NPJで取り上げられている「外国人に対する偏見が原因か?~警察官違法発砲傷害致死国賠訴訟」という事件(※1)は、2回目の口頭弁論期日を終えたところだが、中国人差別を声高に叫ぶグループが裁判所前で街宣活動を行い、裁判所の手間を煩わせている。まぁ、事実に基づいて何らかの抗議活動をするなら、訴訟妨害的な活動にも一理あるが、このグループは肝心な事実をいくつかねじ曲げて街宣しているため、いくつかその誤りを訂正しておく。
この事件は、栃木県内で職質をされて逃げた中国人2人組のうちの一人が、警官によって射殺されたというもの。中国人男性の妻らが、警官を任用している栃木県を相手にして損害賠償を請求する訴訟を宇都宮地方裁判所に提起するとともに、特別公務員暴行陵虐致死罪で宇都宮地検に告訴した。
この事件について、街宣グループは、①この中国人がATM荒らし(強盗)をしていた、②鬼束弁護団長は中国政府の手先だ、③発砲は当然の行為だなどと主張している。
しかし、①については、そのような事実はない。当時の新聞を見れば、近くにあったATMが荒らされていなかったことは明らかだ。しかも、中国人2人組が荒らすために必要な道具を持っていれば警察は喜んで発表するだろうが、そのような記事も一切ない。つまり、中国人2人組がATM荒らしをしていたというのは、まったくでたらめなのだ。
また、②については、「法輪功の難民申請者支援会」創刊号に団長が寄せたメーセージを読めば、デマであることがはっきりする。
◆ ◆
創刊号の発刊おめでとうございます。
この支援会のニュースが、今難民申請をしている法輪功学習者の人たちの精神的な支えとなることを心から願っていなす。またそれだけでなく、日本にいる法輪功学習者や、中国政府の迫害に心を痛めている人々、さらにはこの迫害の事実をまだ知らない人々に、今何が起こっているかを広く知ってもらえる媒体となれば良いなと思っています。
私たち法輪功難民申請者の弁護団は、申請者の難民認定に向けてお手伝いをし、そのことが中国政府の迫害や弾圧を止めさせ、一日も早く中国に住む法輪功学習者が自由に活動できることに道を開くことになると信じて努力したいと思っています。 思想や信教の自由、活動の自由は人間としての最も基本的な価値であり権利です。これが守られ保障されるときが必ずくると思います。みなさんと一緒に頑張りましょう。
「法輪功の難民申請者弁護団」代表、弁護士・鬼束忠則
◆ ◆
③については、今回の訴訟でのテーマであるが、殺された中国人が手にしていたものは、石灯籠の頭部の八女石製「宝珠」(直径19.5Cm、重さ2.85Kg)と長さ1mの篠竹(篠竹の通常の直径は、1.5Cm)に過ぎないこと、発砲した警察官の周りには障害物はなく避難しようと思えば簡単に避難できたこと、この2つの事実だけでも、警察官の発砲に問題があった可能性が大きいことは明らかだ。
NPJの記事には、発砲行為が違法とされたケースに関する次のような最高裁判決が掲載されている。
【最高裁判例】
Aが所持していた前記ナイフは比較的小型である上、Aの抵抗の態様は、相当強度のものであったとはいえ、一貫して、被告人の接近を阻もうとするにとどまり、被告人が接近しない限りは積極的加害行為に出たり、付近住民に危害を加えるなど他の犯罪行為に出ることをうかがわせるような客観的状况は全くなく、被告人が性急にAを逮捕しようとしなければ、そのような抵抗に遭うことはなかったものと認められ、その罪質、抵抗の態様等に照らすと、被告人としては、逮捕行為を一時中断し、相勤の警察官の到来を待ってその協力を得て逮捕行為に出るなど他の手段を採ることも十分可能であって、いまだ、Aに対しけん銃の発砲により危害を加えることが許容される状况にあったと認めることはできない。そうすると、被告人の各発砲行為は、いずれも、警察官職務執行法七条に定める 「必要であると認める相当な理由のある場合」 に当たらず、かつ、「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度」 を逸脱したものというべきであって (なお、仮に所論のように、第三現場におけるけん銃の発砲が威嚇の意図によるものであったとしても、右判断を左右するものではない。)、本件各発砲を違法と認め、被告人に特別公務員暴行陵虐致死罪の成立を認めた原判断は、正当である。
(平成11年2月17日最高裁判所第1小法廷決定/平成7年(あ)第463号)
この基準を本件にあてはめたとき、警察官の発砲の違法性は明白だ。
ちなみに、銃弾はへその左上から体内に入っている点も重要な判断要素となろう。
…抗議活動をするならこのくらいのことは踏まえるのが当然ではないだろうか…。
※1:http://www.news-pj.net/npj/2007/happou-20071015.html
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。
なお、こちらで(←クリック)、350円、1000万人寄付運動を展開していましたが、井原氏落選の結果を受けてペンディング状態です(こちら参照)。バナーは、SOBAさんの提供です。手のひらに何も乗っていない猫の手には、実は、知恵、呼びかける力など賛同するパワーが乗っているということです。まさに、今回の運動にぴったりですね。
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1月17日にはNPJ/PEOPLE’S PRESS設立記念集会を開催し、多くの方に来場いただきました。ありがとうございました。近く、生中継していただいたアワープラネットTVでオンデマンド放送される予定です(http://www.ourplanet-tv.org/whats/2008/20080117_17.html)。
