国民年金にある。国民年金にのみ加入している者の2011年4―7月の納付率は55.0%だが、失業等で納付免除者を加えると納付率は更に低くなる。納付していない者が半数近くいるので、受給者層が増加の一途であることを考慮すると、国民年金(基礎年金)制度は持続不可能な状況になっている。他方生活保護者は208万人以上に達しているが、国民年金の給付額は平均5.3万円であるのに対し、東京都の生活保護支給額は30代単身で13万円以上、60代後半単身でも8万円強で、家族構成などで加算されることになっているため、国民年金の方が掛け金を支払っていながら受給額は少ないので、納付意欲を失わせる形となっている。
 現在、厚生年金と共済年金の一本化や国民年金(基礎年金)との統合などが検討されているが、まず最大の欠陥を抱えている国民年金の在り方を検討することが先決であろう。国民年金の納付率を上げると共に、不加入者をどう解消して行くかが検討されなくてはならない。国民年金も拠出制であり、本来的には拠出していない者には給付も無いことになる。基本的には受益者負担と自己責任の原則に則らざるを得ない。また生活保護支給額に対し、国民年金給付額が逆差別されている状況も是正する必要があろう。
 社会保障改革案では、基本的には中間報告に沿って低所得者への加算や高所得者の年金減額など、現行制度に基づいた微調整、手直にしか過ぎず、国民年金の抜本改革には触れていない。拠出型の国民年金は拠出者に対して継続するとしても、いずれの年金にも拠出していない者をどの程度、どのように救済するかについては、納税や拠出努力をしている者との公平性や生活保護との関係を含め、基礎年金をどのように制度設計するかが問われていると言えよう。
 また国民、厚生、共済の3つの年金制度があり、分り難いとの評もあり、その面は否定できないが、3つとも雇用形態や所得水準、賃金体系などが異なるので一本化には複雑な調整が必要になるばかりか、一本化すれば年金問題が解決するというものでもない。統合することによりそれぞれの問題点が見え難くなり、或いは共倒れする恐れがある。国民、厚生、共済の3年金制度とも料率納付を前提としているので、原則として拠出者には入会時の条件になるべく近い水準で給付することが期待される。それなくしては年金の信頼性は維持出来ない。問題は、拠出型3年金の適正な給付を確保すると共に、いずれの年金についても受給資格が無い者をどう救済し、財源をどう確保して行くかである。しかし努力しなくても救済される、努力しても報われないというような意識が生まれ、国民の間にモラルハザードを引き起こすようなことは健全で活力ある社会発展を図る上で避けなくてはならないのであろう。
 3、社会保障に関する新たな制度設計と消費税増税
 上記のような観点からすると、抜本的なコスト削減を行わず、また国民年金を中心とする年金制度の本質的な改革を行わないままで消費税などの増税を実施すれば、制度上の不備、赤字体質を残したままコスト高で非効率な年金制度を引きずることになり、問題を残す可能性が高い。拠出制を残すのであれば、受益者負担と自己責任という基本的な基準に沿って、抜本的なコスト削減を図った後、高額所得者への給付の留保や定年制の引き上げに連動した給付年齢の引き上げなどを実施する方が分り易い。その上で全国民を対象とした税による最低限の基礎年金の導入を検討すべきであろう。その際拠出型の年金については、基礎年金に相当する部分について給付額を削減すると共に、料率も引下げるなどの調整が望ましい。また生活保護制度については、適用を基礎年金受給年齢までとするなどの調整が必要であろう。
 医療費や介護費についても、赤字であり制度存続が困難であれば、受益者負担の原則に沿って窓口料金を引き上げるなど、個人負担を若干引き上げることも止むを得ないのであろう。介護保険については、年金受給者も支払う義務があり年金給付額から差し引かれ、実質的な年金給付額の減額に当たるので、年金以外の他の所得がない者に対しては免除するなどの配慮をすると共に、健康保険料や窓口負担を全体として引き上げることも止むを得ない。しかしその前提は、抜本的なコスト削減の実施であろう。
 福祉は、高所得者が負担し生活困窮者や低所得者などを救済するとの考え方があるが、社会保障は所得に応じてではあるが国民全体として負担し、貧富の差なく適用されるべきものであり、低所得者が一切負担や努力をする義務がないというものでもない。受益者負担と自己責任の基準に沿って低所得者も応分の負担はすべきものであろう。それなくしては負担しなくても救済される、努力する者が損をするというモラルハザードを起す可能性がある。消費増税に際し、逆進性を緩和するため低所得者には税の還付をするとの案があるが、制度が複雑になり事務を肥大化させると共に、低所得者は所得税等も小額か支払ってないかであるので、更に消費税の一部も還付を受けると一市民、一社会人としての租税負担義務を免除されることになり、過剰な保護になる恐れがある。そうであれば低所得層に対し、所得税・住民税の課税所得水準の引き上げや税率の引き下げを行うと共に、最低賃金を引き上げるなど、所得面での救済を行う方が望ましい。
 制度設計の基本的な基準、軸が何であるかも問われている。(2012.3.2.)(All Rights Reserved.)

