情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

ネット記事による被害拡大を認定~イラク人民主活動家の訴えを認めた東京地裁

2006-12-27 22:44:55 | メディア(知るための手段のあり方)
朝日新聞によると、【ネットで名誉棄損が地球大で広がった――週刊ポストの英文ホームページ(HP)に「イラクに派遣された自衛隊の安全を守るかわりに日本政府から100億円の供与を密約された」との誤った記事を掲載されたとして、フランス在住のイラク人がHPを管理する小学館に損害賠償などを求めた訴訟の判決が27日、東京地裁であった。定塚誠裁判長は「記事の主要部分は真実と認められず、原告の国際社会での評価を低下させた」と述べ、記事の削除と440万円の支払いを小学館に命じた】という。

 この事件を訴えたのは、アブデル・アミール・アル・リカービさん(59)という民主活動家。イラクの民主化運動に取り組み、旧フセイン政権や米軍の占領統治に反対してきた。自衛隊のイラク派遣の是非が問題となった際、来日し、非軍人による支援を行うべきだと小泉首相に訴えた。

 ところが、週刊ポスト04年2月6日号は「小泉・自衛隊が築く『札束の陣地』」と題する記事を掲載し、地元イラク部族の代表としてリカービさんが自衛隊を守ると約束した旨報道した。

 東京地裁は、リカービさんが03年、首相官邸で小泉首相(当時)と面談した際、メソポタミア湿原の復元への援助などを要請したが、記事はこの際のやりとりに関連し、「リカービ氏ルートで自衛隊の警護隊をつくると連絡があった」「ボディーガード代は100億円」と記載し、記事全体として「密約があったとの印象を抱かせる」と判断した。

 【定塚裁判長は「英文の記事が広まった範囲は相当に広い。原告は記事によって売国奴と言われ、イラク内務省からも非難された」と述べた。】

 リードで指摘されたとおり、ネットによる被害拡大が認められた事例であり、興味深い。また、小泉が当時から情報操作をしていたことをうかがわせる事例ともいえる。

 最後に、リカービさんの勝訴を祝福し、英文共同の記事を引用しておきます。

Shogakukan ordered to pay 4.4 mil. yen to Iraqi activist

The Tokyo District Court on Wednesday ordered Shogakukan Inc. to pay 4.4 million yen to an Iraqi pro-democracy activist as the Tokyo-based publisher defamed him in its magazine and Internet articles.
Abdul Amir Elrekaby, 59, asked then Prime Minister Junichiro Koizumi at their meeting in December 2003 to support Iraq's environment conservation efforts rather than send the Self-Defense Forces. However, the Weekly Post magazine reported in its Feb. 6, 2004, edition that they secretly agreed that Elrekaby would receive 10 billion yen from the Japanese government in return for ensuring the security of the SDF troops, according to the ruling.


写真は、週刊「かけはし」から








★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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インターネット検索広告の公共性は、電話帳イエローページの広告以下なのか?

2006-12-27 01:00:11 | インターネットとメディア
JANJANに掲載されたとおり、【ニュース専門のウェブサイト、ビデオニュース・ドットコムを運営する日本ビデオニュース株式会社(代表取締役・神保哲生氏)が、「検索連動型広告システム」※注)を運営するオーバーチュア株式会社に対し、広告掲載を拒絶されたことは掲載義務違反にあたるとして、広告の掲載と逸失利益3930万円の支払いを求めた裁判で、東京地裁は12月22日、原告の請求を棄却する判決を言い渡した。(裁判官・端 二三彦氏、槐 智子氏、小嶋順平氏)】
→この件については、ここここここここなど参照してください。

ここで、「どうせ、私企業だから、こんな訴えが認められるはずがない」と冷笑する者は、検索システムが公益的な配慮を有さない私企業によってコントロールされること自体への疑問を持たないのだろうか?

そのうち、テレビ・新聞・雑誌すらネットに吸収され、検索システムが全ての情報の窓口となる可能性さえある。そのときに、検索システムは私企業によって経営されているのだから恣意的でも仕方がないって冷笑するのだろうか?

どうどうと冷笑する者は、実はそのシステムによって利益を得ているものである可能性が大きい。

例えば、憲法改正国民投票法案とグーグルで検索すると、このブログが上位で表示される。検索の結果、同法案に問題があると指摘するサイトが上位に表示されるか、それとも同法案を讃えるサイトが上位に表示されるかによって、検索者が得る印象はまったく異なるはずだ。

検索システムのあり方及びそれに付随する広告のあり方は、恣意的な選択によって左右されるべきではない。

このことは、職業別電話帳への掲載が恣意的になされた場合と比較して考えれば、すぐに理解できるのではないだろうか。

東京高裁でいかなる判断がなされるか、注目したい。









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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