情報流通促進計画 by ヤメ記者弁護士(ヤメ蚊)日隅一雄

知らなきゃ判断できないじゃないか! ということで、情報流通を促進するために何ができるか考えていきましょう

岩国市の皆さん、井原さん、お疲れ様でした~350円1000万人寄付運動の今後について

2008-02-11 09:40:22 | 有事法制関連
 井原前岩国市長が1782票差で空母艦載機受け入れ派の前自民党衆院議員に敗れました。しかし、この選挙で負けたのは、井原氏でもなければ、岩国市民でもない。日本に住む住民ではないだろうか。

 今回の選挙の共同通信の出口調査では、移転に「反対」が41%にのぼり、明確な「賛成」は17%にすぎない。 37%は「やむを得ない」だったという。

 明らかに、米軍基地再編による負担を受け入れたら交付金を渡すが反対すれば一銭も渡さないという政府の「アメとムチ」政策が効いたことになる。

 特に岩国では、政府は新市庁舎建設費用を交付金として支払うことを役得しておきながら、岩国が空母艦載機受け入れを拒否すると35億円について支払いを停止した。35億円は赤字財政にとって大きな負担となる。それを見越した政府の横暴だ。

 ゆえに、負けたのは私たち市民だ。

 第1に、私たちは米軍再編について、本当にそのことが必要ななのか、それぞれの再編に伴う負担が本当に必要なのかを政府にとことん説明させただろうか?岩国への空母艦載機移転の要否についても、きちんと説明を受けているだろうか(厚木基地に置いておけばよいという意味ではない)。市民として、国防に関する重要な政策についての説明を受けないままずるずるそれを容認することは、戦前の非民主国家の再来だ。市民としては恥だ。

 第2に、憲法は一つの自治体にのみ適用される法律については住民投票による賛成が必要だとしている。その趣旨は、中央政府による自治体への一方的な負担の押しつけを回避するためだ。今回の再編に伴う法律は、その再編規模が大きいが故に複数の自治体を対象としているがゆえに、憲法上は住民投票は不要だが、趣旨から言えば、住民投票で圧倒的にノーという意思を表明した岩国市に負担を押しつけるわけにはいかない。政府の「アメとムチ」政策は、憲法の趣旨を嘲るかのようなものだ。これを許した私たち市民の敗北だった。

 この敗北を受けてどう立ち上がるのか。一人ひとりが考えなければならないことだ。

 では、350円1000万人寄付運動はどうするか?
 
個人的には、国への横暴に反対する場として存続させたいが、朝日新聞によると、防衛省は、これまではいま賛成に回ってもすでに市庁舎のうち建設している部分は支払えないのでわずかしか出せないなどと言っていたくせに、35億円について支払えるようにとりはかりたいとのことだ。そうなると、寄付していただいたお金が宙に浮く形となる。

 そこで、いったん、積極的にこの寄付を募るのは中止します。そして、昨日までに寄付のあった分について、岩国市に寄付を申し出ます。寄付をしてくれた人の意図を説明したうえで、お渡しします。

 本日から寄付のあった分については、しばらく、お預かりします。政府の交付金の動向をみたうえで、35億円について支払いが決定したならば、再編に反対している自治体に寄付をしたいと思います。おそらく沖縄の自治体は反対を続けるはずです。彼らは、負担の重さが身にしみているからです。


 【沖縄県警は11日、女子中学生に乱暴をしたとして、在沖米海兵隊の二等軍曹タイロン・ルーサー・ハドナット容疑者(38)を婦女暴行の疑いで緊急逮捕した。調べでは、ハドナット容疑者は10日午後10時35分ごろ、同県北谷町北前1丁目の路上に止めた車内で、同県内に住む女子中学生(14)に暴行をした疑い。ハドナット容疑者は同日午後8時半ごろ、同県沖縄市で友達2人といた女子中学生に声をかけ、バイクで同県北中城村島袋の自宅に連れて行った後、「自宅へ送ってあげる」と言って自分の車に乗せ、その後、北谷町の路上に車を止めて車内で暴行したという】(朝日新聞ウェブ版。10日は岩国市で選挙が行われる前日だった…)

●写真はスーパーホーネット、移転予定の空母艦載機。(http://www.navy.mil/view_single.asp?id=27248)