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北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?  (総合編)再掲

2024-10-16 | Weblog

北朝鮮は米韓共同軍事演習への対抗措置を画策か!?  (総合編)再掲

 北朝鮮は、昨年12月、金正恩体制への反逆行為として張成沢国防副委員長を処刑するなど、その関係者、親族を粛清し、その後の動向が注目されていた。その中で1月16日、北朝鮮国防委員会は、南北朝鮮間に良好な環境を作り出すためとして、旧正月が始まる1月30日以前に相互に批判し挑発し合うことを止め、軍事的な行為を中止するよう提案すると共に、米韓両国の共同軍事演習の中止を訴えた。

 更に1月24日、北朝鮮国防委は、国防委委員長でもある金正恩第一書記の特別な指示として、祖国統一の新たな段階を開くため上記の提案に言及しつつ韓国当局ほか関係方面に宛てた公開書簡を公表した。

 韓国政府はこれを誠意あるものではないとして拒否したが、北朝鮮は池在中国大使が記者会見を行い、この提案は真摯なものであり支持するよう訴えた。中国当局からもプレッシャーが掛けられていることが伺える。

 その後北朝鮮は、韓国との南北離散家族再開事業を実施(2月20日から6日間)した他、日朝間においても、日朝赤十字会談(3月19日)や日朝政府間協議(3月30日、31日)を行うなど、融和姿勢を示す一方、短、中距離のミサイルの日本海向け発射などの示威行為を行い、硬軟両用の姿勢を示しており、その真意が注目されている。

 1、米韓合同軍事演習への反発をあらわにする北朝鮮の狙い

 このような北朝鮮側の米韓共同軍事演習の中止提案に対し、北朝鮮側が張成沢国防副委員長他の血の粛清後国際的に孤立化していることを受けての融和策、或いは経済的困難を回避するための和解姿勢など、ステレオタイプのコメントが多く聞かれた。

無論そのような狙いがあることは否定するものではない。しかし上記の2度に渡る提案を読み進めると、具体的には次の2点を要求している。

(1)  南北間に良好な環境を作り出すため、当面、米韓合同軍事演習(フオール・イーグル、及びキー・リゾルブ)を中止すること。

(2)  北朝鮮としては‘朝鮮半島の非核化’を共通の目標と考えるが、朝鮮半島に‘第3国の核’を持ち込まないこと。北朝鮮の核は米国の核の抑止のためであり、自衛のためにほかならない。

 この要求から分かるように、北朝鮮の当面の狙いは2月下旬から実施されている米韓合同軍事演習の中止である。提案が北朝鮮の軍事委員会の名でなされていることも、軍事的な思惑からであることを物語っている。そもそももし北朝鮮側が、真に韓国側との融和を希望するのであれば、公式ルートを通じ静かに接触し、韓国側が対話に応じた時点で公表するであろう。

 米韓合同軍事演習は、長年に亘り実施されているもので、韓国内及びその周辺で行われる大規模な演習であるが、北朝鮮側はその都度最大級の批判を繰り返して来ている。国内的にも、TVや労働党機関紙その他で米国、及び韓国による北朝鮮侵略の準備であり、北朝鮮はそのような攻撃があれば南を焦土とするなどとして、過剰とも思える反応を行っている。2013年においても同様だ。

 2、北朝鮮の融和姿勢は本当か

 このような中にあって北朝鮮は、2月20日から6日間、南北離散家族再開事業を3年ぶりに実施した。また日朝間においても、3月19日、瀋陽において日本人遺骨収集等に関する日朝赤十字会談を行い、また2012年11月以降中断していた日朝政府間協議を3月30日、31日に北京で行うと共に、横田めぐみさんの両親と孫に当たるヘギョンさんとの面会をモンゴルで実現するなど、融和姿勢を示している。

 これらの動きから、北朝鮮は、国内での食糧不足や経済困難、中国との関係の後退などから、韓国や日本との関係改善を狙っていると言われている。特に日本については、日朝交渉を通じる拉致被害者問題の進展や制裁措置の部分的な緩和による交流の促進などが期待されていると言われている。