この事件は、栃木県内で職質をされて逃げた中国人2人組のうちの一人が、警官によって射殺されたというもの。中国人男性の妻らが、警官を任用している栃木県を相手にして損害賠償を請求する訴訟を宇都宮地方裁判所に提起するとともに、特別公務員暴行陵虐致死罪で宇都宮地検に告訴した。
この事件について、街宣グループは、①この中国人がATM荒らし(強盗)をしていた、②鬼束弁護団長は中国政府の手先だ、③発砲は当然の行為だなどと主張している。
しかし、①については、そのような事実はない。当時の新聞を見れば、近くにあったATMが荒らされていなかったことは明らかだ。しかも、中国人2人組が荒らすために必要な道具を持っていれば警察は喜んで発表するだろうが、そのような記事も一切ない。つまり、中国人2人組がATM荒らしをしていたというのは、まったくでたらめなのだ。
また、②については、「法輪功の難民申請者支援会」創刊号に団長が寄せたメーセージを読めば、デマであることがはっきりする。
◆ ◆
創刊号の発刊おめでとうございます。
この支援会のニュースが、今難民申請をしている法輪功学習者の人たちの精神的な支えとなることを心から願っていなす。またそれだけでなく、日本にいる法輪功学習者や、中国政府の迫害に心を痛めている人々、さらにはこの迫害の事実をまだ知らない人々に、今何が起こっているかを広く知ってもらえる媒体となれば良いなと思っています。
私たち法輪功難民申請者の弁護団は、申請者の難民認定に向けてお手伝いをし、そのことが中国政府の迫害や弾圧を止めさせ、一日も早く中国に住む法輪功学習者が自由に活動できることに道を開くことになると信じて努力したいと思っています。 思想や信教の自由、活動の自由は人間としての最も基本的な価値であり権利です。これが守られ保障されるときが必ずくると思います。みなさんと一緒に頑張りましょう。
「法輪功の難民申請者弁護団」代表、弁護士・鬼束忠則
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③については、今回の訴訟でのテーマであるが、殺された中国人が手にしていたものは、石灯籠の頭部の八女石製「宝珠」(直径19.5Cm、重さ2.85Kg)と長さ1mの篠竹(篠竹の通常の直径は、1.5Cm)に過ぎないこと、発砲した警察官の周りには障害物はなく避難しようと思えば簡単に避難できたこと、この2つの事実だけでも、警察官の発砲に問題があった可能性が大きいことは明らかだ。
NPJの記事には、発砲行為が違法とされたケースに関する次のような最高裁判決が掲載されている。
【最高裁判例】
Aが所持していた前記ナイフは比較的小型である上、Aの抵抗の態様は、相当強度のものであったとはいえ、一貫して、被告人の接近を阻もうとするにとどまり、被告人が接近しない限りは積極的加害行為に出たり、付近住民に危害を加えるなど他の犯罪行為に出ることをうかがわせるような客観的状况は全くなく、被告人が性急にAを逮捕しようとしなければ、そのような抵抗に遭うことはなかったものと認められ、その罪質、抵抗の態様等に照らすと、被告人としては、逮捕行為を一時中断し、相勤の警察官の到来を待ってその協力を得て逮捕行為に出るなど他の手段を採ることも十分可能であって、いまだ、Aに対しけん銃の発砲により危害を加えることが許容される状况にあったと認めることはできない。そうすると、被告人の各発砲行為は、いずれも、警察官職務執行法七条に定める 「必要であると認める相当な理由のある場合」 に当たらず、かつ、「その事態に応じ合理的に必要と判断される限度」 を逸脱したものというべきであって (なお、仮に所論のように、第三現場におけるけん銃の発砲が威嚇の意図によるものであったとしても、右判断を左右するものではない。)、本件各発砲を違法と認め、被告人に特別公務員暴行陵虐致死罪の成立を認めた原判断は、正当である。
(平成11年2月17日最高裁判所第1小法廷決定/平成7年(あ)第463号)
この基準を本件にあてはめたとき、警察官の発砲の違法性は明白だ。
ちなみに、銃弾はへその左上から体内に入っている点も重要な判断要素となろう。
…抗議活動をするならこのくらいのことは踏まえるのが当然ではないだろうか…。
※1:http://www.news-pj.net/npj/2007/happou-20071015.html
★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
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また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。転載、引用大歓迎です。
なお、こちらで(←クリック)、350円、1000万人寄付運動を展開していましたが、井原氏落選の結果を受けてペンディング状態です(こちら参照)。バナーは、SOBAさんの提供です。手のひらに何も乗っていない猫の手には、実は、知恵、呼びかける力など賛同するパワーが乗っているということです。まさに、今回の運動にぴったりですね。
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1月17日にはNPJ/PEOPLE’S PRESS設立記念集会を開催し、多くの方に来場いただきました。ありがとうございました。近く、生中継していただいたアワープラネットTVでオンデマンド放送される予定です(http://www.ourplanet-tv.org/whats/2008/20080117_17.html)。