情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

法テラスと契約しないのは臆病者?!

2006-08-28 21:36:11 | 適正手続(裁判員・可視化など)
国選弁護人について,法テラスが名簿管理する問題(ここここ参照←クリック)で,8月28日発行の日弁連速報に,契約した弁護士の声が匿名で掲載されている。いわく,「確かに,法務省所管の法テラスが国選弁護人業務を行うことについて,弁護活動の独立性に【ママ】危惧する声がある。法テラスの監督下では,自分は国選弁護を行わないと拒絶する人もいる。

私は,法テラスが弁護活動に介入してくることはない,そのようなことがない仕組みができたと評価しているが【ヤメ蚊:名簿管理すらできないのになぜ評価できるのでしょうか?】,それでも,万々が一,法テラスが私の弁護活動に介入し独立性を侵害しようと試みてきても【ヤメ蚊:個別の行為に介入することよりも大変な問題があるでしょう。分からない振りをしているのでしょうか,本当に分かっていないのでしょうか…】,少なくとも,その1件については,独立性を断固維持し,当該被疑者・被告人の利益を最大限に守る弁護活動をする覚悟である【ヤメ蚊:それでは,先日の安田弁護士が世間から批判されることを認識しつつ,被告人のためにとった行動も評価するんでしょうね。弁護士会で彼をバックアップするんでしょうね】。

その後に契約を解除されようと【ヤメ蚊:国選弁護は弁護士としての当然の義務だから行うのだから,解除されることは義務を免れることになるだけであり,何ら制裁にはならない。そんなに力を入れて言うことではないのではないでしょうか】,いかなる措置を受けようと【ヤメ蚊:ほぉ~。懲戒請求でも,ですね?その言葉を忘れないで下さい】,とにかく,目の前にいる被疑者・被告人の利益は守る!これは弁護士としての基本である【ヤメ蚊:目の前にいない者の不利益には目をつむるのですか?反対派が気にしているのはその点です】。

 法テラスの監督下では国選弁護ができない,という反対論者は,法テラスが介入してきたときにそれに屈してしまう臆病者に過ぎない【ヤメ蚊:本気で言っているのか?権力と闘ってきたからこそ,問題の根深さに気づいているつもりです。そもそも賛成論者は,システムを改善するためにいかなる活動をしたのでしょうか?体を張って改善しようとしたのでしょうか?与えられたシステムだから仕方がないとしっぽを振って受け入れているだけではないのでしょうか!】。

真に被疑者・被告人の利益を擁護する弁護士は,法テラスのからの監督を恐れず,あえて法テラスの下で国選弁護を担当し,法テラスの介入をはねのけることに存在価値がある【ヤメ蚊:法テラスが,あの被疑者は否認しているから息のかかった弁護士を派遣して(虚偽の)自白を強要しよう,って考えたときに,あなたはどうやってその不当な派遣を止めるのですか?反対派はそういうことを問題にしているのです。そのような不当な派遣を止めるには,システムを変えるしかないのです】。

 私はそのような弁護士になりたいので,法テラスと契約しました【契約した以上は顧問会社との会食なんかを優先しないで,真面目に弁護活動に取り組んでくださいね】。」。

もう少し,説得力のあるコメントはなかったのでしょうか…。ないでしょうねぇ。無理なことを押しつけようとしているんだから…。




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ビラ撒き住職に無罪判決~東京地裁が至極真っ当な判断

2006-08-28 19:50:08 | メディア(知るための手段のあり方)
今日,東京地裁から出て行くときに袈裟を着た男性とほぼ同時にドアをくぐった。その男性は,門の前で立ち並ぶ多くの人の前でガッツポーズを見せた。【東京都葛飾区のマンションに04年12月、政党ビラをまくために立ち入ったことで住居侵入罪で起訴された被告の住職荒川庸生(ようせい)さん(58)に対し、東京地裁は28日、無罪(求刑・罰金10万円)を言い渡した】(朝日)直後のシーンだった。

報道陣用に配布された判決を見たが,普通のことを普通に判断した,ある意味画期的な判決だ。

大島隆明裁判長は,

「居住者の抱く不安感や不快感を根拠に,本件における被告人の立入行為が直ちに社会通念上容認されざる行為に当たるといいい得るかとなると,集合住宅の共用部分に部外者が立ち入る行為はその目的を問わず差し控えるべきであるとの考え方が強くなってきたのはさほど古いことではなく,このような考え方が一般化,規範化しているか否かはなお慎重に検討する必要がある。」としたうえ,

【▽このマンションではピザのチラシも投函(とうかん)されているが、投函業者が逮捕されたという報道もない▽40年以上政治ビラを投函している荒川さんも立ち入りをとがめられたことはない――と指摘。「現時点で、ドアポストに配布する目的で昼間に短時間マンションに立ち入ることが、明らかに許されない行為だとする社会的な合意がまだ確立しているとはいえない」と述べ】(上記朝日),

「現時点でのプライバシーの意識や防犯意識の高揚を前提とすれば,本件のようにビラ配布の目的だけであれば集合郵便受けへの投函にとどめておくのが望ましいとはいえても,それ以上の共用部分への立入行為が刑事上の処罰の対象とすることについてはの社会的通念は未だ確立しているとはいえず,結局,被告人の立入については,正当な理由がないとはいえない」として,住居侵入罪の構成要件を満たしていないとしたのだ。

不安や不快感が侵害されただけで,刑事事件にはならないということを確認した画期的な判決だと思う。

■■以下朝日引用■■
〈キーワード:葛飾政党ビラ配布事件〉 04年12月23日、被告の荒川庸生さんは東京都葛飾区内のオートロックではないマンションに立ち入り、共産党の都議会報告や区議会だより、区民アンケートの用紙と返信用封筒を、各階居室のドアポストに配布した。途中で住民男性に見とがめられ、110番通報された。警察で事情を聴かれ、帰宅しようとすると「住民男性によって住居侵入容疑で現行犯逮捕されている」と説明を受け、そのまま23日間、身柄拘束された。
■■引用終了■■



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