 しかし日朝政府間協議は、‘真摯で率直な協議’が行われ、協議の継続で合意したものの、再開時期にも合意していない。政府間関係で‘真摯で率直な協議’との表現は、それぞれの立場、問題点を言い合うことを意味しており、それぞれの思惑で進展を期待しつつも、基本的に一致点がなかったことを意味している。政府間協議後の4月1日、北朝鮮側の代表宋氏は記者の質問に対し、朝鮮総連本部の入札による売却決定を許可したことに対し、‘この問題の解決なくして、日本との関係進展は必要ない’とのコメントを日本語で行っている。北朝鮮側の当面の関心が朝鮮総連本部の建物にあったことが明らかだ。既に落札され承認されているので、売却自体は実施されることになろうが、賃貸への便宜や代替地の提供などを求めて来る可能性がある。朝総連は、かねてより北朝鮮の日本での大使館或いは代表部としての機能を果たしていたとされているが、日朝両国には正式な外交関係はないので、朝総連のこのような機能、活動は認められるべきではない。朝総連のあり方等は、平和条約交渉の過程で協議されるべきであろう。

一方、国連人権理事会が設置した北朝鮮人権調査委員会は、2月に報告書を公表し、北朝鮮の拉致を含む人権侵害行為に対し「人道に対する罪」として非難すると共に、安全保障理事会に対し、国際的な刑事司法の枠組みで北朝鮮指導者の責任追及を検討するよう促した。そして人権理事会は3月28日、北朝鮮の人権侵害を非難する決議を採択した。このように北朝鮮の人権侵害、人道違反に関しては、2013年12月の粛清を含め国際世論の批判が強まっていることから、国際世論を和らげるための融和姿勢が必要だったとも言える。また北朝鮮は、国連専門機関から毎年のように受けている食料などの人道支援を確保するためにも融和姿勢を示す必要がある。もっとも、一方で経済制裁を行いながら、北朝鮮への食料などの人道支援を実施することには、矛盾があり、実施するにしても、実際に貧困層の人々の口に届くような確実且つモニターシステムを確立することが不可欠と言えよう。

 3、北朝鮮の真の狙いは核、ミサイル開発の促進?!

 今回の北朝鮮側の一連の米韓合同軍事演習の中止要求が韓国側により拒否され、米韓合同軍事演習が行われたため、北朝鮮側は、米韓による戦争準備が行われているなどとして非難を強め、自国防衛の一環と称して長距離ロケットや核兵器の開発、実験を加速する可能性が強い。既に北朝鮮側は、日本海に向け短距離ミサイルの発射(2月27日)、そして中距離ミサイル・ノドンの発射(3月26日)を実施すると共に、黄海に向けロケット砲の発射(3月31日)を行っている。また、長距離ロケットの発射台を設置し始めており、ウラン濃縮も再開されているなどと伝えられているので、北朝鮮は、今後の重要日程に合わせてミサイル、核実験を強行する恐れが強い。

 南北間の環境改善に向けての北朝鮮の提案は、強硬姿勢を合理化するための国際世論向けのジェスチュアーと見られる。北朝鮮が今回中距離ミサイルの発射を行ったことに関し、国連安保理は2013年1月の安保理制裁決議に反するとして非難したことに対し、北朝鮮はこれに抗議した上、‘新たな形の核実験を行うことも排除されない’との外務省声明を発表している。

 確かに南北朝鮮は未だに“休戦状態”であるので、軍事的には合同軍事演習は必要であろう。しかし北朝鮮側の極端な反応が予想されるのにも拘らず、何故朝鮮半島周辺で毎年のように大規模な軍事演習を行うのか。北朝鮮側も、軍事演習自体を否定はしていない。米国内か朝鮮半島から遥か離れたところで行うように促している。北朝鮮の核及びミサイルの開発実験問題については、1990年代中頃より各種の努力がなされているが、朝鮮半島周辺における大規模な米韓合同軍事演習は、北朝鮮側に核、ミサイル開発加速への口実を与え、既成事実を重ねさせ、事態を悪化させて来ているのではないだろうかろうか。

 それだけでなく、1953年7月に締結された南北間休戦協定以来60年を越える休戦状態が継続し、和平が成立しない限り北朝鮮の先軍政治が継続するので、毎年行われる米韓の合同軍事演習は、北朝鮮に先軍政治を継続する格好な口実を与える結果ともなっている。

 軍事的観点だけでなく、総合的な判断が求められよう。

(2014.04.10.)

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