★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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なお、こちらで(←クリック)、350円、1000万人寄付運動を展開していましたが、井原氏落選の結果を受けてペンディング状態です(こちら参照)。バナーは、SOBAさんの提供です。手のひらに何も乗っていない猫の手には、実は、知恵、呼びかける力など賛同するパワーが乗っているということです。まさに、今回の運動にぴったりですね。
   
1月17日にはNPJ/PEOPLE’S PRESS設立記念集会を開催し、多くの方に来場いただきました。ありがとうございました。近く、生中継していただいたアワープラネットTVでオンデマンド放送される予定です(http://www.ourplanet-tv.org/whats/2008/20080117_17.html)。

天皇陵を市民に開放せよ~東京新聞社説を支持する

2008-02-11 09:05:12 | そのほか情報流通(ほかにこんな問題が)
 東京新聞が建国記念日の前日、聖徳太子が存在せず、天皇制を正統づけるための創作であることが確定したことを詳しく紹介したうえで、【万世一系は子孫を皇位にと願う持統天皇のあくなき執念と藤原不比等の構想によって成り、その父系原理も日本古来のものとはいえないようです。建国記念の日に永遠であるかのような日本の原理の由来と未来を探ってみるのも】と結んでいる(※1)。
 
 あっぱれなり、東京新聞。先日、ここでも、軍隊を持って普通の国になったというならば、天皇制廃止論議のタブーもなくさないと普通の国とはいえない、と書いたばかり。そこでも、天皇陵調査をさせないのは、天皇の正統性に傷をつけないためではないか、と天皇制について科学的検証が必要なことを示唆したばかりだった(※2)。
 
 この東京新聞の社説も天皇および天皇制について科学的探求が必要であることを訴えるものであり、ひいては、天皇陵などに科学の光をあてるべきだとする考え方に通じている。

 この社説について当然、右翼からは反対の声が届くと思う。しかし、私たち市民は当たり前のことを当たり前のように書いた東京新聞をバックアップする義務がある。東京新聞へは早速ファンレターを送りたいと思うし、東京新聞本社は弁護士会に近いので、何かあったら、駆け付けたいと思う。

 東京新聞をとっていない皆さんもぜひ、この社説は読んでください。そして、1ヶ月でもよいからぜひ購読してください。それが一番大きなエールになるからです。

 歴史的にも意味のある東京新聞社説全文を引用し、その勇気を讃えたい。

■■引用開始■■
週のはじめに考える 書き換わる聖徳太子像
2008年2月10日

 実在から非実在へ、聖徳太子像が大きく書き換えられようとしています。戦後歴史学がたどりついた成果とも、真実追究の学問がもつ非情さともいえるでしょうか。

 聖徳太子を知らない日本人はまずいません。教科書風にいえば、六世紀末から七世紀前半の飛鳥時代、日本の伝統精神に仏教や儒教の外来思想を身につけ、日本の国力と文化を飛躍的に高め世界の先進国入りさせていった皇太子です。

 「和を以て貴しと為す」との教えや貧しい者への優しい眼差(まなざ)し、太子の言葉とされる「世間虚仮(せけんこけ)唯仏是真(ゆいぶつぜしん)」の無常観などは、いまも人の心にしみて揺さぶります。

 常識になった非実在
 もっとも、一時に八人の訴えを聞いて誤りなく裁いたことから、八耳皇子(やつみみのみこ)と呼ばれたとの伝承や生まれたときから言葉を話し高僧の悟りに達していたとの伝説、その未来予知能力や中国の高僧の生まれ変わりで、最澄は玄孫などの輪廻(りんね)転生の説話などには訝(いぶか)しさを感じさせるものではありました。

 誇張や粉飾があったにしても、実在と非実在では話の次元が全く違ってしまいます。ところが、積み重ねられた近代の実証的歴史学の結論は「聖徳太子はいなかった」で、どうやら決定的らしいのです。

 聖徳太子の実在に最後のとどめを刺したとされるのが、大山誠一中部大学教授の一九九六年からの「長屋王家木簡と金石文」「聖徳太子の誕生」「聖徳太子と日本人」などの一連の著書と論文、それに同教授グループの二〇〇三年の研究書「聖徳太子の真実」でした。

