情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

情報通信法構想の問題点~EUのシステムはシンプルかつ名誉毀損などは規制対象外

2008-02-09 13:42:54 | メディア(知るための手段のあり方)
 先日、ある勉強会で、2010年に国会に提出されるとされている情報通信法構想について、ヨーロッパ連合(EU)でのシステムを学び、改めて日本で導入されようとしているシステムの問題点が分かった。

 情報通信法構想とは、現在、別々の法律によって運用されている放送と通信(インターネット)を一つの法律で規定してしまおうというもの。媒体ごとにあり方を規定するのではなく、わかりやすく言うと、情報伝達システム業、情報発信業、コンテンツ制作販売業など業態別に分けて、あり方を規定しようというものだ。この規定の方法は、EUから取り入れたと政府側は称している。

 ところが、EUの場合、番組などを他国に輸出する際に守るべき最低基準を設けようというのがそもそもの発端であり、それゆえに、規制構造も非常にシンプルなことが分かった。

 まずは、規制の対象となるのは、①映像メディアで、かつ、②メディア事業者が編集上の責任を有しているものに限定されている。つまり、新聞社が提供する新聞の電子版、事業者が編集していないブログなどは、規制の対象からはずれるのである。この点、メールを除き、あらゆる放送・電子媒体に規制をかけようとしている日本の情報通信法構想とは大きく異なっている。

 しかも、規制の目的も、青少年の健全育成と広告に対する規制に限定されている。前者は、ポルノ・暴力に対する規制であり、後者は広告の手法(サブリミナル)や量に対する規制である。日本の構想のように、名誉毀損の疑いのある情報まで一律に規制しようとはしていないのだ。

 また、規制の仕方も非常にシンプルだ。一律に情報が流される媒体(リニアサービス)については、ポルノや暴力的なものを流さないようにという規制がかけられ、オンデマンド方式による媒体(ノンリニアサービス)については、フィルタリングによってのみ規制されるというのだ。この点も発信すること自体に規制をかけようとしている日本の構想とは大きく違う。

 結局、日本の構想は、EUのシステムとはまったく違う。民主主義を健全に発展させるために不可欠な現政権に対する批判を封じ込めようとする意図で作られていることがほぼ明らかになったといえる。

 皆さん、この問題の根っこに何があるか、まだ気づいていない人に情報を通信しましょう!






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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