少し前に高野さんのところのブログで、「法曹時報」2009年4月号に、裁判員を辞退するためには思想調査されることを覚悟しなければならないという趣旨の解説が掲載されていたと書かれていた。まさか、と思いつつ、そのままになっていたが、最近になってようやく、同号を読んでみた。すると…。
問題の記事は、【「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条第8号に規定するやむを得ない事由を定める政令」の解説】というタイトルで、法務省刑事局付の馬場嘉郎裁判官が書いたものだ。
思想調査をうかがわせる記載は、「(3)思想・良心等の自由を理由とする辞退の申立てについて」という項目にあった。
ここで馬場裁判官は、政令の「自己に精神上重大な不利益が生じると認めるに足りる相当の理由があるか否か」の解釈として、
【例えば、人を裁きたくないなどおちう申立てがあった場合に辞退が認められるか否かについていえば、人を裁きたくないとの申立てがあったことのみで当然に本号=裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条第8号:ヤメ蚊注=に該当するのではなく、①その者が、宗教上の教義の核心部分として、「絶対に人が人を裁いてはならない、神のみが人を裁くことができる」とされている宗教の信者であり、その者にとっては、裁判員としての職務を行うことがその教義に反する行為をすることとなり、自らの信仰と両立し得ない場合、②その者が、裁判所を含めた国家権力がそもそも存在するべきではないという思想を有し、かつ、これを実践する必要があると考えており、その者にとっては、裁判員としての職務を行うことが、裁判所の存在及びその権力を認めることにつながり、自らの思想と両立し得ない場合などのごく例外的な場合には、裁判員としての職務を行うことが困難な場合として本号に該当するものと考えられる】
と説明している。
う~ん、アナーキストの思想を有し、それを実践する必要があると考えているかどうかをチェックするなんて、なんて時代錯誤なんだ。というか、本気で思想調査するのか、最高裁?
そもそも、アナーキストだったら、裁判員になったうえで、あらゆる刑に反対するって主張しようと思うのでは?…などという疑問も浮かぶが、裁判員制度の謎は、今日も夜とともに深まるのであった。
■■裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条第8号に規定するやむを得ない事由を定める政令■■
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「法」という。)第十六条第八号に規定する政令で定めるやむを得ない事由は、次に掲げる事由とする。
一 妊娠中であること又は出産の日から八週間を経過していないこと。
二 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある親族(同居の親族を除く。)又は親族以外の同居人であって自らが継続的に介護又は養育を行っているものの介護又は養育を行う必要があること。
三 配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、直系の親族若しくは兄弟姉妹又はこれらの者以外の同居人が重い疾病又は傷害の治療を受ける場合において、その治療に伴い必要と認められる通院、入院又は退院に自らが付き添う必要があること。
四 妻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は子が出産する場合において、その出産に伴い必要と認められる入院若しくは退院に自らが付き添い、又は出産に自らが立ち会う必要があること。
五 住所又は居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり、裁判所に出頭することが困難であること。
六 前各号に掲げるもののほか、裁判員の職務を行い、又は裁判員候補者として法第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することにより、自己又は第三者に身体上、精神上又は経済上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当の理由があること。
■■政令以上■■
※冒頭の図は裁判所ウェブサイトより
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★「憎しみはダークサイドへの道、苦しみと痛みへの道なのじゃ」(マスター・ヨーダ)
★「政策を決めるのはその国の指導者です。そして,国民は,つねにその指導者のいいなりになるように仕向けられます。方法は簡単です。一般的な国民に向かっては,われわれは攻撃されかかっているのだと伝え,戦意を煽ります。平和主義者に対しては,愛国心が欠けていると非難すればいいのです。このやりかたはどんな国でも有効です」(ヒトラーの側近ヘルマン・ゲーリング。ナチスドイツを裁いたニュルンベルグ裁判にて)
★「News for the People in Japanを広めることこそ日本の民主化実現への有効な手段だ(笑)」(ヤメ蚊)
※このブログのトップページへはここ←をクリックして下さい。過去記事はENTRY ARCHIVE・過去の記事,分野別で読むにはCATEGORY・カテゴリからそれぞれ選択して下さい。
また,このブログの趣旨の紹介及びTB&コメントの際のお願いはこちら(←クリック)まで。なお、多忙につき、試行的に、コメントの反映はしないようにします。コメント内容の名誉毀損性、プライバシー侵害性についての確認をすることが難しいためです。情報提供、提案、誤りの指摘などは、コメント欄を通じて、今後ともよろしくお願いします。転載、引用はこれまでどおり大歓迎です。
問題の記事は、【「裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条第8号に規定するやむを得ない事由を定める政令」の解説】というタイトルで、法務省刑事局付の馬場嘉郎裁判官が書いたものだ。
思想調査をうかがわせる記載は、「(3)思想・良心等の自由を理由とする辞退の申立てについて」という項目にあった。
ここで馬場裁判官は、政令の「自己に精神上重大な不利益が生じると認めるに足りる相当の理由があるか否か」の解釈として、
【例えば、人を裁きたくないなどおちう申立てがあった場合に辞退が認められるか否かについていえば、人を裁きたくないとの申立てがあったことのみで当然に本号=裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条第8号:ヤメ蚊注=に該当するのではなく、①その者が、宗教上の教義の核心部分として、「絶対に人が人を裁いてはならない、神のみが人を裁くことができる」とされている宗教の信者であり、その者にとっては、裁判員としての職務を行うことがその教義に反する行為をすることとなり、自らの信仰と両立し得ない場合、②その者が、裁判所を含めた国家権力がそもそも存在するべきではないという思想を有し、かつ、これを実践する必要があると考えており、その者にとっては、裁判員としての職務を行うことが、裁判所の存在及びその権力を認めることにつながり、自らの思想と両立し得ない場合などのごく例外的な場合には、裁判員としての職務を行うことが困難な場合として本号に該当するものと考えられる】
と説明している。
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■■裁判員の参加する刑事裁判に関する法律第16条第8号に規定するやむを得ない事由を定める政令■■
裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(以下「法」という。)第十六条第八号に規定する政令で定めるやむを得ない事由は、次に掲げる事由とする。
一 妊娠中であること又は出産の日から八週間を経過していないこと。
二 介護又は養育が行われなければ日常生活を営むのに支障がある親族(同居の親族を除く。)又は親族以外の同居人であって自らが継続的に介護又は養育を行っているものの介護又は養育を行う必要があること。
三 配偶者(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)、直系の親族若しくは兄弟姉妹又はこれらの者以外の同居人が重い疾病又は傷害の治療を受ける場合において、その治療に伴い必要と認められる通院、入院又は退院に自らが付き添う必要があること。
四 妻(届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。)又は子が出産する場合において、その出産に伴い必要と認められる入院若しくは退院に自らが付き添い、又は出産に自らが立ち会う必要があること。
五 住所又は居所が裁判所の管轄区域外の遠隔地にあり、裁判所に出頭することが困難であること。
六 前各号に掲げるもののほか、裁判員の職務を行い、又は裁判員候補者として法第二十七条第一項に規定する裁判員等選任手続の期日に出頭することにより、自己又は第三者に身体上、精神上又は経済上の重大な不利益が生ずると認めるに足りる相当の理由があること。
■■政令以上■■
※冒頭の図は裁判所ウェブサイトより
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