 日本書紀に政治意図
 それらによると、聖徳太子研究で最も重視すべきは、日本書紀が太子作として内容を記す「十七条憲法」と「三経義疏(さんぎょうのぎしょ)」。数多くの伝承や資料のうち太子の偉大さを示す業績といえば、この二つに限られるからだそうです。

 このうち十七条憲法については、既に江戸後期の考証学者が太子作ではないと断定し、戦前に津田左右吉博士が内容、文体、使用言語から書紀編集者たちの創作などと結論、早大を追われたのは有名です。

 三経義疏は仏教の注釈書で太子自筆とされる法華義疏も現存しますが、これらも敦煌学権威の藤枝晃京大教授によって六世紀の中国製であることが論証されてしまったのです。

 世に知られた法隆寺の釈迦(しゃか)三尊像や薬師如来像、中宮寺の天寿(てんじゅ)国〓帳(こくしゅうちょう)も、その光背の銘文研究や使用されている暦の検証から太子の時代より後世の作であることが明らかになってきました。

 国語・国文学、美術・建築史、宗教史からも実在は次々に否定され、史実として認められるのは、用明天皇の実子または親族に厩戸(うまやど)王が実在し、斑鳩宮に居住して斑鳩寺(法隆寺)を建てたことぐらい。聖徳太子が日本書紀によって創作され、後世に捏造(ねつぞう)が加えられたとの結論が学界の大勢になりました。

 太子像が創作・捏造となると、誰が何のために、その源となった日本書紀とは何かが、古代社会解明の焦点になるのは必然。そのいずれにも重大な役割を果たしたのが持統天皇側近の藤原不比等というのが大山教授の説くところ。長屋王や唐留学帰りの僧・道慈が関与、多くの渡来人が動員されたというのです。

 日本書紀は養老四(七二〇)年完成の最古の正史で、その編纂(へんさん)過程に律令(りつりょう)体制の中央集権国家が形成されました。隋・唐の統一と東アジアの大動乱、それによる大化の改新や壬申の乱を経て、古代社会の「倭(わ)の大王」は「日本の天皇」へ変わったとされます。

 大変革の時代の日本書紀の任務は誕生した天皇の歴史的正統性と権威の構築です。それが、高天原-天孫降臨-神武天皇-現天皇と連なる万世一系の思想と論理、中国皇帝にも比肩できる聖天子・聖徳太子の権威の創作、書紀は政治的意図が込められた歴史書でした。

 大山教授の指摘や論考は、歴史学者として踏み込んだものですが、隋書倭国伝との比較などから「用明、崇峻、推古の三人は大王(天皇)でなかったのではないか」「大王位にあったのは蘇我馬子」などの考も示しています。「日本書紀の虚構を指摘するだけでは歴史学に値せず、真実を提示する責任」(「日本書紀の構想」)からで、日本書紀との対決と挑戦が期待されます。

 千年を超えた執念
 日本書紀が展開した思想と論理は千三百年の現実を生き現代に引き継がれました。憲法と皇室典範は「皇位は世襲」で「皇統に属する男系の男子がこれを継承する」と定めています。

 しかし、万世一系は子孫を皇位にと願う持統天皇のあくなき執念と藤原不比等の構想によって成り、その父系原理も日本古来のものとはいえないようです。建国記念の日に永遠であるかのような日本の原理の由来と未来を探ってみるのも。

■■引用終了■■


※1:http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2008021002086566.html

※2:http://blog.goo.ne.jp/tokyodo-2005/e/7da31995b5db33e5faaaeef88b8b99cd







★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
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なお、現在、こちらで(←クリック)、350円、1000万人寄付運動を展開しています。ぜひ、ご覧のうえ、行動にしてください。バナーは、SOBAさんの提供です。ご自由にお使い下さい。手のひらに何も乗っていない猫の手には、実は、知恵、呼びかける力など賛同するパワーが乗っているということです。まさに、今回の運動にぴったりですね。
   
1月17日にはNPJ/PEOPLE’S PRESS設立記念集会を開催し、多くの方に来場いただきました。ありがとうございました。近く、生中継していただいたアワープラネットTVでオンデマンド放送される予定です(http://www.ourplanet-tv.org/whats/2008/20080117_17.html)。