情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

死刑に対する市民感情にみるメディアのレベル~Japanが人権後進国である理由

2007-10-08 21:59:31 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 9日付東京新聞( ※1)によると、【一九九七年末以来、死刑を執行していない韓国が十二月、国際人権団体アムネスティ・インターナショナル(本部ロンドン)の執行停止十年の基準で「事実上の死刑廃止国」となる。同国の市民団体は十日、ソウル市内で日本などから来賓を招き「死刑廃止国家宣布式」を開く】という。

 さらに同紙は、

【韓国で死刑が最後に執行されたのは、九七年十二月三十日。金泳三政権末期で、この日は二十三人が処刑された。
 後任の金大中大統領は自ら政治犯として死刑囚になった経験があり、任期中に死刑は執行されず、現在の盧武鉉政権も執行停止を引き継いでいる】

と伝えつつ、

【ただ李弁護士は「昨年十二月から今年一月にかけ、法務当局が執行を画策した」とし、死刑制度を廃止する法案が国会で可決される見通しも立っていない】と懸念を表しているらしい。

 10年間執行がないというのは本当に画期的なことで、金大中氏を日本から拉致するような国からあっという間にアジアでもっとも人権先進国家入りした。取り調べの可視化の問題、メディアの寡占禁止の問題、市民メディアの問題…日本は完全に遅れをとっている。

 死刑の問題についても、日本は

【「残忍な殺人なら、被害者1人でも死刑を」。携帯電話サイト「闇の職業安定所」で知り合った男たちに殺された派遣社員の磯谷(いそがい)利恵さん(当時31歳)の遺族らが、ネット上で死刑を求める署名を始め、わずか10日間で10万人以上もの賛同者を集めた。ネットで署名活動というのも異例だが、この圧倒的な数の力は裁判官に届くのだろうか。】(ライブドアニュース

という熱狂的な死刑賛同者がいる国だ。システムとしてでなく、この人を死刑にしてくれ、殺してくれ、ということに10万人以上が賛同する…。

 他方で、えん罪事件が起きても警察を非難する声はおそらく2桁くらい低いだろう…。

 なぜ、日本でこのような現象が起きるのか?それは、マスメディアの差だと思う。司法システムが必ずしもえん罪を防ぐことができないこと(特に日本は、取り調べの可視化の未整備、長期勾留、代用監獄、証拠開示制度の未整備など先進国では考えられない遅れたシステム)、無罪の者を死刑にすることにつながるような制度は廃止すべきであること、そういうことについての情報が十分に市民に伝えられていないのだろう。

 志布志の踏み字事件、富山無罪男性服役事件、このような事件が起きたら、普通の国だったら、メディアがキャンペーンを張り、取り調べの可視化の実現まで行き着くはずだ。それなのに、そうならない国、Japan …。 やはり、メディアのシステム上の問題(※2)がボディーブローのように効いているのだろう…。

 個人的に、10万人の方に問いたいことがある。あなたはイラクの子どもたちが米軍によって惨殺されていることについてはどう考えるのか、あなたはイラクへの米軍派遣に反対の声をあげているのか、と。


■■東京新聞記事の<メモ>引用開始■■
事実上の死刑廃止国
 アムネスティ・インターナショナルの分類で、軍法下など例外的な犯罪だけでなく、殺人など通常犯罪にも死刑を存置しているものの、10年間執行がなく、死刑を執行しない政策や慣例を持つ国。死刑を適用しないと国際的に公約している国も含め、今年9月現在、ロシア、ケニア、ミャンマーなど32カ国。死刑は全面的廃止国がEU加盟国やオーストラリア、南アフリカなど90カ国に上り、通常犯罪廃止国もブラジル、イスラエルなど11カ国。これに対し、通常犯罪で死刑を続けているのは日本、米国、中国、北朝鮮、イラクなど64カ国にとどまる。
■■引用終了■■


※1:http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2007100890071330.html

※2:図解!これがとことん不自由な日本のメディアの全容だ~先進国とは思えない国辱的な非民主的システム http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/59df2623d2dbe2c0c3569bd9862508df









★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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志布志町での過酷な取り調べによる選挙違反でっち上げ事件のドキュメント見ました?

2007-10-08 03:39:17 | 適正手続(裁判員・可視化など)
 昨晩というか今日の未明、仕事をしながら、「ドキュメント'07」(2時~3時20分、日本テレビ系列)をちら見した。選挙違反に問われた被告全員が無罪となった鹿児島選挙違反冤罪(えんざい)事件の全容をドキュメンタリードラマで伝えたもので、取り調べの過酷な状況は迫力満点!あのように迫られたら誰もが虚偽の自白をするだろうなってことが伝わってくる。残念なのは、録画したつもりができていなかったこと…。だれか、録画している人はいませんか?

 番宣によると、【同事件は単なる捜査ミスや見込み捜査の失敗ではなく、警察が権力を挙げて特定の県議会議員を狙い撃ちして逮捕した「組織的なねつ造」の可能性が高い。警察がうそをつき、でっち上げに走れば社会はどうなるのか。罪もない人の逮捕。そして密室での拷問ともいうべき取り調べに一体どれだけの人が抵抗できるのか。一度認めて調書に指印すれば、もはや裁判での勝ち目も薄い。その恐ろしさをこの事件は物語っている】ということだが、まさに、そのとおりだった。

 長時間の尋問、虚偽の約束に基づく尋問、弁護権侵害による尋問…まさに違法な捜査のオンパレードで、この映像を見ればだれもが、取り調べの可視化(録画)、取り調べへの弁護人の立ち会いが必要だと分かると思う。

 しかし、弁護士を依頼することもできず、できたとしても交通の便が悪いところだったこともあろうが、弁護人の活躍がなかったのが残念だ。

 このような事件を多くの人に知ってもらうことで、ぜひとも取り調べの可視化を実現させたいが、弁護人の個々の事件における役目も重要だ。

 高野隆弁護士は言う。「アメリカにおいても弁護人との接見交通権が確立したのは、わずか30年前たらず前であることを思い起こしてほしい。そしてそれを実現したのは弁護人であった。ダニー・エスコビードの弁護人は、取調中であることを理由に接見を拒否されながら、依頼者との接見を実現するために夜中過ぎまで警察署の建物のなかをむなしく歩き回った。このような弁護人の地道な-一見滑稽な-努力なしには制度は変わらないのである」。

 いまでは、アメリカでは、取り調べに弁護人の立ち会いが認められるに至った…。日本の弁護士もがんばりまっしょい!例えば、弁護人の立ち会いなしでの取り調べを拒否するよう被疑者に主張させるのもいいかも…。 

【参照記事】
脅迫的な取り調べがあったことをうかがわせる~12人全員無罪、鹿児島選挙違反(踏み字)事件で地裁判決 http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/2c7ec6fb36a74d53649673e390a52b3d

愛媛県警作成の手引書入手~「自供させるまで取調室出るな」 http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/bca109ede4fcc4a422696017c78f223d

検察修習で最もカルチャーショックを受けたこと… http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/95c08790138b19329214e9fa9090d285

最高裁刑事局総括参事官が自白報道による予断を懸念~その前に懸念を表明するべきは… http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/f2a367e0c7f150eaa71ca82b91cd7589











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